私は、現段階では電気自動車が今の技術で広く普及するとは思っていません。コンセントで充電する大型のリチウムイオン電池(携帯電話やパソコンの電池がこれ)はいわゆるレアメタルのリチウムを使っているがゆえに価格が高く、たとえ今政府の補助があって多少は安く電気自動車を買えたとしても、内蔵電池の充電を繰り返していくうちに電池が劣化し、電池交換する際にいったいいくらかかるのかわからないからです。
大震災の後、にわかに電気自動車が注目されるようになりました。テレビなどの説明によると電気自動車の充電は安い夜間電力で充電しておいて、もし大きな災害が起きて停電という状態になったら電気自動車の中にある電池から家庭用の電気を得るようにすればいいとのこと。ただこれは、以前に紹介した家庭用の蓄電池と同様に計画停電や1日くらいの停電には有効ですが、一週間以上停電が続いたらすぐに電池はなくなってしまいますしさらに車は走らなくなりますし最悪ですね(^^;)。災害時に問題になるのは、どうして使い切った蓄電池を充電するのかということに尽きるでしょう。以前紹介したリチウムイオンキャパシタは充電時間が少なく済む反面、まだまだ容量の点では不足ということで、別の方面からの取り組みにも期待が集まっています。
昨日のテレビで東京理料大の研究チームのナトリウムイオン二次電池への取り組みを紹介していました。リチウムはいわゆるレアメタルで、大型のリチウムイオン電池が高価になるのはしょうがない点もありますが、ナトリウムというのは塩なので資源としてはほぼ無限にあるものだけに、安全性の問題やリチウムイオン電池と比べた性能に追い付くだけの技術革新があれば、大型の蓄電池の価格が劇的に下がることも予想されます。となると上記のように電気自動車を家庭用の電源として使う場合、気軽に予備の蓄電池が用意でき、非常用電源と走行用の電池を別に用意する事もできるわけです。詳しい内容については東京理科大学のサイトでごらん下さい。
今の車中泊用に使われている車内バッテリーは鉛蓄電池が中心ですが、これが電気自動車を動かせるだけの大型化したナトリウムイオン電池に取って代わり、その価格もお手軽なものになれば、もっと気軽に家電製品を車内に導入する人が増え、載せる蓄電池の容量によっては車内クーラーでさえ実現できるようになるかも知れません。現状でも高速道路のパーキングスペースや有料駐車場を中心に電気自動車充電用のステーションがありますが、これも電気自動車だけでなく、車載用の大型充電池も充電できるようになれば、寝ている間に充電が可能になるので、更に車中泊を楽しもうとする人にとっては行く末が気になるのではないでしょうか。
実際問題として、今よりコストを大幅に下げた大型充電池が一般化され、さらにそのリサイクルがしっかりとできるようになれば、原子力に頼らないライフスタイルも現実のものとなるかも知れませんね。資源のない日本のような国ではこうした技術こそが未来への期待となりうるので、こうした研究には皆で後押しをしたいですね。