もし日本でも大きな地震などの天災が起き、避難生活を送らなければならない中で電気ガス水道というライフラインが使えない場合、自力で温かいものが食べられるように色々考えておきたいものです。普通の方は、カセットコンロやカセットガスを使うキャンプ用バーナーと鍋(キャンプ用クッカー)のセットがあれば、比較的安価で燃料の備蓄をしながら、いざという時に湯沸かし炊飯調理と何でもこなせるので便利だと考える人もおられるでしょう。
ただ、普通に考えて水道が使えないという場合には手間を掛けて料理を作るというよりも、数々あるうちの食器とパッケージが一体化されたもの(アルファ米のパッケージやカップめん)を用意しておいた方が洗い物が出ず、鍋は湯沸かしのみで何度も洗わずに使用できますのでそうしたものをいくらか用意しておくと、通常時で賞味期限切れ寸前でもおやつとしていただけると思いますので、個人的には最低限のものでも良いと私は思っています。
その際、こうしたものをお湯で作るためにはどのくらいの量が必要なのかということが問題になります。アルファ米では尾西食品のものが有名(100g)ですが、うるち米の場合約160ml、おこわの場合は約110mlで美味しくいただけるようです。一袋の容量は、お茶碗二杯分くらい食べられるそうで、効率は良いですがパッケージ一つの価格はカップ麺より高くなるのではないかと思います。
またカップめんの場合、通常のカップヌードルタイプ(78g)では300~320mlといったところで、ビッグサイズ(104g)になると400mlくらい必要になるようです。また、丼タイプのものだとどん兵衛や赤いきつねなど、普通の丼タイプ(96g)だと400mlくらい必要になるようですが、サッポロ一番の丼タイプ(74g)については約350mlと少な目で収まるというのが有難いです。というのも、実際の災害時にはどのくらい水を食事で使えるのかわかりませんので、もしカップめんを備蓄する場合には、一回につき500ml以上のお湯を沸かせるような装備があれば何でも良いですが、そうでない場合は、逆に一回につき350mlくらいのお湯を沸かすことのできる装備にすることで、持ち出し品として備える量を減らすことも可能だと思います。
私の場合には、一回の湯沸かしで約350ml沸かせれば、保温ボトルの中でもカップ付きの同容量のものを複数持っているので、いったん沸かしたお湯をボトルで保管しながら次の湯沸かしにかかることで、複数人いても順番に食事や飲み物のためのお湯をわかすことができます。沸かすお水の量を計る時にも、まず保温ボトルに満水になるように水を入れ、その水を沸かすようにすれば、確実に350ml前後の量を沸かせます。そんな中で私自身、「最小の湯沸かしセット」を再考しました。
多くの方が最小の湯沸かしセットのクッカーとして用意するのは、実は鍋ではなく金属製のチタンカップであることが多く、私もスノーピークの「チタンシングルマグ450」と、昔100円ショップで購入したマグカップのフタがスノーピークのマグにぴったりだということで、セットで用意しておりました。これなら350mlのお湯を余裕を持って作ることができます。
湯沸かしに使う道具については、全てこのカップの中に入るようなものを揃えています。ごちゃごちゃと詰まっていますが、全て入れた状態で問題なくフタが閉まります。中味を全て出してみると以下のようになっています。
・スノーピークチタンシングルマグ450
・マグ用蓋
・チタン製巻取式風防
・自作のアルコールストーブ(グルーブストーブ)
・ステンレス皿(グルーブストーブの台として使用)
・ファイヤースターター
・シリンジ(アルコール燃料取り分け用)
・折りたたみスプーンとフォーク
・アルコール燃料入れ(30ml)
基本的には燃料用のアルコールを使った湯沸かしになります。大きな音をさせず、350mlの水を沸かすのに(夏)、アルコールの量は15mlあれば10分ちょっとで自作アルコールストーブの上にマグカップを直飲せして蓋をすると沸かすことができます。いざという時にはこのセットに常備してある燃料用アルコールと、350mlを保温できる真空断熱ボトル(カップ付)と一緒に持ち出せば、しばらくは温かい飲み物や食べ物(事前に350mlのお湯で戻せるものを選ぶ必要はあるものの)を作るには十分です。
もちろん、お米を炊くようなクッカーや、ガスを使える環境も持っているものの、片手で持てるくらいの容量に収まるもので、湯わかしさえできればいいと割り切れば、限られた水を全て食べ物・飲み物に使えるという点からも、災害時の環境に適応するものであると思います。ちなみに、上記の品物はマグカップと蓋はきちんと購入した方が良いと思いますが、風防については工夫次第で自作も可能です。他のものはあらかた100円ショップで揃ったり、自作で賄えるものであるので、比較的用意しやすいのではないかと思います。
なおこのセットは、外で湯沸かしの出来るような場所へ行くような場合に持っていくのにも荷物にならないので、すでにキャンプ用の調理器具を揃えている方も、趣味の延長線上で作ってしまうのもいいかも知れません。