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大手キャリアこそ「低速500kbps」サービスを

先日、MVNOのmineoの通信障害についての話を書きましたが、その時点で低速のスピードを従来の最大200kbpsから500kbpsに上げたことが何らかの原因かという可能性はあるものの、まだその全容はわかっていません。ただ、このような低速の底上げを行なうことで、「低速でもいいから使いまくろう」と大きなファイルのダウンロードを続けたり、動画を見まくったりするヘビーユーザーを呼び寄せるだけだという批判も当然出てきます。

個人的には、こうした「速度制限の数値」を底上げするということについては肯定したいという立場なのですが、それはなぜかというと、もはや電話でないネット接続というものも十分「ライフライン化」しているからという風に思うからです。

私達は大きな災害が起こった時、通信会社がある程度その災害の起こった地域や、全国でネットの高速通信を無制限に利用させてくれたり、普段は有料の公衆Wi-Fiを開放してくれるような措置を受けていますが、一般的な災害でなくてもどうしても安定してそこそこのスピードのあるネット回線を確保することが必要な場面というものが起こり得るということを今回の新型肺炎騒動で理解しました。

豪華客船のダイヤモンド・プリンセス号は横浜港の周辺で動きながら乗客の多くはまだ船内に留め置かれたままですが、その際にまだ船内の外につながるWi-Fiが自由に使えなかった時には外からの情報を受けることが一部できませんでした。その際にはやはり個人のスマホからのLTE接続というのが頼りになります。

ただ、限られた高速クーポンを使い切ってしまった場合、MVNOの場合は最大200kbpsですが、大手キャリアの場合は更に低速に制限され最大128kbpsということになってしまいます。さらに厄介なのは大手キャリアにはアプリによって高速と低速を切り替えるような仕組みがないのが普通なので、動画を少し見たぐらいでも一気にデータ量が制限を突破して月末まで低速での利用を余儀なくされることです(制限回避のためには追加料金を払って高速クーポンを購入すれば可能ですが、それだとMVNOと比べても高い料金が更に高くなってしまいそうです。

私の場合はメインで使っている回線はアプリによる高速切替ができるものを使っていて、普段は低速でradikoなどのデータ消費の少ないものを利用するようにすれば、どうしても高速でないとうまくいかない、テザリングしてパソコンでのネットに使う時などは高速に変更していざという時に備えています。

ただ、最大200kbpsくらいだと一部のストアアプリが大量のデータを読み込めなくて立ち上がらないようなことは経験しています。今後どこかの通信会社が安定して安く低速の最大500kbpsを提供してくれるなら、普段のスマホ使いではそのくらいのスピードでもあえて高速はいらないかな(高速が必要なら別の手段を使う)という風にも思います。

しかし、今回のmineoのようにもしこうした最大500kbpsでの低速通信の継続した提供が難しいということなら、いっそ大手3キャリアが責任を持って低速回線の最大値を今の128kbpsから増やすべきではないかと思うのですが。
もし、低速制限が最大500kbpsになれば、一番高速データ量の少ないプランに入っていればそれでも十分という使い方をしている方は少なくないと思います。当然そうした中速での無制限に食いつくヘビーユーザーもいるとは思いますが、それについてもキャリアの方で対応ができるのではないかと思うのですが。

例えば、radikoを一日中聞き続けた場合、およそ24時間でどのくらいのデータを消費するかと言うと、だいたい1GBとなります。普通の人は一日まるまるradikoを流し続けるというような使い方はせず、せいぜいちょっとした動画を見たり、あとは消費量のそれほど多くないSNSやアプリを通しての通信、ウェブ閲覧が主でしょう。そういう事を含めたその他のネット利用を考えると、すでに一部のキャリアで行なわれている低速でのデータ規制が思い出されます。auの場合は、低速での利用でも直近3日間のデータ通信量が6GBを超えるとさらなる低速制限になりますが、この辺のところを落としどころにすれば、低速で無制限だからとダウンロードを続けるヘビーユーザーの対策としては十分ではないでしょうか。

もし今後、高速通信のない最大500kbpsでのネット接続に限定したプランが出てくれば、動画を常に見ているようなユーザーは画質が悪かったり時間によっては動画が止まってしまうということもあるので、安い料金でもそんなに利用せず、今の月30GB以上のプランの方に向く人も多いと思います。特に今までスマホに馴染んでいない人でも、いざという時にはスマホを使って24時間radikoから情報を流し続けつつ、必要においてネットの動画および地上波同時配信のテレビ放送を最低画質で見られる程度の速度をキャリアは担保してあげてもいいのではないでしょうか。

個人的には現在のドコモのガラケー用プランは高速100MBまでという「ケータイプラン」が提供されていますが、もしこの料金のままで制限後のスピードが最大500kbpsになったらすぐにそちらの方に契約を変えます。ガラホ自体で利用するだけでなく、ガラホからのテザリングも現在は使えるようになっているので、今回のケースだけでなく山の奥の宿に宿泊したものの天候の急変を受けて宿が孤立したというような時には十分役に立つのではないかと思います。

できれば、今回の新型肺炎の状況を深刻に捉え、大手キャリアの方々にはデータ通信も通話と同じようにライフラインの一つであることを考えた上、改善をお願いしたいと思うところです。

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