テレビの地域格差は現在も存在しているのに一向に変わらないという理不尽

現在開催されているFIFAワールドカップは、カタールのドーハで行なわれていますが、サッカーの日本代表チームにとっては、このドーハの地というのはあまり思い出したくもなかったでしょう。1993年に、翌年行なわれたアメリカでのFIFAワールドカップの出場権をかけた最終予選で勝てば進出のところロスタイムでイラクに痛恨の失点をして大会出場を逃した「ドーハの悲劇」の舞台であるからです。

これを書いている時点ではドーハの悲劇から29年も経ちます(2022年)。およそ30年経てば相当状況は変わっていると思えます。しかし、日本国内で全国の多くの人たちが見たいと思う日本チームの出場する試合を地上波テレビで見られないという状況はこの期に及んでも変わっていないというのは驚きです。

ちなみに、ドーハの悲劇の時には、地上波の放映権はテレビ東京が持ったことにより、当時は十分に「サッカー王国」だった静岡県をはじめ、テレビ東京系のネットがされていない地域では、当時はまだ一般的ではなかったNHKBSを契約して見るしかありませんでした。恐らく、当時も見たいのに見られない多くのサッカーファンがいたと思いますし、地域によって明らかな格差があるテレビ放送の理不尽さについては、このブログでもさんざん書いてきました。ちなみに、静岡県ではいまだテレビ東京の番組をネットしている放送局がないため、リアルタイムでは一部の時間(TVerのゴールデンタイム配信)を除いて見ることはできずにいます。

実は2022年になっても、地域に民放が揃っていない場所においては、11月27日の日本対コスタリカ戦を地上波テレビで見ることができなかったそうです。それでも、ドーハの悲劇から30年経つ中で、今回のFIFAワールドカップはネットテレビのAbemaTVで全試合中継があるので、自宅にインターネットが引いてある家庭であれば、パソコンでも先日紹介したテレビに繋ぐAmazon fire tv stickのようなハードと組み合わせれば、大画面のテレビで試合を見ることはできたわけですが、そうしたスキルがない人たちや、スマホを使っていても月末にかけて高速データ通信の残量がわずかになってしまった人たちは、見たくても見られない状況が生じていたということになります。

現在は新たな設備投資も見送られる中で、現在首都圏と同じ地上波テレビを見られない地域において、すぐに同じ地上波テレビで同じように全ての番組を見られるようになる事は難しいでしょう。ドーハの悲劇から30年経とうとしているのにです。

同じ日本に住んでいて、住んでいる場所の違いで、郵便や新聞など人の手を使って届けられるものが遅れたりするのは仕方のない面があるものの、日本全国をカバーすべきテレビの情報を今までずっと遮断し続ける理由は何でしょうか。インターネットでの24時間同時配信を行ない、インターネットを引いていない家庭については、テレビ放送専用のネット回線をセットし、テレビに接続すれば済む話ではないでしょうか。地域色が濃い場所であれば、ずっと東京の放送の同時配信された番組を見ているわけではなく、地域に根ざした地元の放送からの情報も頼りになりますし、ネット配信によって地方局が見られなくなるというのは(24時間同時配信に反対する方々のご意見の一つ)、本当にそんなことになるのかと思います。

現在は、有線のインターネットが引けない場所でも、携帯電話の電波を使ったホームルーターがあり、基本的に携帯電話がつながる場所であれば、地上波テレビの同時配信を見ることは技術的には問題がないと思います。こうした事はテレビでは全国ニュースとして出てくることはほとんどありませんが、それでは国内における情報格差は今後もずっと残るままになってしまいます。

現状ではいくら地方が頑張ってネット環境を整備したとしても、今回のようにとりあえずネットが使えるようになっていても使えるだけのスキルのないご家庭については、AbemaTVのアプリをパソコンやAmazon fire tv stickにインストールして、見たい試合を見ることは難しいでしょう。とりあえず、各地域で東京・大阪などで見られるネット局がない部分については、首都圏の放送を24時間テレビから見られるような仕組みを作ることがなぜできないのでしょう。果たしてこのような状況の中で、4年後も地域格差が残ったままになるのではないかと思えて仕方ありません。この事は、もっと多くの人に知ってほしいと個人的には思っています。

カテゴリー: 通信サービス全般ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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