甲子園の高校野球は大阪桐蔭の一強が続くもののそれが全ての道ではないということ

このブログを読まれている方の中にはスポーツ自体にあまり興味のない方もいるかも知れませんが、今回は高校野球というより甲子園球場を舞台に開催される全国大会についての話をさせていただきたいと思います。

大会前から私の住む静岡県で春の甲子園大会出場が濃厚だと言われていた聖隷クリストファー高校が選出されず、社会的にも大きな騒動になり、さらに直前に新型コロナに出場予定選手が感染し、その代役として出場した滋賀県の近江高校が決勝まで進出し、大いに盛り上がったものの、決勝戦は休養十分で選手層も厚く、さらに本大会の優勝候補の筆頭と見られていた大阪桐蔭高校がその実力をいかんなく発揮し堂々の優勝となりました。

なぜ野球をやっている高校生が甲子園出場を目指すのかというと、春・夏の大会は常にテレビで生中継され、大会で活躍すれば名が売れ、進学・就職にも有利になるだけでなく、夢のプロ野球への道へとつながるからなのですが、これだけ大阪桐蔭高校の実力が抜けていると、レギュラーになれないものの、今大会で活躍した選手よりも実力を持つ多くの選手が大阪桐蔭高校に行っているのだろうなと思います。

考え方は人それぞれですが、常に全国制覇を名指すなら、実力があって誘われれば大阪出身でなくても大阪桐蔭高校で甲子園に出場して活躍することを夢見て、今春も多くの新入生が大阪桐蔭高校に入学し、しばらくは全国一強が揺らぐことはないと思えます。こうした傾向は野球だけでなく、サッカーでは青森山田高校が「一強」として注目を集めています。こういう状況に嘆く方は少なくないとは思うのですが、多くの野球やサッカーをする子供達がそうした決断をするわけなので、恐らくその状況はしばらくは変わらないのではないかと思います。

ところが面白いもので、甲子園で活躍したりサッカーの冬の選手権で活躍すればすぐにプロで活躍できるかと言うとそんな事はなく、いかに自分の存在をアピールできるだけの個性を持ち、さらにチャンスを掴み取れる運を持っているかにもかかっているので、逆に全国制覇を言い過ぎることで、その後のモチベーションを保てなくなってしまうと、選手としては伸びしろがなくなってしまうというジレンマもあるのではないかと思います。

昨日はさすがに甲子園決勝の点差が開き過ぎてしまったので、試合の途中にテレビを消して代わりにYou Tubeを物色していたら、そこに野球アニメの「キャプテン」(ちばあきお原作)の初回が無料で見られるようになっていたので、つい見てしまったのですが、主人公の谷口くんは、物語上で常に全国の頂点を獲っていた青葉中学に入ったものの、自分の実力不足から二軍の補欠でずっと過ごすことに嫌気が差して地元の墨谷二中に転校することで、徐々に自分のポテンシャルを発揮し、ついには天と地とも実力差があった青葉中学に勝つところまでたどり着きます。

ちばあきおさんは谷口くんが高校に進み、甲子園を目指す「キャプテン」の高校生編とも言うべき「プレーボール」の執筆を始めたものの、結局甲子園を目指す途中で連載は終了し、その後ちばさんは自らの命を絶ってしまいました(その続編は作者を変えて「プレイボール2」として続きが描かれたものの、結局谷口くんは甲子園出場ならず)。

高校野球を描く漫画が、その名も「大甲子園」という題名で甲子園大会の試合を中心に描く水島新司さんのような作品が多い中、甲子園という言葉は出てきてもそこで主人公がプレーするわけでなく、可愛い女子マネージャーも出て来ないで淡々と毎日の練習や地区予選の試合を描写するちばあきお作品が今だに支持されるというのは実に不思議なものの、野球は甲子園出場だけが全てではないということも確かで、それがこの漫画を魅力的に見せてくれる要因の一つではないかとも思えるのです。

これも先日の話ですが、TVerで沖縄の琉球放送が、沖縄県内出身のプロ野球選手を集めてのトーク番組を見逃し配信しているのを見ていて、「プロで実際に見てびっくりした選手とは?」という質問の中に、昨年東京オリンピックの代表にもなった球界を代表する左腕、阪神の岩崎優投手の名前が出てきた時は思わずにやっとなりました。プロの選手から岩崎投手のボールを実際にバッターボックスで見ると、140km/hそこそこしか出ていないはずなのに、ボックス内では150km/h以上に見え、手元でボールが浮き上がる感覚なのだそう。

前にもこのブログで書いたかも知れませんが、岩崎投手は私の住んでいる静岡の地元の中学で軟式野球をした後で、サッカーでは有名ではあるものの野球では決して強豪ではない地元の清水東高校に進学したものの(学業では地域一番の進学校)、当然甲子園とは縁がありませんでした。岩崎選手がすごいのは、野球留学とは全く関係なく、当時の自分をとりまく環境の中で最大限の努力をしてきたことではないかと思います。

たまたま高校一年の時に当時の監督の知り合いということで臨時コーチとして指導を受けた輿石重弘氏(現秋田・明桜高監督)のバンド処理とシャドーピッチングを徹底的にやれとの教えを在学中に忠実に実行することで、独特のフォームを高校卒業までに作り上げたのだそう。岩崎投手の球がバッターボックスで速く浮き上がって見えるのは、いわゆる球持ちが良く、より打者に近い位置でボールを離し、なおかつなかなかボールがバッターから見えないと思ったら一気に球が来るというフォームの工夫にあります。それは、試合結果に一喜一憂している環境では得られなかったものかも知れませんし、やはり人によって甲子園に出場することからプロで活躍できる人もいれば、そうした経緯を通らなくても(甲子園出場常連校へ進学したもののレギュラーになれずに試合に出られないような環境でも)、高校時代よりさらに高いレベルで自分の実力を伸ばす事は不可能ではないという事を示しているような気がしてなりません。

この事は、何も野球に関するところで言えることではなく、普段の生活でも当てはまるでしょう。新型コロナが広がる中でなかなか外に出ることができず、自分の能力を伸ばせないという事に悩む人も多いとは思いますが、家にずっと居てもネットを利用することで知識を増やすことは可能です。同じ事を言われても、やはり最後にはそうした助言を真摯に実行するだけのやる気が大事であり、自分でももう少し色々な事を今の環境のままで向上させるように考えていこうと改めて思っています。


カテゴリー: ノンジャンルコラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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