昨日から一昨日にかけて、楽天に関する様々なニュースがマスコミを賑わせました。一般の方が一番食いついたのはMLBのニューヨーク・ヤンキースで活躍している田中将大投手を2年契約で楽天イーグルスが獲得したという事でしょう。あの田中投手が日本国内で見られるということで心踊らせている方も多いでしょうが、楽天はサッカーでも世界のスーパースターであるイニエスタと契約しており、その契約金はどこから来ているのか? という事が気にかかります。
全国的に外出自粛の中で楽天市場の売上は良くなっているのかも知れませんが、今後も楽天が生き残っていくためにはさらなる安定した事業運営が必要になると思われます。そんな中で楽天が社運をかけて参入してきたのが「第四のキャリア」と言われる通信事業であり、今はある程度お金をつぎ込んでも加入者数を伸ばしていくための方策を取っているという風に見ています。
そんな中で、ドコモが政府の要請に従う形で新プランのahamoを出し、他の二大キャリアもその流れに追随し、発表当初はかなりセンセーショナルだった楽天モバイルの月額2,980円という安さのメリットは消えつつあります。
楽天は新規加入者300万人まで一年間の利用料無料という形でユーザー数を増やし、2021年に入って、その加入者が200万人に到達したというニュースがありましたが、私もそうですがその発表があってすぐに契約したユーザーは今年4月頭に無料期間が終わり、それ以降は毎月2,980円という出費が増えることになります。個人的には楽天モバイルのエリア内で利用しているなら、他社と比べても優位性がある内容だと思うのですが、常に移動しているような方は、auのパートナー回線になったり、場所によってはパートナー回線が使えず、かと言って楽天エリアでも基地局が貧弱で使えないような事を経験している人もいるかも知れません。
そうなると、楽天エリアに不満を持っている人が考えるのは、ahamoを始めとした大手三キャリアの新プランへの移行ではないでしょうか。この流れが加速すると、将来の事業の柱と考えていたかも知れない、携帯電話事業自体を手放し、会社としての経営基盤も揺らぐという最悪の状況も考えられなくもありません。それでは現状で便利に使っているユーザーも困ってしまいます。
という事で出てきたのが、2021年4月からスタートするという、毎月のデータ消費量(楽天モバイル回線)に応じて月額料金が決まる新プランであると思われます。昨日楽天モバイルが記者会見で発表した新しいRakuten UN-Limitの内容は以下の通りとなります。
・月間20GB超 2,980円(変わらず)
・月間3~20GB未満 1,980円
・月間1~3GB未満 980円
・月間0~1GB未満 0円
他社と比べると相当に幅のある、利用データ量に比例した料金大系となっています。特にこれは「0SIM」の再来ではないか? と思われる月間1GB未満のデータ量しか使わない場合の0円のインパクトは相当なものでしょう。
これは、他社と比べると基地局の整備が遅れていて、今のままでは楽天モバイルを解約してahamoにしようかなと考えている人にとって、「ahamoなど大手キャリアの新プランへの移行は仕方ないが、基地局が整備されたら戻って来て欲しい」という楽天モバイルからのメッセージではないかと思います。一般的に、一度解約した通信会社にユーザーは戻るのかという事については、かなり頼りない展望になります。楽天が心配しているのは2021年4月以降、さらに300万人の一年間無料利用のキャンペーン終了後の契約者の激減により政府からのプレッシャー(利用している電波の剥奪も含めて)なのではないでしょうか。
そのため、どんな手段を取っても契約者数を維持したいということで、その景気づけと広告宣伝効果を狙い、楽天イーグルスの田中将大投手を獲得したかったという風に考えられます。交渉は効を奏し、「楽天の田中将大」が誕生しましたが、楽天イーグルスの成績はもちろんですが、果たして楽天本体の大きなギャンブルがどう出るのでしょうか。
ユーザー的には今後、楽天モバイルを契約している人は、契約自体はそのままにしておき、契約継続のための最低限の利用だけして0円契約を維持しつつ、楽天回線を利用しなくても使える楽天Linkアプリを使った電話とSMSを無料で使いまくる(^^;)というのがいいのではないでしょうか。これなら、2枚SIMが入るスマホに楽天のSIMを通話用として入れ、もう一枚のSIMは、MVNOの安い中速無制限のデータ通信専用SIM(具体的にはmineoの月500MBドコモプランにパケット放題のオプションを付けると月額1,050円+税)にすると、楽天Linkアプリからの発信をすれば、楽天のデータを消費することを抑えつつ音声通話も無制限にできるようになります。
私自身は自宅ネットを楽天モバイルにすると余裕で月間100GB超使うことも考えられるので、楽天の電波が使えるうちは月2,980円でも契約を続けるつもりですが、もし何らかの理由で楽天エリアなのに通信ができなくなった場合でも、そのまま0円キープは続けると思います。というのも、今後楽天がサービス開始直後の構想で発表していた、日本全土をカバーする通信衛星を使ってのエリア構築が完成したら、これはもう、ドコモよりも広いエリアを提供することができるようになるので、その点は後発組の強みになるということもあります。まさかの大逆転はあるのか? ということも含め、そこまで楽天モバイルが行ってくれることを期待したいですね。