ここのところ、夏の大きなスポーツイベントが重なるように開催されています。多くの人が生で見たいと思われるコンテンツは少なくないと思うのですが、残念ながら昔のように地上波テレビで中継されるのが当り前という事ではなくなってしまいました。
これを書いているタイミングだけて書いてみると、高校野球の地方大会については他の競技への配慮からネット中継に切り替わり、以前であれば地上波のゴールデンタイムで放送されていただろうと思われる、日本国内で開催されたWBC&WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ、スティーブン・フルトン対井上尚弥の一戦は、Lemino(NTTdocomoの動画配信サービス)が独占中継し、無料登録すればネット経由で見られるものの、テレビの大画面で見るには、それなりの知識が必要になります。
同じく国内で行なわれている世界水泳は、決勝種目こそ地上波中継ですが、午前中の予選はBS放送での中継になり、バレーボールのネーションズリーグも結局は地上波での中継でなく全てBS波のみでの中継でした。さらに、女子のサッカー・ワールドカップについては、日本チームが出場しているのに予選リーグの1戦2戦はBSのみでの放送で、3戦目にようやくNHKの地上波で放送されるような予定になっています。
このような状況になってしまった背景には、テレビ離れということもあるのですが、多額の放映権料をテレビ局が負担することができなくなった懐事情にも関わってきます。さらに言うと男子のサッカーワールドカップや大谷翔平選手が出場するアメリカ大リーグの試合中継について、NHKBSではなく、AbemaTVからの生配信で見たという方もいると思います。ちなみに、女子のサッカー・ワールドカップを見たいけどBSがない人については、「FIFA+」という動画配信サービスでライブ配信を無料で行なっているので、どうしても見たい場合にはネット経由で見ることになります。
そうなると、もはや現代のテレビというのは、単にアンテナを立てて地上波・BS・CS放送を見るだけではなく、自宅のネット回線に接続させて様々なネット配信サービスを表示させて楽しむことができるかどうかによって、かなり自宅でスボーツを見たいと思った場合の見られるスポーツの数は変わってくるということになります。
私の場合は、テレビにAmazon FireStick TVを接続することで、あらゆる動画配信を見られるようにしていますが、それは機材だけでなく安定して高速通信できるネット環境があるかということが次に問題になってきます。私は以前、楽天モバイルの回線を使って自宅のインターネットをまかなっていましたが、ハイビジョン画質でも時々詰まって待たされるような事が起きたため、光回線に入り直しました。それで今はほとんどストレスなく自宅のテレビで動画を見られるようになっているのですが、小さなスマホやタブレットの画面くらいで見るくらいなら、楽天モバイルの回線でも何とかなるのではないかと思います。
思うのは、まだ周辺で新型コロナにかかった人がいるという現状はありつつも、世の中はずっと自宅に籠もって過ごすようなライフスタイルからすでに変わりつつあるということです。スポーツに限らず大きなイベントでは声を出すことも普通になりましたし、全国の観光地は人が戻りつつあります。そんな中、自宅で常に生配信は見られるのではなく、外でも家と同じように見たいと思う方は多くなってくるのではないでしょうか。
私自身は色々と考えつつ外でも何とか生配信の動画を見続けられるようにスマホのプランについては考えて契約しているのですが、普通の人が外でも大きなスポーツイベントの試合をスマホから見たいと思った場合、今までのようなローコストの月3GBで千円前後のプランでは、一気に高速クーポンを消費してしまい、見たい時に見られなかったり、途中で高速クーポンを使い切って見られないような状況も出てくるのではないでしょうか。
今後の事を考えても、こうした動画配信の動きが無くなることはないと思いますので、個人的には安いプランであってもスマホの画面で見られるくらいの画質であれば、高速クーポンの残りを気にすることなく外でも家と同じように動画を見ることができるような環境というものを作れるかというのが実は大事ではないかと思うのです。
どういうことかというと、現在、中学生くらいになるとスマホを普通に使えるようになるのですが、昔であれば地上波テレビを付ければ、自分の憧れるスポーツ選手のプレイを見ることができたものの、今ではテレビを見てもスポーツイベントは放送されず、スマホで生配信を見るような形に変わってきています。もし高速クーポンが少ないプランでしかスマホを使えない場合、自宅のWi-Fiが使えないのであれば、スマホプランの高速通信を使い過ぎてしまうと他の事ができなくなってしまうので、無料Wi-Fiの使える場所を探すか見るのを諦めるしかなくなります。
今後のスポーツに新たなスターを生むためには、多くの人が憧れるスーパースターを多くの人が簡単に見られるようにすることも必要だと思います。個人的には学生専用に、単に月額を安くするだけでなく、スマホで動画見OKなチューンがされたプランがあっても良いと思いますし(例えば常に最大3Mbpsキープとか)、学生が無理なく公衆Wi-Fiを安全に利用できるような設備を作るとか、あっても良いのではないでしょうか。公衆Wi-Fiの整備というのは、大規模なモバイル回線のトラブル対策にもなるわけですし、これだけ多くの人が話題にするスポーツイベントが地上波テレビで見られなくなった今、通信キャリアの方々にはこの国の将来を考えて真剣に学生に対する動画コンテンツ優遇について考えていただきたいと、これだけ大イベントのテレビ中継が無くなってしまった今、真剣に思います。