改めて2020年の「サマータイム」導入について考える

2018年の日本の夏に過去に例を見ないくらいの暑さになったこともあり、誰が最初に言いだしたのかは個人的にはわかりませんが、主にオリンピック関係者の口からサマータイム導入への可能性が言われているように思います。
先日のニュースでは、国際オリンピック委員会の方で、東京オリンピック組織委員会がサマータイムの導入を提案していることについて、支持するコメントを発したのだそうで、このままオリンピック委員会と日本の政府が両手を携えてサマータイムの導入に舵を切るのかどうかということについて個人的に注目しています。

元々日本のオリンピック委員会は、競泳の決勝レースなど多くの海外の人気競技において、巨大スポンサーが多くいるアメリカやヨーロッパの放送時間に合わせて時間をずらさざるを得ない状況があるので、スポンサーやアメリカともめずに安全に、特に陸上のマラソン競技を行なうのに競技の時間変更を日本側から言い出さなくても済むということからサマータイムを言い出したのではないか? と思ってしまうところもあります。

ただ実際サマータイムになるとどうなるのか? ということを考えてみると例えば2時間時計を巻き戻すとして、午前9時始業午後5時終業の会社の場合、サマータイムで2時間早めると、実際は午前7時から午後3時までの仕事時間になるわけです。

オリンピックの時期の日の出は東京はだいたい午前4時40分頃と言われていますので、マラソンのスタート時間も実質的には午前5時頃と日中の暑さが今年並みだと考えるとベストなスタート時間になります。しかし、この辺はまだ出場選手も決まっていない中で先にサマータイム導入を決めると、レース的には波乱が少なく、日本独特な気候を生かして何とかメダルを狙いたいと思っている日本選手としてもなかなかメダル圏内に割って入るのが難しいレースになりそうな気がします。悪天候を逆手に取って有力選手が次々と脱落する中で虎視眈々とメダルを狙っているような選手にしたら、サマータイム実施が決まった時点でチャンスが無くなると考える人もいるかも知れません。

さらに、サマータイムを決めるなら決めるでオーソドックスなレースに強い選手を選考レースで選ぶための選考会の環境を作らないといけませんし、できるだけ最終選考会は当日と同じような条件で行なって欲しいものだと思います。だとしたら早くオリンピック当日がサマータイムになっているのかそうではないのかを決める必要が出てきます。国もJOCも選手ファーストと言うのなら、できるだけ早くサマータイムについての結論を出してあげるべきでしょう。

ここでもう一つ指摘しておきたいことがあります。オリンピックに直接参加したり、毎日楽しみにオリンピックを見たいとか、大会のボランティアに参加したいという人であればそれだけで話は済むのですが、サマータイムがもし日本で再び実施されれば、オリンピックに関係ある人もない人も、全ての人に生活習慣の変更を強いることになるという面もあるわけです。サマータイムでは始業が早まればその分早く寝て早く起きなければなりませんし、終業が午後5時でも今までの時間で言うと午後3時になるわけですから、まだ太陽が照っていて外での仕事にそれほど支障がない状況になるので、政府の労働関係の取り決めが守られない職場では過重労働が科される心配もあります。

何より、このサマータイムを実施している他の国が今後のサマータイムの実施についてどのように考えているかということも考えておくことも、今の日本では大切になるのではないかと思います。実はEUでは現在行なわれているサマータイムの廃止が検討されているというのですが、サマータイムには太陽の照っている時に効率的に活動することで節電効果があると賛成する意見がある一方で、サマータイムの実施日から一週間くらいは睡眠時間が短くなってしまうので、健康の事を考えるとサマータイムの導入をやめてはどうかという反対の声が多くなっているそうです。

この事とは直接関係はありませんが、オランダ・ライデン大学のレベッカ・トロンブル助教授のチームがツイッター言論の「健全性」を評価するプロジェクトというのを始めるそうで、具体的にはツイッターでは偏った意見ばかりが発信され増幅されているのか、それとも多様な意見が含まれたものが発信されているのかを調べて数値化するのだそうです。

そのために調査するテーマとして「移民」とともに選ばれたのが、「サマータイム」だったのだそうです。トロンブルさんは、「移民問題は大きく意見の分かれる問題であって、左派と右派で分極する。一方でサマータイムはそれほど激しく分かれない」(2018年9月12日 朝日新聞朝刊「ネット点描」の中から発信を引用しました)とテーマとして選んだ理由を説明したのだそうです。

サマータイムに賛成する人と反対する人というのは移民の問題と同じように双方いるわけですが、激論になってお互いがお互いを罵りあうような形で議論がなされるような問題ではなく、もし今後EUがサマータイムを廃止するようなことになったとしても流血を伴う暴動が起こるような事までは想像しにくいですが、移民問題では最悪の状況が起きればかなり悲惨な事件も起こるのではないかと考えることもできます。それだけに、日本政府も多少の反対があるにしても、場合によっては採決を強行することでサマータイムのための法案を通して実施することはできると思うのですが、最初にも書いた通りやるならやる、やらないならやらないでできるだけスケジュールを早くそれを決めていただかないと、日本で暮らしている全員が日々の行動を変えなくてはならないので、首相の鶴の一声でもいいので早く何とかこの問題を解決して欲しいです。

個人的には元号の切り替えも2019年には控えていますし、それだけでも大変なところ時間まで切り替えるのは個人よりも企業や大きな組織の担当の方には頭の痛い問題ではないかなと思います。とにかく、やらならやる、やらないならやらないという声明が政府から早急に出ることを期待しています。


カテゴリー: ノンジャンルコラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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