SoftbankがNTTドコモの「ahamo」に対抗するためにMVNOの「LINEモバイル」の営業形態を変えてまで出したプランの正式名称が「LINEMO(ラインモ)」に決まったようです。さらに、月20GBと通話5分定額で2,980円という「ahamo」と同条件ではなく、通話定額をオプションにして2,480円にする「povo」に揃えるという後出しじゃんけん的な発表となったようです。
私自身はすでに月ごとに使い残した容量を翌月まで繰り越せるUQモバイルの「くりこしプラン」にしてしまっているので、それほどインパクトはないのですが、外で20GB近く毎月データ通信を使う人にとっては「ahamo」か「povo」か「LINEMO」からどこを選べばいいのかという事になるので、改めて今回は「LINEMO」の内容についてもう少し掘り下げていくことにします。
基本料金は月20GBで2,480円なのですが、LINEMOの場合は、パッケージ名の通りLINEのヘビーユーザーに対してのメリットを打ち出しています。具体的には、LINEの一部機能が容量を消費せずに使える「LINEギガフリー」があります。「トーク」「音声通話」「ビデオ通話」はデータ消費せず使えるものの、ニュース記事明細の閲覧など、LINEモバイルで別途データ消費が発生するサービスについてはLINEMOでも同じようです。また、ラインスタンプショップの利用については「LINEギガフリー」の対象外になりますが、2021年夏からラインスタンププレミアムのベーシックコース(保有可能数5個)を追加料金なしに利用可能になるということです。
Softbankとしては、音声通話は使わなくてもLINE通話やトークを主に使っているユーザーにこうした特徴をアピールすることで、LINEのヘビーユーザーに訴えかける効果を狙っているのだと思います。特にahamoもpovoも高速と低速(最大1Mbps)の切り替えができないため、LINE通話を沢山する人でその分のデータ消費が結構多い人にとっては役に立つのではないかと思います。
ただ、回線速度の切り替えができるUQモバイルのくりこしプランや、MVNOの月20GBより少ない容量のプランの中にはアプリで高速と低速が切り替えることができるものがあるので、LINE通話を低速に切り替えて行なえば、月にかかる料金はかえって安くなったり、実質的に使える高速容量は多くなる場合も出てきます。
個人的にはある特定のサービスに特化するようなプランというのは、そのサービスを使わなくなった時に他社との差別化がしにくくなるので、頻繁に回線を移転したくない人にとっては何か損をした気になるかな? という風に思います。私はまだLINEを使っているものの、インスタグラムやツイッターで連絡を取っていて音声通話の必要性を感じていない人もいるわけで、今後は、現在多くの人が使っているLINEであっても将来安泰ではないように思います。
私の場合は、今後様々なネットにおけるサービスが出てくるとは思いますが、そのサービスが最大1Mbpsくらいの回線でも普通に使えるようなら、UQモバイルのプランで全て対応可能(低速固定で使えば高速データ容量を減らさない)なので、代替サービスを考えなくて済むという風に考えてしまいます。Softbankが後出しじゃんけんにこだわるなら、さらにアプリで高速と低速の切り替え可能にし、さらにデータ容量の翌月繰り越しに対応するようでないと、なかなか選んでもらえないのではないかとすら思ってしまいます。
後は、サービスエリアが自分の行動範囲から外れないかどうかという問題もあるものの、もう一つLINEMOには気になる事があります。それは、高速データ通信使用についてのただし書きに「※時間帯により速度制御あり。」とあることです。Softbank本体がからんでいるので滅多なことでは速度制御されることはないとは思うのですが、必要な時にいつもの速度から減速される可能性が最初から書かれているということは、ユーザー側としてもその点を承知の上で使わなければならないということです。
もちろん、Softbankエリアでないと実用的な利用ができない人にとってはワイモバイルとともに必要なプランになるので、現在LINEを中心にコミュニケーションを取っている方は、コミュニケーションツールがLINEから変わった場合に引っ越しを考えつつ使うのが良いでしょう。どちらにしても自分に最適のプランは状況によって変わっていくと思うので、今回のプランにこだわらず、フットワーク軽く必要に応じて移っていく心構えも大事になっていくのではないでしょうか。