移動運用可能な家庭用蓄電池システムを作る(5)

私の考える家庭用蓄電池システムというのは、あくまで停電によって自宅の家電製品が使えなくなった場合のバックアップ用途として考えています。ですから、常に安定して満充電にできるように家庭用のコンセントから充電できる環境がある事を前提にしています。

しかし、1日以内で復旧するような停電ならまだしも、災害もひどくなるとなかなか停電が復旧しないような場合もありえます。さらに交通網が遮断されることによりガソリンの入手も難しくなった場合、ここまで機材を揃えていたとしても、前回までの蓄電池システムでは充電する手段がなくなってしまうのが悩みの種です。できればいざという時の別の手も考えておかなければいけないでしょう。

その解決方法として、完全に問題を解決できるとは限りませんが、他所からのエネルギーを当てにしないで充電できる方法がソーラーパネルによる発電だったりします。今私がこれを書いている2012年時点では太陽光発電というのは化石燃料エネルギーからの転換という意味で語られることが多いと思いますが、私の作ったシステム上においては、家庭のコンセントから充電するのが主という事もあり、ソーラーパネルを常に動かそうとは考えていません。私の考える太陽光発電は売電のためではなく、全く電気を使えなくなったような場合の繋ぎとしてのものとして考えているといった現状があります。

たまたまそんな事を考えていた時、高出力のパネルにコントローラーとバッテリー充電用のコードがセットになり、架台も最初から付いていて、さらに折りたたむことによって持ち運びや移動も可能なソーラー充電セットが格安で売られているのを発見しました。楽天内の国華園さんという園芸ショップのショッピングサイト内にある「折りたたみ式100Wソーラーパネル」というものです。ネットでの販売物は状況によってすぐに売り切れになったりしますし、この文章をご覧になる時期によっては同じ物は入手できないかも知れませんが、まさにここまで書いてきた私のような使い方にとってはベストの選択だったと思いますので、ここで紹介させていただきたいと思います。

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パネル自体は50Wのパネルが二枚セットになっています。以前紹介した単三電池2本を充電するミニソーラーパネルと並べてみましたが、その大きさがわかっていただけると思います。普通のソーラーパネルの場合はそれだけで自立せず、別に架台を作る必要がありますが、このセットでは簡単ではありますが写真のようにベランダなどに設置することができるような脚が最初から付いています。

パネルの裏には最初から充電用のコントローラーが付けられており、充電状況の確認がLEDライトででき、一定の電圧に達したら充電を切る機能が付いています。ちなみに、説明書きによると充電できるバッテリーの容量は60~100Ahとなっています。容量の小さいバッテリーを充電する際がちょっと心配ではありますが、配線は単に二枚のパネルを一緒につないでいるだけなので、必要に応じて束ねていた2枚のパネルから出ている配線を繋ぎ分けることでパネル一枚で充電することも簡単にできそうなので、今後使っていく中で応用範囲は広そうですね。

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パネル自体は折り畳みができ、パネル上部には持ち運びのできるハンドルが付いています。さらに嬉しいのは、写真にはありませんが、この上からすっぽりかぶせるようにできる専用のキャリーバックが付いているので、使わない時にしまっておいてもパネルに汚れが付きません。私が購入した価格は12,800円でこの価格ではパネル自体を買うより安いくらいでした。これを見付けるまではパネルとコントローラー、ケーブルを別々に購入し、設置するための架台をどうしようかと考えていたのですが、このセットを購入したことでそうした心配は吹っ飛んでしまい、いざという時の発電用として十分すぎる買い物となりました。

ソーラーパネルを使って複雑な発電システムを組もうと思っている方は、付属のコントローラーを使わずに制御部分のみを自作しても面白そうですし、何しろ私の軽自動車でも後部座席に載せれば何とか運ぶことができるので、他の地域での災害支援にこのパネルと大型の自動車用バッテリーを持っていくということもできるでしょう。とにかくこれで、バッテリーを家庭用コンセント・車のシガーソケット・ソーラーパネルの3wayで充電できるシステムが完成したわけです。今回はバッテリー本体とインバーターは以前から持っていたり、いただいたりしてお金がかからなかったので、総額3万円ちょっとで何とかなりました。読まれている方が私と同じようなシステムを作る場合、インバーターの選択で予算は変わってくるかと思いますが擬似正弦波のインバーターでいいなら5万円もあれば立派な家庭用蓄電池システムと、それを各種方法で充電するセットが完成できると思います。工作なども全く必要ないので、興味のある方はぜひチャレンジしてみてください。

その(1)
その(2)
その(3)
その(4)
その(5)


カテゴリー: 防災用品・防災コラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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移動運用可能な家庭用蓄電池システムを作る(5)」への2件のフィードバック

  1. KAN

    はじめまして。
    バッテリー交換で使用しなくなった物を使って蓄電池システムでも工作できないかと思って検索したら、このサイトに辿り着きました。
    大変参考になりましたが、基本的なことで笑われるかもしれませんが、複数のバッテリーを使いたい場合は、どのようにすれば良いでしょうか?

  2. てら

    KAN さん コメントありがとうございます。
    複数のバッテリーを繋げて使う場合は、+と-を間違わないように気を付けながらジョイントケーブルで繋げばいいと思うのですが、詳しい接続の仕方などは電気の事ですので専門書などで配線の方法について確認した方が安心かと思います。私が複数のバッテリーを使うような場合は、一つずつ別にしてそれぞれに充電して、一つを使っている時に別のバッテリーを充電するようにして使うと思います。その際、普通の自動車に付いているバッテリーの場合、室内で倒れたりしては大変ですから、それぞれケースに入れて倒れてもケースだけの被害で済みます。イメージとしては常に充電できているバッテリーを余らせているという感じです。
     ちなみに、一連の記事の参考にさせていただいた本「停電・アウトドア対応 独立系太陽光発電と家庭発電」(パワー社)にはバッテリーを複数使い、メインバッテリーが上がってもサブバッテリーから給電できる太陽光発電システムについても紹介がありますので手に入れて参考にしてみるのもいいかと思います。

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