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ETC普及率が93%とはいっても

国土交通省は7月2日、全国の高速道路について、料金所の現金向けブースを廃止し、ETC専用にする方向で検討すると明らかにしたという事がニュースになっています。正直このニュースを聞いて驚きました。ETCの普及率が93%あるということがこうした判断をすることになった根拠だというようにニュースでは書かれていたのですが、新型コロナウィルスの感染が心配だからといって、有人の料金所を全て止めるというのは、流石に無理があるような気がするのです。

全てを新型コロナウィルス対応のためという理由付けは論外ですが、そうでなくても93%を100%にするのは大変だと思われます。例えば携帯電話の人口カバー率について、ドコモの発表によるとLTE(4G)エリアで2014年に99%まで整備されていますが、それでも100%ではありません。山の中でどうしても携帯電話のアンテナマークが立たない場所は存在します。テレビすら難視聴地域があるのですから、地上の基地局だけでは日本国内のあらゆる場所からの通信をサポートすることは難しいのでしょう。それでもあえて100%を実現するためには、楽天モバイルが目標とするような衛星基地局を組み合わせないと難しいわけで、最後のピースを埋めるためには膨大な労力を必要とすることは間違いありません。

ETCの普及率についても、サービス開始時にはほぼ無料で車載器を提供するような政策が取られましたが、私がそうして設置した車載器はトラブルを起こし、現在は別に購入したものを有料で付けることで利用するようになりました。現在は完全に有料になり、ETCを利用したい場合には車の所有者が機器代を負担しています。そうしたお金を出せない人はわずかな割合であってもいるということが確かなわけですから、政府はそういう人には高速道路を通行するなと宣言することに等しい話でしょう。

さらに、すでに車載器が設置されている中古車に買い換えたり、レンタカーやシェアカーなどETC車載器が付いた車を利用するとして(実質的に車載器の費用負担はなし)、現状でETCを使うためにはクレジットカードの契約および、ETCカードの発行が必要になります。クレジットカードの種類によっては、ETCカードを発行するにも費用がかかります。

キャッシュレス取引を行なうにあたって、クレジットカードの利用というのは当り前ですが、自らが望んでクレジットカードを持たない場合はETCを利用できないという事も素直に理解できると思うものの、自己破産を余儀なくされたなど、何らかの理由があってクレジットカードを持てない人がどうしても高速道路を利用したいと思った場合(生命の危険などの理由で時間を短縮して目的地に向かいたいと思う場合もあるでしょう)、何とかしてETC車載器とETCカードを手に入れなければ高速移動できなくなるというのは相当の反発を招くのではないでしょうか。

昨日の国土交通大臣の会見では、クレジットカードを持たない人への対応も考えるという話が出はしたそうです。しかし、例えば利用できるETCカードを持つために申込みから時間がかかるようだったり、保証金がかかるなどの手間がかかるような方法しかできなかったり、マイレージサービスが利用できないなど、クレジットカード利用者との格差を付けるような事については十分考慮の上で考えていただきたいと思います。コンビニでも購入できるプリペイドカードや、デビットカード、電子マネーでの利用は技術的に難しいのか、そういう事についても考えていただきたいですね。今後、もし高速道路に乗りたい(緊急避難的な利用も含む)のに乗れないような人を作る結果になるような事が起きてしまうなら、改めて日本人にとって高速道路とは乗れる人乗れない人がいる格差の象徴にもなりかねないでしょう。関係者の方々にはどうか賢明な判断をお願いしたいと思います。

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