銀行への硬貨入金に手数料が取られるようになると自販機やお賽銭はどうなる?

ゆうちょ銀行が新たに硬貨入金についての手数料を取ることを発表しましたが、日常的にはあまり硬貨で入金することはないと思って、大した事ではないと思っている方もいると思います。私自身も今まではそう思っていました。
今回話題になっているゆうちょ銀行の窓口で硬貨を預け入れる場合ですが、以下のように変更になっています。

・1枚~50枚 無料
・51枚~100枚 550円
・101枚~500枚 825円
・501枚~1000枚 1100円
・それ以降500枚ごとに550円が加算

手数料を取られないためには、現在一円から500円の硬貨を貯金でためていたり、消費税の支払いによるお釣りを溜め込んでいる場合は、一回50枚までを延々と窓口に持って行くか、上記手数料を払ってでも一気に入金してしまうか、とりあえずそのままにしておくかの三択になるのではないかと思います。
ちなみに、硬貨の入金ができるタイプのATMでは一枚から硬貨入金の手数料がかかります。その内容は以下のようになっています。

・1枚~25枚 110円
・26枚~50枚 220円
・51枚~100枚までは330円

51枚から100枚までの入金なら窓口より安いですが、持って行く硬貨の額によっては、入金額より手数料の方が多くなってしまう可能性もあるので、注意が必要です。こうなってくると、以前よくあった100円や500円をコツコツ貯める貯金という行動自体が非効率的になるだけでなく、手広く商売をやるようなところでも、駄菓子屋さんは元々上がらない利益を根こそぎ手数料で持っていかれてしまいますし、リースでなく自分で買って自販機を持っている人は、硬貨を入れて購入する自動販売機の撤去を検討する人たちも出てくるのではないでしょうか。特に自販機の大幅な撤去といいうことになると、今まで当り前のように利用していた人からすると、当り前の生活パターンが変わってきてしまいます。

特にこの夏にかけて、ぎりぎり黒字をキープしているような自販機設置者の方々は、早めに自販機自体を撤去した方が良いのではないかと個人的には思えます。電子マネー対応の自販機も出てきていますが、交換にはコストがかかりますし、何より100円以下の激安価格で売られていた自販機は根こそぎアウトになり国内では壊滅するような気がします。

他にも、一年間小銭をためて寄付するようなことをしてきた人も、募金をする側でも硬貨での募金にコストが新たにかかるようだと、街頭募金などこうした運動自体も下火になっていくでしょうし、直接電子マネーやクレジットカードから振り込んだりする方向へ行くのでしょうか。また、全国の寺社や神社のお賽銭は今のままの賽銭箱からの収集は続けられるのかなど、意外と社会に対しての影響は大きいのではないかという気がします。

こうなると、銀行は両替だけでなく入金にも手数料を取るとはケシカランと言う方もいるかも知れませんが、これだけ長くゼロ金利政策が続く中ですと、どうやって銀行の利益を確保し、行員の生活を賄うのかという問題も出てきます。今までは他の事業である程度利益を上げることで、サービスできた部分もあったのかも知れませんが、本当に今の世の中はどこにも余裕のない社会になってきたものだと思いますね。

今後は、もしかしたら神社にお賽銭用のQRコードが用意され、お守りや御朱印をもらうのも電子マネーでの決済になっていくような感じになるのかも知れません。駄菓子屋さんに小さな子どもたちがスマホを持って現れ、決済は電子取引になるような未来ももはや目の前という感じがするのですが、さすがに一気に変わりすぎという感じもしないではありません。

ただ、こうした流れを受ける形で、さっさと手元の硬貨を処分するような人は増えるかも知れませんが、ただそれが本当に正解なのかという事も考えられます。多くの硬貨が回収され、実質的には使えなくなってくると、残った硬貨には古銭としての価値というものが発生することになるでしょう。消費税が10%になったことで、発行自体が少なくなった最近の小額硬貨自体に付加価値が今後付いてオークションなどで高価な値が付く? なんてことも起こるかも知れません(その場合はきちんとした情報収集および、傷や汚れのないものを揃える必要もあるでしょうが)。

というわけで、しっかりと今の状況を認識した上で、溜め込んだ大量の硬貨を持っている方は、保存するものを除いたものについては、こまめに買い物の際に使っていくことをおすすめします。しかし、新型コロナの感染爆発でただでさえ存続が難しい中小のスーパーは、硬貨での売り上げが増えるほど入金コストがかかるので、かなりのダブルパンチですね。そうした業者や募金を行なう人たちについてはきちんと行政による救済措置も考えてあげた方が良いのではないでしょうか。


カテゴリー: ノンジャンルコラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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銀行への硬貨入金に手数料が取られるようになると自販機やお賽銭はどうなる?」への2件のフィードバック

  1. ケータイオタク

    いよいよゆうちょ銀行ATMでの硬貨取り扱い手数料の徴収が始まりましたね。これは将来ゆうちょ銀行ATMが硬貨を取り扱わないATMへの切り替えの布石だと思います。郵便局のATMは1台のみと言う局が多くその1台が故障すると大変です。ATMの故障で多いのは硬貨取り扱い機能。硬貨選別機は硬貨が汚れて居たり変形していたり、異物混入で故障が多いです。しかもコストがかかる。
    自販機については電子マネー対応はあとから付加する事が可能なので改造で済むことも多いです。硬貨投入口はいざとなれば塞ぐ事も可能です。
    ただコンビニ等でも入手可能と言う事を考えると今後減少はしていきますね。
    寄付がどうなるか。中国では乞食でも施しはQRコード決済で実際行われています。中国に知人が滞在していたので聞いたところ本当だと聞きました。
    電子マネーにしてもQRコード決済にしてもキャッシュレスの場合決済手数料の負担が問題ですが、昨年三菱UFJ銀行とリクルートが提供始めたcoin+はこの流れを配慮したものだと思います。決済手数料税抜き0.99%は受容出来るレベルでは。
    日本ではサービスに対する対価の意識が低いのが問題です。金融機関でもATMの維持時や補修費がどの程度発生しているか公表しても良いのでは。
    ゆうちょ銀行ATMの硬貨取り扱い手数料を徴収でATMは人件費が発生しないのに徴収するとはと批判する声も多いですが、保守維持費が発生する事は想像つかないらしい。
    長い間現金管理のコストは金融機関が負担してきましたが、マイナス金利もあり金融機関に負担する余裕が無くなってきた。三菱UFJ銀行は3,000億円程度にマイナス金利が適用されるらしいですね。
    一気に変わりすぎとも言えますが、変化を受け入れようとしない国民性を考えると世界の流れに対応するには必要なのかもしれない。
    太平洋戦争の敗戦で一挙に価値観が崩壊して再スタートしたから戦後の高度成長があったように。
    銀行系のcoin+やJ-coin動きの柔軟なPaypayなどは一挙に勢力を伸ばす可能性もあるし、他の有力Payも対抗して浸透を図る可能性も高いのでは。
    J-coinLiteは登録すれば使えるので子供でもスマホがあれば使えます。
    今後に期待したいですね。

  2. てら 投稿作成者

    ケータイオタクさん コメントありがとうございました。

    少額での電子決済については、例えば中国では普通に使われているスマートバンドに決済機能を付けて使うようにすれば、お子さんでもスマートバンドをタッチするだけで決済できる仕組みを日本でも作ることかできると思うのですが。

    また、日常的な金銭の取引を電子決済に代替するためには、スマホ(と中の通信カード)を何とかする必要があります。現在でも通話を止められている生活困窮者を救うために、民間の団体が通話・通信できるスマホを貸与したり、炊き出しの会場にWi-Fi機器を設置して通信が止められたスマホでもネット接続ができるような支援は行なわれているようですが、こうした事は今後公共サービスとして最低限の通信機器を補助するような事をしないと、いくらQRコードを提示したとしても支援を受けることもできなくなります。

    生活保護の手続きとは別に、一定の間隔で連絡を入れることを条件に、メール・電子マネーの使用ができるくらいの通信環境及び、通信機器を貸与するような仕組みがあってもいいのではないでしょうか。デジタル庁も出来たことですし、今後の電子化社会を展望する上で、決済手段の選定とともに具体的な方向性を出していってくれると安心するのですが。

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