サッカーJ2の最終節の結果を見て改めてサッカープロリーグの仕組みの妙を思う

今回もサッカー好きな方や、2023年のプロリーグでも二部であるJ2を中心に見ていない方にとっては面白くない内容であるかも知れないことをまずはお断りしておきます。優勝した町田ゼルビアについてはもう何も言うことなく、最終節も勝利で終え、J1昇格に華を添えました。果てして、J1でどこまで頑張れるかは未知数ですが、現在のJ1チームにとっても驚異の存在になるのではと思っています。

さて問題は、最終節の結果によってどこが自動昇格になるか、プレーオフに進出するかわからない残り5チームの結果になるのですが、データでは一番有利で、自力で勝てば自動昇格できた清水エスパルスが先行され追いついたものの逆転することができず、恐らくチームにとっては無念のプレーオフ行きになりました。同じように先行されてそのまま行くと自動昇格は無かったジュビロ磐田が逆転勝ちで、清水が引き分けたことで念願の一年での自動昇格を勝ち取りました。

ジュビロと同じ勝ち点でエスパルスを追い掛けていた東京ベルディは勝ったものの、磐田が勝ったことで勝ち点では並んでも得失点差でプレーオフへ回ることになりました。ただ今回の結果で3位に滑り込んだので、プレーオフの2戦とも勝つか引き分けでも上がれるという権利を得ることができました。磐田・清水・東京の3チームのうち、得失点差では一番厳しかったということもあり、次のプレーオフに向けての気合が入るような最終節になったように思います。

また、残りのプレーオフ進出チームについても、大逆転がありました。今年の天皇杯の覇者で、現在はアジアチャンピオンズリーグでも良い結果を出しているヴァンフォーレ甲府は、先制したものの追い付かれ、後半アディショナルタイムでモンテディオ山形に逆転されてプレーオフ進出は山形となりました。もしこの試合が引き分けで終わっていたら、すでにプレーオフ進出を決めている千葉に勝利したV・ファーレン長崎がプレーオフ進出になっていたという実にスリリングな展開が全チーム同時刻開始した試合の終了寸前に変わってきたのですから、どれだけファンが興奮する展開だったのかおわかりかと思います。

これで、プレーオフ進出チームは東京ベルディ・清水エスパルス・モンテディオ山形・ジェフ千葉の4チームになりました。勝ち点で上回る上位2チームの争いか? と考える方もいるかも知れませんが、そう簡単なものではありません。プレーオフ初戦で清水エスパルスと戦うモンテディオ山形は、かつてジュビロ磐田とJ1昇格を掛けて争った2014年プレーオフ準決勝のロスタイム、最後の最後に攻撃参加した山岸選手がコーナーキックのボールを頭で合わせて劇的な勝ち抜けゴールを奪ったことは今でも覚えています。最終節の結果によっては同じ状況で山形と磐田が試合をする可能性もあったわけで、ジュビロの関係者の方々は本当にほっとしているでしょう。今回の試合も山形はアディショナルタイムの得点ということで、清水は今日のような試合をしていたら足元をすくわれるかも知れません。

そして、もう一試合の東京ベルディと千葉ジェフとの対戦は、Jリーグ発足時のオリジナル10同士の試合となります。どちらのチームもJ2に沈んでからしばらく浮上できていませんでしたが、特にジェフがJ1に復帰したらと思うと、継続してリーグ戦を戦うことの意義というのか、それこそ関係者の喜びは爆発するのではないでしょうか。千葉は最終節に長崎に惜敗したため、プレーオフに向けてどのくらい調子を上げられるかということが課題ですが、ベルディも油断できないでしょうし、この4チームの中でどのチームがJ1昇格プレーオフを勝ち抜けるのか、全くわかりません。

と、これだけ熱くJ2の最終節と昇格プレーオフについて書けるのも、全てのチームが地域に密着した形で活動しており、たとえビッグクラブであっても、いくらお金を掛けて選手を補強しても、今回選手の移籍について不正があるとしてそのペナルティで全く選手の補強ができなかったジュビロ磐田が自動昇格を勝ち取るというような、全くのガチンコでチームの運命が決まるというJリーグの仕組みが素晴らしすぎます。同じプロスポーツでも固定化されたチームがずっと戦うだけて、いくら記録的な大敗が続いてもその存在を問われないプロ野球との違いが際立ちます。

私の地元は清水エスパルスのホームタウンで、もちろん清水に最後の昇格枠を勝ち取って欲しいとは思いますが、プレーオフで無様な試合をされたら、そこはきちんと考え直す事もチームにとっては必要なのではとも思ってしまっています。単にお金を出して優秀な選手を集めても勝ち抜けないJ2は改めて素晴らしいと個人的には思いました。もし清水が抜けたとしても、藤枝がJ2残留を果たし、今季にはJ2昇格を果たせなかった沼津もJ3で頑張っています。そうしたリーグの仕組みによって日本のサッカーは底上げされ、J1で活躍した選手が海外でも活躍できる素地になっているのではないかと、今年のJ2を見ていて思いました。残念ながら全試合終了したチームの方々も、ぜひ来年には昇格を目指し、さらなる混戦をJ2で作り出していけば、さらに日本のサッカーのレベルは上がるのではないかと思います。


カテゴリー: ノンジャンルコラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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