ランタンというと、ガソリンや灯油、ガスのものが長く一般的で、その雰囲気は野営をしているなという趣にあふれたものでした。その昔、とある温泉地の大露天風呂で、特別に夜間の露天風呂を使わせていただいたことがあって、その際に大型のランタンの明かりを使って星見の露天風呂を楽しんだ思い出があります。そうしたものとは別に、長い間電池式のランタンというのは豆球や蛍光灯が主で、趣に乏しい上に電池も単一電池を沢山使っても長時間使えないなどいうこともあり、火事にならないように大きなテントの中で寝る前に使うという感じだったのではないかと思います。
となると、車中泊のため車の中でランタンを使うということになると、真っ先にガソリン・灯油・ガス式のランタンは諦めなければなりません。これは車自体がガソリンを満載した鉄の塊ということでもあるので、当然の成り行きとなります。それが当たり前の時期には、車内でランタンという選択肢すら私にはありませんでしたが、世の中というのは進歩するものです。火事の危険がなく、こうしたランタンの雰囲気が味わえるものはないかということで出てきたのが暖色系のLEDライトを使用した電池式ランタンだと言えるでしょう。LEDになり相当な明るさがありつつも消費電力も少なくて済むということになり、以前のように使い捨ての大きな電池の消費を増やす方向ではなく、充電して千回もの連続使用が可能な単三のニッケル水素電池に対応した製品も数々出てきています。
今回紹介するのは、大人が手にしてもちょっと余るくらいの大きさのEX-757MSです。実はこの他にも同じGENTOSから出ている電池式のランタンを持っているのですが、どれか一台に集約するとなると今のところ(2010年10月現在)はこちらのものになると思います。
一つ目のポイントとしては、エネループやエボルタなどにの充電式ニッケル水素電池に対応しているということが挙げられます。未対応のランタンでは普通に使えるものの、多少でも電力が残っている場合、使い切るまで搾り出すように点灯し続けてしまうので、消すのを忘れてしまった場合に電池を傷めてしまい、最悪の場合以降使えなくなってしまうことも考えられます。これらニッケル水素電池対応のランタンの場合、一定の電圧より下がったら強制的に消灯されるようになっていますので安心は安心です。ただ、使っている側からすると十分に明るいから大丈夫だろうと思っていると、何の前ぶれもなく突然消えてしまう感じになるので、充電し忘れた電池の入ったものを持って行った場合、予備の充電池を常に用意しておかないと灯りがとれないという最悪の状況もありますのでご注意下さい。
二つ目からはこちらの機種に特有の特徴ですが、多くの単三電池を使ったランタンが3本という中途半端な構成になっているのですが、こちらは単三4本という一般的なパターンですので、もし充電池が切れたような場合でも4本単位で売っているアルカリ電池などを余らせずに使い切ることができます。多くのニッケル水素電池の販売方法や充電器の仕様でも、4本ずつになっていますので、電池の充電管理が楽だということがあります。
最後に、このランタンはLED点灯部が本体にあるツマミで180度自由に回転するようになっていることでさまざまな使い方ができます。通常は点灯部は真下を向いていて、部屋全体を均等に照らせるようになっているのですが、これを上部まで180度回すと、手に持って懐中電灯として使えますし、本体に付いているフックで吊り下げれば電球を吊るしたような形になってテントや部屋などを照らすことができるのです。他のものでも同じように使えないことはないのですが、ねじ込んである部品を外さないとできなかったりして、暗闇で操作する事を考えるとツマミだけで簡単に使い方を変えられるこちらの方が便利です。光の方向を指定したい場合、ツマミを調節して範囲を絞ることもでき、車内の狭いスペースの一部のみを照らすような使い方もできなくはありません。
現状ではこのランタンは車には常備せず、部屋の枕元に置いています。電気を消した後、ちょっと周辺のものを見たりするには十分すぎるくらいの光量を保ちつつ、移動する際も懐中電灯代わりになるというのは、日常使いとともに災害時にも十二分に使えます。ちなみに、防水構造になっているので、外が雨である時や、露天風呂に夜入るような状況にも対応します。少々ゴツゴツしていて大きめというのがネックかも知れませんが、使い込めば使い込むほどその便利さに手放したくなくなる、そんな道具です。