生活支援とベーシックインカム

すでに一部の有識者の間では、今回の新型コロナウイルスの問題が起こる前から国民一人あたり毎月の生活費を支給する「ベーシックインカム」についての議論が行なわれていました。今後、本当に一時期でも生活することに対する費用を政府が支給するかどうかはわかりませんが、今回のコロナ騒動でわずかな期間で多くの人の生活がおびやかされる状況ができ、騒動が続けば続くほど様々な問題が起こってくるだろうことを考えると、一時しのぎの政策として現金給付を考えるだけではなく、社会制度としてのベーシックインカムを改めて考えるべき必要にせまられるのではないかと思ったりします。私自身この制度についてよく知っているわけではないので、細かいところまでは書けませんが、基本的なことと、果たしてベーシックインカムが日本で導入されたらどうなるのかということについて、今回は紹介してみたいと思います。

毎月の生活費といっても、支給される金額によってその意味あいも違ってくるだろうと思います。多くの人が想定するのは「必要最少限の生活費」という金額だろうと思います。具体的には「家賃」「光熱費」「食費」など、趣味嗜好をのぞいて人間が生きていくためにお金がいくらくらいかかるのかということになるのだと思います。当然、都市部と田舎では違うと思いますが、もし全国民で一律10万円という風に毎月の生活費が保証されるということになれば、子供をたくさん産んで物価も地価も安い田舎で育てるというライフスタイルを選ぶ人も増えるかも知れませんし、仕事はアルバイトを中心にして強引なパワハラや残業の強制には従わないで働く人が増えるかも知れません。それが結果として日本の少子化の歯止めになったり、大都市に人口が集中して地方の空洞化が起こるのを止める原動力になれば、それはそれで悪いことだとは思えない部分もあります。

ベーシックインカムというと、金持ちとそうではない人との格差が気になるという方もいるでしょうし、働かないで食っていけると思う人が増えてしまって社会がおかしくなるという人もいます。これも毎月支給される額によって変わってくると思うのですが、例えば毎月の現金(あるいは電子マネーで)支給がずっと続くということになれば、今の日本の社会制度や悪しき慣習がベーシックインカムで消える可能性もあるという点があります。

医療保険については、現在の高額医療についての補填がなくなってしまうとしんどいので全くなくすというわけにはいかないでしょうが、私の想像の範囲では「生活保護」「失業保険」「年金」およびその徴収と支給に関わる団体がいらなくなるはずです。地方公共民体や企業も家賃補助をしなくても家賃は毎月の支給分で利用できるなら、手当ての一部を減らすことができるでしょう。もちろん、支給をもらう側としても毎月のお手当だけだと最低限の生活しかできないということになれば、その不足分を補うために働くことになるでしょうから、全く働かない人が巷にあふれるような極端な社会にはならないのではないかという気がするのですが。

ただ、毎月の生活費支給をしさえすればバラ色の未来が出現するかというと、異論や実施に慎重な意見も多いため、日本での導入についてはほとんど無理だろうと個人的には思っていました。しかしなから、今回の新型コロナウイルスの騒動が長びけば、一回の10万円の支給だけではなく、継続した生活保証の実行が政府には求められることになるかも知れませんので、あくまで生活支援のための現金給付と言っても、それがベーシックインカムの実験に日本が着手することになるという見方もできてしまいます。

ですから、政府の中には商品券や企業に対する融資という形で予算は使っても、直接現金を国民一人一人に支給するということには絶対反対であるという考えの方というのは、ベーシックインカムには絶対反対だという人ではないかと思ってしまいます。

しかしそれでも、このまま感染被害が拡大し、多くの人から仕事が奪われた時、「家賃が払えない」→「多くの人がホームレス化」→「社会不安だけでなく衛生面でも限界を超える」→「漫画・北斗の拳のような力が日本社会を支配する世界」なんて莫迦みたいな想像も現実に起こるかも知れないと思うと、政府には今の社会の混乱を鎮め長期にわたって国民の生活を守るための方策を考えていただきたいと思うわけです。

その手段のうちのひとつが「ベーシックインカム」ということになると思うのですが、この憎むべきコロナウイルスのおかげで、こんなところまで考えなくてはいけなくなったというのは大いなる皮肉です。個人的にはベーシックインカムなしで、北欧諸国のように今より税金を上げる代わりに最低限の生活を政府が保証していただいてもいいと思っているのですが、さしあたっては今後の日本がどこへ向かうのか、その青写真を出して欲しいですね。個人としてはその内容によって、自分でできる生活防衛の方法について改めて考えていきたいと思っています。


カテゴリー: ノンジャンルコラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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