電子マネーの理想と現実

北海道胆振東部地震で起こった大きな問題は、もちろん地震による被害ということはあると思いますが、北海道内で多くの場所で停電が起こったことで現金しか使えなくなってしまったことではないかと思います。

大規模な停電でお店のレジも使えなくなり、決済手段としてのクレジットカードだけでなく電子マネーも使えなくなってしまいました。そんな中で唯一使えたのが現金で、レジの代わりに計算機を使ってお金を払い、商品を受け取ることしかできないお店の様子が地震から数日後のテレビに映っていました。その際、スマホに電源が入っていても支払いには使えないという事が罹災した人の中でも強烈な印象として残ってしまったというのは、キャッシュレスで決済することを目指している人たちにとっては大きなショックであろう事は想像に難くありません。

いったん大規模な停電が起こるとキャッシュレスの決済を行なうためには現状の方式では予備の電源とネット接続のできる環境が必要になることと思います。逆に言うと事前にしっかりと準備をしている店鋪であれば、モバイルインターネットが安定して使えさえすれば、電子決済自体は可能なはずです。しかし、携帯電話会社の基地局が使えなくなるなどの理由でモバイルインターネットがうまく接続できなくなったり、キャッシュレス決済につきもののタブレットやパソコンにパソリを動かすための電源が切れるなど、諸々の条件のうち何か一つでもうまくいかない場合には現金を使うしか選択肢がなくなってしまいました。

今後全国的に電子マネーの普及が進むことは確かで、私自身悪いものではないと思っていますが、今回の震災で実際に現金しか使えなかったという経験をした人や、この種のニュースを見た人が「災害が起きた時のためにやっぱり現金持たないと不安だ」と思ってしまうことは、もはや理屈で説明できるものではないでしょう。そうした考えの人が多ければ多いほど、キャッシュレス経済というものの普及はこの日本では遅れることになりかねないのではないかと思うところもあります。

こうした人々の不安をうち消してキャッシュレス化の流れを進めるには、これはもう今回のように電気もインターネットも使えないような状況でいかに現金を使わないで決済することができるのか、推進する勢力が示し、その方法を全国的に普及させる必要があります。今回の停電では銀行のATMも動かなくなり、銀行口座にお金がいくらあっても引き出すことができなければ何も買うことができませんでした。そういった意味でも、「現金がないと何もできない」という人々の不安を解消するようなアナウンスが今後に向けて待たれるところではないでしょうか。


カテゴリー: 防災コラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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