シニア世代のガラケーを強引にスマホに変えることで起こること

このネタは度々出しているので前に読まれた方は同じような内容になってしまうことを予めお詫びします。しかし最近のテレビコマーシャルを見ると、いわゆるシニア世代と同じくらいの俳優やエキストラを使って、すでに新製品が出なくなっているガラケーをスマホに変えると特典が数々というような謳い文句でガラケーを止め、スマホの利用を促すような感じのコマーシャルが多くテレビで露出されています。恐らく、シニア世代の方でも本当にデータ通信の必要性を感じられている方にとってはとっくにスマホやタブレットに変えて使っているのではないかと思うとともに、今でもガラケーを使うシニア世代にとってそこまでスマホが必要なのか? と考えると疑問しか出てきません。

まず、老眼で小さい文字が読めないような場合、スマホの方が多少は画面が大きくはなるものの、そこに出てくる情報量は増えるため、ウェブの内容を見ようとすれば必然的に文字が小さくなり、拡大する操作方法を知らなければ、外的要因で何とかしなければならなくなります。メガネ型の拡大鏡のコマーシャルが多く放送されているのもスマホのシニア世代への普及と関係があるのではないかと疑ってしまうことにもなります。

実際にスマホに変えたいと思っているシニア世代の方々や、周辺の方にまず言っておきたいのは、スマホは通話専用にすることはできても、その料金大系はデータ通信プランとのセットが基本になり、今まで通話のみで千円以下だったり、ケータイで通話放題だったような人は何もしなくてもスマホに代えただけで毎月の料金が上がるようになっています。さらに、キャリア独自の様々なサービスにも月々の利用料を取るところもあり、「使いこなせば便利にはなるが使った分だけ金がかかる」というものになるわけです。

総務省からの指導があって、利用者の全体における通信料を下げなければならない状況に大手キャリアは追い込まれています。そんな中で以前と変わらない利益を確保するには、当然新たなマーケットを開拓しつつも、既契約者に今までより高い利用料金を取ることで業績を上げる事が必要になると考えているのでしょうか。シニア世代を狙ったマーケティングは、悪く言うと金持ちの高齢者の懐を狙った商法となり、法には触れないものの一部のシニアの方々にとっては毎月変わらないどころか介護保険の影響で支給額が減らされる年金で使えるお金を減らしてしまう結果にもつながりかねません。そして、契約してからその事に気付いても2年以上契約を続けないとさらにお金がかかってしまうわけです。

そして、そのようにして毎月高額なお金を通信費として払わなければならなくなった人たちの中には、その投資の回収をもくろむ方がおり、毎月の利用料金の範囲でできる行動に走ることになります。今まで全くモバイルインターネットに関心がなく、スマホの使い方がわからない人からすると、駆け込み寺的にショップに赴くしかありません。現在でも多くのショップの現場ではスマホの使い方がわからないシニア世代の対応に追われることになってしまっていて、さらに今後大手キャリアがシニアへのスマホ売りを続けていけばさらに現場の仕事量が増えることにもなります。

その内容というのは、来店したシニアユーザーの対応(主にスマホの使い方などの質問が多いことが予想される)という本来の業務とは違う仕事になるかも知れず、私自身は大手キャリアのショップとは何も関係ありませんが、大変だなと思いますし、個人的にもできるだけ契約に関する用事はショップではなくネットでの問い合わせやお客様センターへの電話対応で済ましたいと思うほどです。

どんな仕事でも大変だとは思いますが、今回紹介した大手キャリアの場合は自ら大変な現場仕事を作り、その対応を現場任せにするのではないかと思えるところがあるので、どこかでその無理をした部分の歪みが来ると、何かの拍子に爆発しかねません。現在のショップではどの程度の労働環境なのかがわからないので、ここまで書いてきた事について全く心配がないのかも知れませんが、多くのお客様相手の仕事の中でもかなり大変ではないかと思ったので書かせていただきました。

こうした過度な対応を現場の人間にさせないためには、個人的には通話主体のガラケープランに入ったシニア向けに、ネットを使って調べられないことを通話上のオペレーターが教えてくれるような有料サービスを組み合わせた方が苦労いらずで収益も上がっていいのではないかと思うのですが。恐らく今スマホを使いこなしている世代がシニア世代に突入するにしたがってこうした「シニア向け」と銘打ったサービスは必要なくなる(らくらくスマホのような扱いやすいハードは必要かも知れませんが)ようになっていくと思いますので、こうしたサービスも一過性のものになると思えますし。

ただ、もう一つ大手キャリアが考えていることは、自らのキャリアに一定期間縛り付けておくことで契約者数を維持できるという計算もあってガラケーをスマホに機種変更させたいと思うのでしょうが、少なくとも一部のシニア層の中には、今まで何の問題もないのに急に新しいスマホを使わなければならなくなった場合にストレスを感じるのではないかと思う人がいることも確かです。長期間ずっと同じキャリアという人は機種変更もせずに同じプランを使い続けることが当り前になっているでしょうから、もしスマホに変えて失敗したと思ったら、その後は別のキャリアでガラケーを契約し直すという選択をする方も出てくるかも知れません。寝た子を起こし過ぎて大変な事に今後大手キャリアがなっていかないことを祈るばかりです。


カテゴリー: モバイル関連コラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

スポンサーリンク

コメントを残す