「どこでもスタンド」で検証してもらいたいこと

現在、日本のガソリンスタンドは曲がり角に来ています。現在、ガソリンが高値に落ち着くことでガソリンスタンドの経営は安定していると言われていますが、もう少し長いスパンで考えると、一つの問題につきあたります。

というのも、ガソリンスタンドの多くは地下に販売する燃料のタンクを設置しており、その耐用年数が来たものについては新しいものと交換しなければなりません。大手元売のフランチャイズで、安定した売リ上下があるスタンドはこうした設備更新について十分に考えた経営をしてきていると思いますが、限られた人のために営業しているいわゆる過疎地にあるガソリンスタンドについては、この改装費用が出せない所が続出しています。そのまま廃業になってしまうと、車のガソリンだけでなく農機具の燃料、冬には必要な灯油の販売についても行なってくれるところがなくなるので、地域にとっては死活問題になってしまいます。

過去には個人営業のスタンドを第三セクター方式の運営に切り替えてライフラインを確保している取り組みがあることをこのブログでも紹介しましたが、今回静岡県浜松市では、山間部の天竜地区において、さらに進んだと言いますかお金のかからないガソリンスタンドの存続について運用検証をすることになりました。

ニュースでは「どこでもスタンド」という風に紹介していましたが、ガソリンを運んでくるタンクローリーと給油機をホースと専用の器具でつなぐことで(準備にかかる時間は30分くらい)、給油機と関連設備だけを維持すれば良く、地下タンクも必要ない給油システムです。ニュースによると、タンクローリーは移動できますので、地域の何ヶ所かにこの設備を用意すれば、日替りでタンクローリーが来た日にはその場所で給油ができるガソリンスタンドになるというものです。

この仕組みは消防法では認められておらず、現在は災害対応の場合だけ認められていたのですが、今回浜松市はこの設備を常に利用できるようにすることで、住民が少ない地域においてもガソリンをはじめとする燃料を地域の人に使えるようにすることを目指し、これから検証を始めるということなのです。

また、大型コンテナを使った地上設置型の簡易給油所についても検証することになっています。それまでも地下でない地上型の燃料タンクを使った簡易給油所はあるものの、タンク容量が少ないので効率が悪かったとのこと。大型コンテナを使うと、普通の給油所の半分の費用でも、同じくらいの量の燃量を貯蔵できるとのこと。ただ、ガソリンスタンドを利用されている方はおわかりの通り、建物自体が頑丈に作られていたり、地震や大火などでガソリンスタンドが火元になって周辺に燃え広がらないよう防火壁の設置が義務付けられているなど、厳しい基準があります。

これは考え方を変えると、周辺が火に覆われているような状態でどこに逃げるかということを考える際、あえてガソリンスタンドの建物の中に逃げ込んだ方が防火壁によって火が遮られることもあるので、意外としっかりしているということでもあります。ですから、今回検証する「どこでもスタンド」について、単に便利だからと安全性をないがしろにしたのでは、かえって地域のためにならない事も考えられます。本当にガソリンが漏れ爆発する危険はないのか? という点についてはしっかりと検証していただきたいと思っています。

そして、日本全国を車で旅行する場合に考えるディメリットとして考えられるのが、タンクローリー式の簡易スタンドというのは、地域の中で日々営業する場所を変えている可能性があるので、そもそもレジャーで出掛けることが多い土曜日曜など休みの日に営業をするのかということと、現地へ行った場合、どの簡易スタンドが営業しているかという告知はきちんとされているのかという事が心配になります。

旅先でのガス欠は特にガソリンスタンド空白地域では大変な問題になります。ロードサービスの中ではガソリンの給油サービスを行なってくれるところもありますが、それが都市部でなく都市から離れた地方だとすると、ガソリンが届くまでに相当待つということにもなるでしょう。ガソリン携行缶という手もありますが、携行缶のフタがうまくしまっていない場合、車両火災の原因となる可能性もありますし、できれば地域にお金を落とすという意味でも地方のガソリンスタンドを活用したいという観点からすると、もしこれから検証が行なわれる簡易スタンドは旅行者にとっても使い易いのかという点についても検証を実施して欲しいと個人的には思います。


カテゴリー: 車関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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