車中泊徒然草+

もはや日本メーカー製だから買って安心ではない性能と価格との関係を知れば選ばれないPCの販売価格

昔はパソコンを購入する際には、日本国内のメーカーが国内で製造することにこだわって購入していた時代がありました。国内メーカーの場合、過去に手痛い思いをした外国のパソコンメーカーのように、全く知らないうちに夜逃げのように国内から撤退しようとしてもできることではありませんし(以前Getewayの地元にあった販売店が前日までは普通に営業しているのに安心してノートパソコンを購入したのにいきなりもぬけの殻になった販売店の姿を見た時のショックは今だに忘れられません)、実際国内メーカーのパソコンはユニークで性能も高かったということがありました。私は最初のパソコンからMacを使っていて、ノートパソコンもPowerBookを重いのを我慢して持ち歩いていたのですが、当時のアップルはハードの理想はわかるものの技術が追い付いていないように思えたNewton MessegePadの方にモバイルユーザー用の製品をシフトしていて、いわゆるモバイルパソコンの開発には積極的ではありませんでした。

そんな中、友人から見せてもらった東芝のリブレットシリーズのあまりの小ささ(当時はWindows95)に、今までのAppleに対する想いはあったもののWindowsに乗りかえ、その後、今もそうですが日本国内で開発されていたIBMのThinkPad(現在はLenovoが作っています)など、質実剛健でキーボードも打ちやすいながら小さくてあらゆることのできるノートパソコンに乗り換えました。当時は、パナソニックもレッツノートがトラックボールを搭載していて、外にパソコンを持ち出す場合には国内で企画され作られていたものの中から選ぶのが当然という感じでした。

また、富士通についてもノートパソコンはともかく、乾電池で動き、小型ワープロとしてだけでなく、当時富士通が経営にかかわっていたパソコン通信の「ニフティサーブ」への通信機能も使えた「オアシスポケット」なんて魅力的なハードもありました。オアシスポケットには、まだ当時ではキーボードによる日本語入力をスムーズに行なえる「親指シフト(ニコラ配列)」の型式のキーボードタイプがありまして、外でも親指シフトを使いたいという場合の選択肢も用意されていました。乾電池で動くマシンといえば、今では考えられませんがオムロンも「マシフ」という小型パソコン(ユーザーの改良によりDOS/Vマシンとして動く乾電池駆動パソコン)を出していた時代があります。

それが今や、ThinkPadはまだ残っていて、レッツノートについては国内のモバイルパソコンの中でも一つのジャンルとして認知されているとは言うものの、やはり価格が手軽には手を出せないというような感じになってしまい、そのうちに台湾・韓国・中国のメーカーが色々な個性的なノートパソコンを出してくるようになっては、日本メーカーの優位性は失なわれてしまったような感じになっています。

それでもまだ、日本のメーカーのパソコンにこだわって購入している方はいるかと思いますが、そんな中で起こって先日ニュースになったのが「富士通クライアントコンピューティング」が、ホームページでの販売価格の表示に不正があったということで消費者庁から措置命令が出されたということでした。

ニュースを見ると、この会社は富士通のノートパソコンをウェブ上で販売する事について、通常時と比べると安い「キャンペーン価格」で期間限定で販売するかのように表示していたということです。しかし、そもそもそこに書かれていた通常時の価格で販売した実績がないのに、さもキャンペーン期間だけというようなあおり文句を付けて販売していたことが問題視されたようです。

私など、最近はとことんミニPCの価格を調べているのですが、あまりにも多くのチャンネルから販売されていて、果たして定価がどれなのかもわからない中、同じアマゾンでも同じパソコンの型番とスペックを持つものを並べ、どこから出品されているものが安く単に型番やスペックで検索しただけだと、最安値よりかなり高い価格で知らずに買ってしまうような恐れがある現状をつぶさに見ています。

こうした複雑な販売状況でも最安値を狙うためには、まずはきちんと自分の欲しいハードのスペック(CPUの種類やメモリ、ディスク容量や付いている端子の状況や付属品の有無)をしっかり把握し、同じものであっても別の業者(別の業者でもアマゾンの場合は別項目が立っていることがあるので)が出している場合もあるのでそこでの比較もします。

さらに、私自身は日本製にこだわらず例えば中国のメーカーの中でもどのメーカーの製品がいくらかは安心して使えるだけの実績を積んでいるかというところまで、多区のレビューや動画など、忖度なくメーカーのPRでないことを確認しながら選んでいくこともしないと、安く買えたとしてもトラブル続きで使いものにならなかったり、アフターサービスが受けられなくなったりすることもある(逆に言うとあまりに安い場合は壊れたら諦めることも含め)ということを考えながら購入するパソコンを決めるようにはしています。ただ、そうした検討の範囲には、今の日本のパソコンメーカーのものはほとんど入ってこない状況です。

最近は廉価版のCPUでも最新のものは中古の高性能であったCPUを積んでいるものと比べても遜色ないような状況になっているので、次に購入する可能性があった中古PCを導入すべきか否かという事についても考えてしまっています。中古で出ているノートパソコンのメモリは殆どが8GBくらいですが倍の16GBくらいないと長く使うには不安で、かといって最初からそれくらいのメモリが載っている中古を買うよりは、中華メーカーでそこそこのスペックのあるパソコンにすれば、最初から高性能で長めに使えるという現実を見てしまうと、改めて日本メーカーの立ち位置はどこにある? という風にも感じてしまうのです。

紹介した富士通のパソコンについても、いくらキャンペーン期間中の値引きだと言っても、冷静にそのスペックを確認した上で他社のPCと比較すれば、全く問題にならないくらい価格が高いと最初からスルーできる人がほとんどだと思います。わざわざ不正をしても売り上げアップになったかどうかも疑わしく、今回のような消費者庁から企業名を発表されるくらいなら、もう少しユニークで興味を引くような性能であったり価格のものを出す努力をお願いしたいものです。個人的に言えば、多少海外メーカーより高くてもきちんとしたアフターサービスがあれば、日本のメーカーのものを選択する余地はあるかも知れません。

ちなみに、今回のニュースで出た「富士通クライアントコンピューティング」のアフターサービスについてですが、故障時などの窓口の電話番号は0120から始まるフリーダイヤルでした。この点については購入者が時間を気にせずに相談できるということで、個人的には評価できます。国内のパソコン会社は企業へのリースなどを考えて作られているものも多いので、個人のお客さんに対しての売上が上がらない点もあるかと思うものの、高いなら高いなりのセールスポイントを出し、それを見て購入する人たちに選ばれるようなやり方を今後は目指して欲しいですね。

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