大手企業の不正は利用者の倫理の欠如を生む

テレビや新聞ではなかなか伝わってこないニュースをネットで見たりすると、なぜ伝えられないのかと不思議に思うことがあります。今年に入って大きく報道されている「レオパレス21」の手抜き建築がわかり、物件のオーナーと居住者を巻き込んだ騒動に発展し、ある意味以前からあった事が溜まりに溜まって爆発したことでニュースになりお互いに大きなダメージを受けているのを見ると、なぜもっと早いうちから問題にしなかったのかと思います。同じようなオーナーへの家賃保証、一括借上を行なっている業者についても、しっかりと調べて同じような事が起きる前に問題にしておいてもらいたいと思います。

今回はさらにそうしたテレビなどで報道されない企業の不祥事として「京王観光」によるJR乗車料金不正についての話題を先日になって初めて知ったので、その事について書かせていただきたいと思います。最近ではほとんど旅行代理店を使わずに自分でネット予約をして宿も交通手段も手配しているのですが、唯一旅行代理店に頼んでいるのは新幹線こだまを使った日帰り旅の「ぷらっとこだま」くらいなので、具体的に旅行会社がどういう不正をやっていたのかはわからないところがあるものの、団体旅行ツアーにおけるJRの乗車券を人数分発券せず、実際に参加した人数との差額を会社の利益にしていたという話があるのです。ここには、JRと旅行代理店が持ちつ持たれつで、実際に利用する人数の勘定をいちいち確認しないことを逆手に取った不正ということが言えるのではないでしょうか。

ただそれは、JRと旅行会社との問題で、同じように通常の料金を払っている利用者にとってはそんな不正が通るなら運賃を値下げしろという話になってしまうでしょう。両者の間には現場で問題にできればしたくないので、いい加減に人数を数えないでもツアー客を乗車させてしまっていたのかも知れませんが、もしこうした行為が京王観光だけではなく他の旅行代理店でも行なわれていたとしたら大変です。京王観光の場合、10年で2億円という被害額だそうなので、JRが改めて全ての旅行代理店に内部調査を依頼して同様のケースが出てきたら、いったいいくら本来入るはずだった運賃が払われていないことになるのでしょう。

こうしたことが大きく報道されるようになると、利用者の中には、「不正が当り前なら、自分もばれなければ不正をやってもいいだろう」と思って実行する人が出やしないかと心配になります。過去のブログで私が居合わせた電車の車内で行なわれていたかも知れない不正疑惑について書かせていただいたことがありますが、検札が来たら払うつもりで乗車していても、もしそのまま検札に会わずにグリーン車や特急列車に乗れてしまったとしたら、改札から出る前に精算をせずにそのまま抜けてしまおうと思う人が増えるかも知れません(通常は、車内で検札が来ない場合でも駅員に申請し正規の運賃を払うことが必要になります)。

こういう状態をモラルハザード(倫理の欠如)と言い、「赤信号皆で渡れば怖くない」というかつての漫才のネタのように、明らかに不正なことが当たり前のように行なわれる社会になってしまう可能性もこれからの日本で起こらないとも言えません。鉄道会社の出している様々なフリーきっぷや鉄道規則を研究し、正規の料金で安く乗ることについては問題ありませんが、ネット自体も不正のやり方を共有することに使われる可能性があり、日本社会のモラルの崩壊につながっていく可能性もあります。

まずは、旅行会社においても、今回問題となったJRの運賃だけでなく様々な名目で水増し請求がされているのかどうか、また宿や観光施設にきちんと約束した料金を入れているのかどうかなど、企業としてのモラルが疑われないようにきちんと業務全体において検証し、その結果をきちんと紹介してもらう必要があると思います。実際に安いツアーであっても、宿には正規の宿泊金額よりかなり安い金額しか払われないような事があれば、ツアー先のサービスの低下を生むかも知れませんし、利用者も旅行企画を立ててもらうことでのメリットもあるわけですから、その分はしっかりツアー料金に上のせしても大丈夫な状況というものを作っていく必要があるでしょう。それは、まさに先日紹介したばかりのQBハウスの値上げと同じような事であり、消費者は値上がり分の理由がわかれば納得して払う人もいるわけですから、いつまでも古い体質を引きずらないで欲しいと思います。


カテゴリー: 旅行・交通関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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