一部MVNOにおけるオーバーワーク問題の懸念

格安SIM、スマホに限らずインターネット上で完結するサービスは数々あります。テレビを見ていると、目立つのが各種保険で、インターネットから見積りおよび加入の手続きまで全て完結してしまうところは、窓口に直接出向いたり、担当社員や代理店、嘱託の方などと面談して契約するものと比べると保険料の安さをメリットに上げています。

これはある意味当り前の話で、今までの多くの保険会社は販売員に対する人件費や教育費用が保険料の一部を占めていたのに対し、ネット保険ではそうした人件費などがかからないため(一部オペレーターの育成費用と人件費はかかるでしょうが)、安い価格で保険を提供できるというわけです。

保険と格安SIMの仕組みは全く同じではありませんが、ネットから申し込んで郵送でSIMや端末が送られてきて使えるようになるという、私が考えるような格安SIMを提供するMVNOが安い理由のひとつは経費削減のできるビジネスモデルであることも確かです。実際に店舗を構えて営業し、職員の人件費なども通信費の中からまかなっている大手のキャリアと比べると、その経費の差というものがユーザーの利用する料金の安さにつながっている部分はあるでしょう。

しかし、最近のMVNOの中にはあえて大手キャリア並のサービスをうたう所も増えてきました。直接市街地で交通の利便が良いところに実店鋪を出し、大手と同じようなサービスをするケースもありますが、今回考えてみたいと思うのが、既存の店舗のネットワークを使い、そうした拠点を利用して新たに格安スマホやSIMカードを売る業務を増やすことでサービスの拡充をはかるようなケースです。

というのも、先日車で出掛ける際、いつも通らない道を走っていた時、CDショップの「TSUTAYA」のところで、奇妙な看板を見付けました。車を運転している時なので写真は撮っていないのですが、大きな看板に「TONEモバイル」と書かれた看板があったのですが、なぜかその看板には小さな張り紙のようなものが貼られていまして、その張り紙には「受付終了」と書かれていたのでした。

気になったのでTONEモバイルのホームページから取扱店舗の一覧を見てみたところ、確かにその時通ったTSUTAYAの店舗では先月いっぱいで全てのTONEモバイルに関する手続きを終了しておりました。なぜそんなことになったのかと考えると、やはりある一つの問題につきあたってきます。

基本的に、どんな業種でもそうですが、単に一通りの説明をして販売するだけならマニュアル通りに行なえばいいので、既存の職員でも対応できる可能性がありますが、細かい規約について説明を求められたり、クレーム処理をしなければならなくなったような場合には、本来の業務の時間をそがれてしまうほど、集中してお客への対応をしなければならなくなります。

来店してクレームを言う側としては、カウンター越しに説明をしている人間の言ったことというのはどれくらい業務内容がわかっているかという対応する人間の差とは関係なく、あくまで「担当の人間が公式に言ったこと」に取ってしまいます。間違った説明をされて誤解したまま使っていたユーザーが、説明と違うことがあると気付いた場合もはや最初に説明した人が誰かということは関係なく、売ったお店に対して責任を取れということになってしまいかねません。

そうした事が起こっても大丈夫なように、会社の方で専門的な知識を持ったスタッフがきちんと配置され、その人が責任を持ってクレームにも対処することができればいいのですが、もし一般のスタッフに業務拡大のしわ寄せが来て、片手間に格安スマホを売るスタッフだけしかいないということになると、通信事務の事業だけでなく本業にも影響が出るようになりかねません。

恐らくTSUTAYAではそういった兆候を事前に察知し、専門的なスタッフを常に用意できないところについては受付中止にしたのではないかと個人的には思います。それは、ユーザー側にとって一部残念なところはありますが、駄目なら早いうちに駄目と言ってもらった方がいいようなところもあるので、個人的には肯定的に受け取りたいと思います。

ただ、TSUTAYAと同じように本業のある中で格安SIM・スマホを販売・アフターサービスを行なうような事業展開をする企業については、くれぐれも社員の負担だけを増やし彼らを疲弊させるような無理な事業拡大の手法はできれば止めていただきたいと切に思います。というのも、無理をして立ち上げても安定したサービスが提供できないということがわかれば、簡単にユーザーは契約を解除し、別のところへ行けてしまうわけですから、せっかく事業として格安スマホのサービスを行なっても、事業としての意味がなくなってしまうようになることを懸念するわけです。

同時に、ユーザーの側も、MVNOがなぜ大手キャリアと比べて安く利用できるのかということをしっかり考え、疑問を全てアフターサービスに丸投げするのではなく、わかりそうなところは自分でネットや本で調べるなどして勉強する姿勢も大切だと思います。そうすれば、アフターサービスが薄くても料金の安いところが生き残っていけます。今後の状況がどうなるかはわかりませんが、安い料金で提供してくれているMVNOが絶えないよう個人的にも安いところは大切に契約して使っていきたいと思っています。


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