「片手チョイ入力」の仕組みについて

今回の内容を紹介するにあたり、テンキーを使って日本語を入力する画期的な方法である「片手チョイ入力」の仕組みを作られた増田忠士氏のところにお伺いのメールを出したのですが、そのメールの返事がない状態です。本来なら「片手チョイ入力」をセットする方法についても紹介したいのですが、増田氏の了承がないと設定ファイルの提供は不可能なので、これから書く内容を読んで片手チョイ入力に興味を持った場合は、今回書く記事を参考にして自分でローマ字テーブルを手入力してファイルとして保存するか、直接増田氏のホームページから問い合わせて、設定ファイルを請求してみることをおすすめします(基本的に設定ファイルは無料で私はいただきました)。増田氏のホームページのアドレスは以下にリンクを張っておきますので、その中の「お問い合わせ」から連絡を取ってみて下さい。

・増田式!PCキーボードの学校
http://keyboard.la.coocan.jp/

それでは、改めて「片手チョイ入力」について解説します。この入力方法は「2打」で日本語一文字を出すという点ではローマ字入力に近い気はしますが、テンキーだけで全てのカナを打つためにはキーを有効活用する必要があります。まず、テンキーにも両手によるキーボード入力をする場合にセットする「ホームポジション」があるのをご存知でしょうか。多くのテンキーには数字の「5」に何らかの印が付いており、普通右手でテンキーを打つ場合、スタート前には中指に「5」を添えて、左右の「4」と「6」に人差し指と薬指が乗るように置き、親指は「0」のところに置きます。

そうして指の中でも一番動きやすい人差し指のホームポジションである「4」の一打目を母音の「あ行」とし、「4」の連打で「あ」を出すように設定されています。かなというのは5つある母音に子音がくっついて五十音の文字を表わしているので、テンキーの数だけでも何とか全てのかなを出すことが可能になるのです。各キーの位置関係と出現させる文字あるいは記号については、以下の表のようになっています。

第一打
第二打
人差し指
中指
薬指
小指
人差し指
中指
薬指
小指
TAB
/
*
TAB
/
半濁音
タ行
ナ行
ハ行
+
エ段
オ段
9
濁音
ア行
カ行
サ行
+
ア段
イ段
ウ段
同上
マ行
ヤ行
ラ行
enter
1
2
3
enter
ワ行
0
.
enter
0
0
.
enter

さらにこれを、入力数字と出てくるかなに対応させたのが少し長いですが以下のような組み合わせになります。Google日本語入力のローマ字テーブルをいじってローマ字カスタマイズを行なう場合の参考にして下さい。

44 あ
45 い
46 う
47 え
48 お
54 か
55 き
56 く
57 け
58 こ
64 さ
65 し
66 す
67 せ
68 そ
74 た
75 ち
76 つ
77 て
78 と
84 な
85 に
86 ぬ
87 ね
88 の
94 は
95 ひ
96 ふ
97 へ
98 ほ
14 ま
15 み
16 む
17 め
18 も
24 や
26 ゆ
28 よ
34 ら
35 り
36 る
37 れ
38 ろ
04 わ
05 ゐ
06 ん
07 ゑ
08 を

基本的にはきれいに並んでいると思いますが、一つだけ法則の例外は「ん」です。50音表ではわ行ではない独立した行になるものの、「わ行う段」を「ん」にすることで入力しやすくしています。

ただ、これだけでは日本語の全てを入力できるわけではありません。小文字になったり濁音や半濁音が付いたり、用法上カタカナで書くものが出てきたりする場合、かなを出してからさらに「+」キーや「*」キーを連続して押すことで出すことができます。それらの組み合わせは以下の通りです。

あ+ ぁ
い+ ぃ
う+ ぅ
え+ ぇ
お+ ぉ
う* ヴ
か+ が
き+ ぎ
く+ ぐ
け+ げ
こ+ ご
か* ヵ
け* ヶ
さ+ ざ
し+ じ
す+ ず
せ+ ぜ
そ+ ぞ
た+ だ
ち+ ぢ
つ+ づ
て+ で
と+ ど
つ* っ
は+ ば
ひ+ び
ふ+ ぶ
へ+ べ
ほ+ ぼ
は* ぱ
ひ* ぴ
ふ* ぷ
へ* ぺ
ほ* ぽ
や+ ゃ
ゆ+ ゅ
よ+ ょ
わ+ ゎ

これだけでも日本語は打てますが、「きゃ」「ぎゃ」のようなローマ字入力で3打で入力できる文字については例えば「きゃ」を出す時に「き(55)」「ゃ(24+)」と合計5打も打たなくても済むように考えられています。「きゃ」は「5(K)」「2(Y)」「4(A)」というようなイメージで入力できるように作られています。また「ぎゃ」を出す時には単文字と同じく「きゃ」を出してから「+」を追加入力して出します。設定されている内容は以下の通りです。

524 きゃ
526 きゅ
528 きょ
きゃ+ ぎゃ
きゅ+ ぎゅ
きょ+ ぎょ
624 しゃ
626 しゅ
628 しょ
しゃ+ じゃ
しゅ+ じゅ
しょ+ じょ
724 ちゃ
726 ちゅ
728 ちょ
ちゃ+ ぢゃ
ちゅ+ ぢゅ
ちょ+ ぢょ
824 にゃ
826 にゅ
828 にょ
924 ひゃ
926 ひゅ
928 ひょ
ひゃ+ びゃ
ひゅ+ びゅ
ひょ+ びょ
ひゃ* ぴゃ
ひゅ* ぴゅ
ひょ* ぴょ
124 みゃ
126 みゅ
128 みょ
324 りゃ
326 りゅ
328 りょ

最後に、一部の記号については以下のような形で設定されています。ただこれは、自分で使いやすい割り当てがあるのなら自由に変えることは簡単にできます。

7+ 〒
8+ ー
9+ ・
4+ 。
5+ 、
6+ …
1+ /
2+ ~
3+ ?

今回は相当長くなってしまいましたが、一度今回紹介した内容の片手チョイ入力用の設定ファイルを作り、それを保存しておけば、いつでも普通のローマ字入力に戻すことも可能になるので、必要に応じて保存した設定ファイルをインポートして片手入力にチャレンジして欲しいと思っています。入力自体は普通にローマ字入力のタッチタイピングができる方なら、数時間も打てばだいたい打てるようになるのではないかと思います。特に最初からテンキーの付いたノートパソコンを使っている方であれば、外付のテンキーをつなげる必要もなく、片手だけでの日本語入力がすらすらできるようになるまでそう時間はかからなくなると思いますので、ぜひチャレンジしていただきたいと思っています。

(お知らせ)

今回の内容をはじめとして、テンキーを利用した日本語入力の方法である「片手チョイ入力」について書いたエントリーをまとめて紹介させていただきます。先にこのページにたどり着いた方は、ぜひ他のエントリーもごらんいただければ幸いです。

・テンキーで日本語入力をするために用意したいハード
https://syachu.net/2020021801

・テンキーで日本語入力をするのはどんな仕組み?
https://syachu.net/2020022301


カテゴリー: モバイル関連コラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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