5Gが普及した場合多くの人の通信料金が上がる可能性について考える

先日まで紹介したauが新たに始めるpovo2.0について、そのメリットを中心に考えてきました。しかし、物事には必ずウラがあるものです。昔から「タダほど高いものはない」という事が言われることがあります。少なくとも、あまり深いことを考えずにpovo2.0に移った人の中には、今後の通信費を高く払うようになってしまう可能性があるように思います。

というのも、現在のモバイル通信の多くのエリアをカバーする4Gのスピードと比較して次世代通信で、すでに一部の地域でサービスが始まっている5Gのスピードの差は10倍だと言われています。ダウンロードするスピードは10分の1になることは確かでしょうが、その分データ量を使い過ぎてしまう可能性があります。

通信量というのは目には見えないので、イメージが湧きやすいように、家庭の水道に置き換えて考えてみましょう。4Gから5Gになると、今より10倍の勢いで蛇口をひねれば水が出るということになるでしょう。風呂桶をいっぱいにするために、かかる時間は勢いよく水が出る方が早いですが、ちょっと油断してしまうと、水は風呂桶からあふれ、そのまま垂れ流されるだけになってしまいます。

水道の場合、全開だと勢いよく流れますが、多くのインターネットの場合、蛇口を絞って適度な勢いで流すことで水の消費量を減らすような事ができない契約内容になっていることが多かったりします。povo2.0のトッピングによるデータ量についても、高速と低速の切り替えができません。povo2.0以外にも、多くのキャリアおよび一部のMVNOの場合、全開で出しているといつの間にか高速クーポンが終了し、予定量終了の時点ですぐにチョロチョロ出し(最大128kbps~200kbps)になります。今まで勢いよく出ていた水がチョロチョロにしか出なくなるような状況です。

データ通信が遅くても全く使えないということはなくても、水道の例えでおわかりの通り、全ての生活の中で蛇口を開いてもチョロチョロとしか出ない水の勢いでは生活に支障が生じるでしょう。auがpovo2.0を出してきたのには、多くの人は基本料0円で使えるとは言っても、トッピングがない最大128kbpsのスピードのデータ通信では著しいストレスを感じて、際限なくトッピングのデータ量を欲しがり、その売上げで十分商売になると考えたのではないかと個人的には思います。

ネットでの口コミを見ると、現在水道の蛇口を絞るように高速と低速を切り替えられるUQモバイルの300kbpsや1Mbpsといういわゆる「中速」でのインターネットについて、まるで使い物にならないというような人もいるにはいます。もちろん、高画質な動画や音楽、オンラインゲームの利用といった場合には中速インターネットでもスムーズに接続することができない事は確かです。しかし、あえて画質や音質を落としたりして中速のまま利用できる事は中速で行ない、どうしても全開でのスピードが欲しい場合のみ高速に切り替えて利用するようなメリハリを持てれば、中速中心で必要に応じて限られた高速クーポンを使うような高速利用の方法でも何とかストレスなく利用することもできると思います。何よりも低速通信でずっと使うよりは遥かに快適であることだけは確かです。

今後、5Gのエリアが拡大されていくにつれ、さらに高速のモバイルインターネットの速度は上がると思います。しかし、多くのスマホの料金というのは5Gの時代になっても月ごとの高速クーポンの容量(通信に使用したデータ量)によって決まっていくので、月末まで持たない人は今よりも増加するのではないかと思います。その場合、我慢して高速を追加して使わないというのは難しく、足りなくなった分を追加購入するか、トッピングで増やすような形になっていくと、当然料金はかさみます。欲望の赴くままに高速データ量を増やしてしまう事が当り前になってしまうと、青天井にはなりませんが、毎月の通信料金は確実に上がってしまうことにもつながっていきます。

そうならないためにも、毎月の通信料を節約したいと思っている方は、水道の蛇口を使い方によって絞るように、通信スピードを利用者側でコントロールできるようなプランを用意しておくべきだろうと思います。通話とメール(LINEのメッセージ)だけで済ませたいなら、通話専用のシンプルスマホにpovo2.0の通話トッピングを付けデータ量はトッピングせずそのままで維持することも可能です。データ通信をするには、トッピングするのではなく、別に高機能スマホを持ってそこに高速と低速(できれば1Mbps出る中速のものが好ましい)の切り替えができるSIMを入れて2回線で運用し、通話と通信用のハードを分けるのが個人的には一番良いように思います。

実際のところ、こうしたことを考えずに一回線だけを選ぶとした場合、スペックだけを見ると楽天モバイルが一番使えるような気がしますが、楽天にはエリアの穴の問題がありますので、現状では無制限でデータ通信もテザリングもできるドコモの5Gギガホ プレミアで契約して思い切り使い放題的に利用した方が自宅に固定回線がなく際限なく使いたい場合には現状でのベストではないかと思います。ただ、私のように安いがエリアの穴のある楽天モバイルを自宅専用にするという方法もありますし、改めて自分のスマホの利用パターンをきちんと分析することができれば、5Gギガホ プレミアの料金よりも、複数回線を利用しても安く済ますこともできると思うので、色々考えること自体は無駄ではありません。くれぐれも目前の安さに飛び付いて、トッピングやデータ追加を何回もやって結局高く付くような事にならないよう、しっかりと考えた上で今後の通信利用を考えていきましょう。


カテゴリー: モバイル関連コラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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