現在のマイナンバーカードに関するニュースを見ていると、情報を入力して自分で考えて利用している人・いない人については大きな問題になることはないと思いますが、全くニュースを見なかったり、マイナンバーカード自体を知らないような人にとっては、今後の社会で生きていくこと自体が難しくなってしまうのではないかという感じがします。
現在、政府はマイナンバーカードを健康保険証の代わりとして使うことを言っていますが、マイナンバーカードは5年ごとの更新が必要で(身分証明として使うためにはそうした事は必要だと思います)、もし更新を忘れてしまった時に運悪く病気になってしまった場合、保険証としてマイナンバーカードを病院に持って行ったとしても、医療補助が受けられず、後日返金があるにしても窓口で10割の負担を強いられるようなこともあるかも知れません。
もし、スマホにマイナンバー機能を入れて、カードの更新(顔写真の撮り直し)などもスマホで申請ができてしまうということなら、事前の更新のお知らせはマイナポータルの方から届くと思いますし、実際に役所に出向く場合には出来上がった新カードを受け取るぐらいにしてくれれば、利用者側もそうですが、役所の方の負担も減り、システムもうまく回っていくのではないかと思いますが(これは個人的願望で、その様になってくれれば嬉しいということです)、これはあくまで対応したスマホを使いつつ、バージョンアップのため新しいスマホが必要になった場合には自分の意志で買い換えるだけのスキルを持っているかどうかで違ってきます。
健康保険証の他に、運転免許証についてもスマホの中に入り、さらに更新時の講習についても、「ゴールド免許・事故・違反なし」であればオンラインでの講習でスマホ内で完結してしまうなら、これはこれで便利です。ただそうなるとスマホを常に身に付けている必要が出てきますが、例えばスマホでなくスマートウォッチに集約することができれば、それはそれで便利でしょう。しかしこれも、まだそこまで普及しているとは言えない、スマートウォッチ・スマートバンドを生活に取り入れている人でないとうまいこと行かない気もします。
現在、全ての人がスマホを持っているわけではないので、このままマイナンバーカードを強制にした場合、スマホのない人はかなり暮らしにくくなっていくだろうと思います。各種電子マネーは、クレジットカードのような物理的なカード類で代用できるところもありますが、QRコード決済の支払い方はカードではできませんし、近くのスーパーだと専用の電子マネーのカードを作っても、スマホアプリに登録情報を紐付けないとポイントが付かなかったり、付くポイントが少なくなるというような事が起きています。こうした流れが進んでいけば、自分一人ではアプリを使いこなせなくても、一人に一台スマホを持たせて、スマホでできることはスマホ内で完結させるような事をやれるかやれないかで、大きく生活の手間が変わってくるようになってしまいます。
今の時代は、公共交通機関にとってもきびしい状況が続き、北海道ではさらなる駅や路線の閉鎖が考えられているそうです。高齢化社会とあいまって、自分で車を運転できなくなったら、どこへも出掛けられないような買物・情報難民が大発生する可能性は高いと思っています。そんな中、頼りになるのはネットを基盤にしたスマホ活用の道に舵を切るしかないと思うのですが、相変わらず端末は高額であり、通信会社は通信と端末とのセット売りを分割で行なっているので、通信費が安くなったとは言え、新たなサービスに合わせスマホを買い換えるのも大変な部分があります。
もし政府が本気でマイナンバーカードを国民全てが使用できる環境を作りたいのなら、個人個人の持つネット環境について、金銭的な補助だけでなく、使い方の指導をしてくれるキャリア代理店への補助をするような事も必要になってくるのではと思います。先日、テレビでMNPによりスマホを買い換えることで小遣い稼ぎをするつもりが、複数のスマホを買わされてその残債を払い続けなければならないという被害者に取材した特集を見る機会がありました。
キャリア代理店の中には裏社会とつながり、詐欺電話の掛け子が使用するためのスマホをこうした募集により手に入れているという実態も報じられました。代理店としても、お店の経営を続けていくためには、とにかく自分の回線に乗り換えてくれる契約者が多ければキャリアからの販売奨励金が入るので、そのために裏社会の人たちと手を組むような構造があるそうなのですが、もっと他の事で代理店が営業を続けられる道があれば、詐欺被害の防止にもつながると思うのですが。
まずは、スマホであれもこれも行なわず、電話と社会生活をするための機能だけを求める層が使えるような端末を開発し、このスマホを購入する際には国が補助を出し、さらにそのスマホを使っている人やスマホの使い方がわからない人に向けたセミナーを行なうために援助をし、また通信プランについてもスマホで各種手続きをする事で困らないくらいのものを提供するくらいの事を国策で行なわないと、いつまでもマイナンバーカードについての問題は残ると思います。また、高齢者でなくても生まれた子供にさえマイナンバーカードを持たすのだとしたら、親のスマホで子のマイナンバーカードを管理できるようにするか、専用の子供用の端末を作るかしないと、そちらの方でも問題が起きてくるかも知れません。
それが大変だったら、今まで通りマイナンバーカードは任意とし、スマホと連携して便利に使いたい人が便利に使えるような形で、他のサービスとの一本化については考え直し、今まで通り任意にするのが妥当ではないかと思います。私自身は自分の情報が第三者に盗まれて犯罪や自分への恐喝などに利用されるよううな恐れを実際に感じたら別ですが、そうでなければスマホに必要なものは入れてしまって、うまく使っていきたいと思っています。ただ、私が考えているような事ができないような結末になるようなら、あえてスマホにマイナンバーカード機能を入れる事から考えていかないといけなくなるかも知れません。人々が何を求めているかということを、政府はもう少し考えてやってくれれば、賛同する人も増えるのではないかと思うと現在の状況は残念だと言わざるを得ません。