紙の回数券が無くなると駅前のチケット販売業者も無くなる方向に向かうのか?

JR西日本が一部の紙の回数券を廃止するということを発表したことがニュースになっています。すでに回数券以外の乗車券・特急券がチケットレスで利用される中で、紙を用意して印刷するコストなどを考えると仕方のないような感じもしますが、こうした流れというのはたまにしかJRなどの鉄道を使わない人にとっては実質的な値上げと感じる人も出てくるでしょう。

私の最寄り駅は静岡駅ですが、急に東京に出掛ける用事ができた場合、普通に切符を買うという選択の他に現状でできるのは、主に駅前にあるチケットショップに入り、新幹線の回数券をバラ売りしているものを購入すると、正規でチケットを購入するよりも安くチケットを購入することができます。前日までに予定が決まれば、JR東海ツアーズの旅行商品「ぷらっとこだまエコノミープラン」がありますが、こちらの方は安いもののこだま号利用で降りる改札口も決まっているなど自由度が少なく、通常のチケットを購入したのと同じように使えて、窓口で購入するより安く利用できる回数券バラ売りの利用というのは、新幹線を使う場合に利用する頻度が高かったのですが、恐らくJR東海やJR東日本でもその流れでチケットレス化に舵を切ると思いますので、これでまた普段の生活においての出費が増えることは間違いなさそうです。

ただ、これはチケットレス化によって乗車券などの発券を全て鉄道会社が管理できるようになる中では当然の話で、今後全国にあるチケットショップはかなり厳しい状況になっていくのではないかと思います。チケットレス化が進むのは鉄道だけでなく興行チケットなどにも及んでいけばいくほど、行けなくなったイベントのチケットについて、発売元の方で再販売するような仕組みができてしまうと、もはやチケットショップの入ってくる余地はなくなってしまう可能性もあります。

チケットショップ自体のあり方についても、決して真っ当とは言えないような状況があることも確かです。例えば、郵便局の局員の方がノルマで買わなければならない年賀状を売りに来る(実際は強要ではなく無言のプレッシャーを与えられて大量買いせざるを得ない状況に追い込まれているような所もあったと言います)場合に、少しでも大量購入した際のお金を回収するために売りに行ったりすることが問題になりました。また、新幹線の回数券についても、クレジットカードを使って回数券を買い、額面より買い叩かれるもののクレジットカードのショッピング枠を手軽に現金化するために使われていたという悪しき慣習が今でもあると思います。

こうした半ばグレーな商売が成り立つのは、やはりお金に困る人がいて行政を含め誰も助けてくれない人たちが編み出した世の中の仕組みを巧みに使っているからなのですが、ネットワーク社会というのは、こうした曖昧な仕組みというものを直接破壊することのできるものでもあるという事をしみじみ思いますね。今後、チケットショップに持ち込んで一時しのぎをしていた人たちがどうなってしまうのか、本来はそれを政治が考えなければいけないと思うのですが、このままではチケットショップ閉店のあおりを食って破綻する人も増えてしまう可能性があります。そう考えると、チケットを買う側の利便性については、いくらか我慢しなければならないところもあるのかも知れません。

もっとも、この感染症蔓延社会の中では、無理に出張して直接会わなくてもリモートワークやテレビ会議もできるわけですし、もしかしたら鉄道の利用がコロナ前に戻らないのではないかという気もします。そうなると、現在のシステムを変え、チケットショップを廃業に追い込んでも構っていられずまずは自社の生き残りを目指して鉄道会社が動いているという風にも取れます。今後さらなるチケットレス化が進むことによって、回数券のバラ売りしているものを買うより安く鉄道を使えるようになるのかはわかりませんが、その状況によっては自分で代替の交通機関を考えることも、利用者側の生活を守るためには必要になってくることでしょう。特に遠方に出掛ける場合は新幹線より飛行機を使った方が安くなるでしょうし、多少は時間がかかっても車での移動を選択するようなケースも出てくるだろうと思います。

実際、公共交通機関を利用することに躊躇する場合、車で移動して長時間停めても安い駐車場に停めるような事ができれば(全国的に空き地を広大な駐車場にして安い駐車料金を設定するところも少なからずあります)、公共交通機関を使わずに不特定多数の人と接近することなしに移動することが可能ですので、しばらくは新幹線よりも自分の運転する車での移動を選択する事も今後は考えています。ただ、たまにではあるものの以前は普通に電車に乗っていた人の鉄道に乗る機会が減るということは鉄道会社にとってもあまりいい事ではないと思いますので、チケットレスで利用する乗車券・特急券の新たな割引やお得なチケットレスな切符の販売を期待したいところですね。


カテゴリー: 旅行・交通関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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紙の回数券が無くなると駅前のチケット販売業者も無くなる方向に向かうのか?」への2件のフィードバック

  1. ケータイオタク

    金券ショップは無くなる事は無いですが、相当数が淘汰されますね。自宅近くのイオンショップ内の金券ショップは閉店しました。新幹線の回数券などはまずC制だったと思いますがスタンプが押されています。クレジットカードで購入されたものだと言うものです。これは言われるようにクレジットカードのショッピング枠の現金化です。この為クレジットカードで金券類を買いすぎると使用停止になるようです。
    昔は精算も厳しくなく金券ショップで購入した切符で出張して正規運賃を貰うなんてことも普通でした。
    今後は扱える金券も範囲が狭まりますね。プロ野球の入場券は企業で年間シートの処分があるので残るだろうし、映画館、美術館なども流れては来るとは思いますが交通関係が減少するのは痛手です。
    考えてみればテレフォンカード、オレンジカードなどほとんどなくなったり見かけなくなりましたね。イオカード、メトロカード、ハイウェーカードも廃止されたけど以前はよく売っていました。
    図書カードやジェフグルメカードなどは使う機会もあるので金券ショップが無くなるのは困りますが。
    チケットレスで閑散期など対応も柔軟に設定は出来るようにはなると思います。

  2. てら 投稿作成者

    ケータイオタクさん コメントありがとうございました。

    今後は何をしてもデータとして残るので、なかなかそこをすり抜けるような物自体が無くなっていくような気がしています。そうなった時、やはりスマホ自体が本人確認書類のように使われると思うので、多くの人はスマホを拒否できないのではないでしょうか。また、金券ショップでスマホにデータを吸い上げること自体にお金を払うような仕組みができるとか、とにかく世の中はペーパーレス化の方に流れていくでしょう。

    だからこそ、あらゆるチケットを販売する方々は、全て一律でなく状況によって価格を変えるような売り方をスマホ決済で行なえるように考えて欲しいと思います。ネット経由なら刻々と変わる席の埋まり具合によって同じ席でも価格を変えて販売することも難しくないと思いますので、逆にそうなったら、安く買えるようだったら利用するような人も出てくるのではないかと思いますが。

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