車の中で寝るための環境を作るものとして、マットの選択というのは実に重要です。お金をかければかけただけの快適性が得られると思いますが、いわゆる乗用車タイプの車で寝床を作るためには、完全にフルフラットの環境を作ることが難しい場合もあり、何が一番いいのかという完全な解答はあるわけではありません。そんな中、さまざまなマットを多くの方々が試されるわけですが、まず最初ということでキャンプ用の銀マットを使っている方も多いかと思います。ここでは、あくまで個人的なお勧めという形で車中泊用に使えるマットという事で折りたたみ式のマットを紹介させていただきます。
このマットはキャンプ用に作られたもので、地面からの熱を遮断するように凸凹が付いています。さらに、簡単に折りたため、開くのもすぐにできるという特徴も併せ持っています。使った感想として、設営・撤収がすぐにできるというのはこの上ないメリットです。全体を膨らますエアマットは完全なフルフラットができますが、空気を注入するにも、その空気を出し切るのにも結構な時間がかかります。また、銀マットやリッジレストのような巻取り式のマットの場合、長期間巻いて保存していた場合、巻き癖が付いてしまっていて、寝床にセットしてもすぐに丸く反ってしまう不具合があります。折りたたみマットは収納に場所を取るというディメリットはあるものの、車での移動ということを考えれば、まずマットの収納場所を確保してから他のものを用意するようにすればいいと思います。私の場合はこうした折りたたみマットの上にさらに薄めのインフレータブルマット(ウレタン入りエアーマット)を載せ、二枚重ねにしています。こうすることで、インフレータブルマットだけでは寝心地に難があるところ、かなり違和感が少なくなりました。折りたたみマットだけで何とかしたい場合、もうひとつランクが上のサーマレストZ-Liteを導入するという手もあります。実を言うと、私が先に購入したのがZ-Liteの方だったのですが、二枚重ねにして各種マットと二枚重ねにした場合、柔らかい素材で変形しやすいと言われる写真のEVAフォームマットでも十分と感じました(ただ、現状ではZ-Liteの方を主に使ってしまっています(^^;))。私の場合はコンパクトにまとまる安物のインフレータブルマットを同時に積んでいますが、お風呂用のマットや長座布団、就寝スペースを広く使える場合は家庭用の折りたたみマットレスなど、身近にあるもので試してみて、寝心地に不満があったり、車の収納に限りがあるような場合に専用品を検討してもいいのではないかと思います。
例えば、お二人で使われる場合、Z-Liteよりもこの折りたたみマットを2枚購入した方がコストパフォーマンスに優れています。実勢価格で約3倍の価格差がありますので、3枚買ってもZ-Lite1枚(レギュラーサイズ)買うのと同じです。価格差分で上に敷くインフレータブルマットを物色してもいいでしょう。そうして導入していく中、私のようにZ-Liteにステップアップしたり、このマットの耐久性に不安を感じるなどした場合でも、いろいろ応用が利くのも嬉しいところです。
折りたたんで好きな長さにまとまるということで、座布団代わりにも使えますし、写真のように車内の断熱・結露防止のために車のフロントガラスのところ、サンシェードの後ろにセットするなどすれば、専用品を用意しなくてもそれなりの効果が出るところも嬉しいところです。私はそこまではやっていませんが、必要に応じてお好きな大きさに切って利用しても面白いかも知れません。
車の中で寝るということは、就寝用に設計されていないものを強引に寝床に変えるということで、特にマットの部分にこだわることで自宅での就寝環境に近づけることができるでしょう。限られた予算の中でどこにお金を掛けるかと言われれば、下からの冷気を抑え、ストレスとなるような凸凹をできるだけフラット化するマットの工夫が重要です。同様に考える方が多いため、車中泊のための専用品が売れているということだろうと思いますが、休みの都度旅に出られる方ならまだしも、それほど出掛ける頻度が高くない方にとっては、導入費用を回収できるほどの回数がそれほど見込めない場合もあります。今回紹介したマットは、さしあたってどの車でも使え、もちろんキャンプにも転用が可能です。車を買い替えても同じように使えますし、不幸にして破けたりしたとしても、それほど金銭的ダメージを受けないものということで、銀マットではまだ十分ではないと思われる方のステップアップの第一歩として個人的にはおすすめできるものです。今回は折りたたみマットを中心に紹介しましたが、別のマットと組み合わせたり、用途によって使い分けることが快適な環境を、安価な投資で作るためには重要なところです。皆様も、いろいろ工夫をして快適な就寝環境を作ってみてください。