車中泊徒然草+

楽天の損保参入はアマゾンと正面から争わないため?

車中泊の旅をする場合には必ず関わってくる自動車を安心して乗るための自動車保険ですが、火災保険や傷害保険とともに自動車保険を業務の中枢にすえている損害保険会社について、業界の再編としてはかなりインパクトの有るニュースが入ってきました。

一般的には知名度がそれほどないと思われる朝日火災海上保険を楽天が買収し、本格的に「楽天損保」として損保業界に参入することを表明したのです。楽天といえば少し前に第4の大手携帯電話会社を目指すことが発表されたばかりで、すでに生命保険の事業には参入して、テレビコマーシャルも流しています。ニュースによると従来の代理店による販売とともにネットでの勧誘もするということで、今後楽天がどのように生き残ろうとしているのかその方向性が見えてきたような感じがしています。

通信業務と自動車保険が結び付くというとすぐに思い付くのが、このブログでも紹介し現在私も使っている通信用のSIMが入っていて、事故が起きれば直接事故センターと話すこともできるドライブレコーダーです。東京海上日動火災保険の場合はNTTドコモの作った端末を利用していますが、もし楽天がこの形のビジネスに興味を抱けば、自動車保険とドライブレコーダー、さらにAIスピーカーをセットにしたような端末とドライブレコーダー向けのプランを新たに作ったりすることも可能になり、何より競争が生まれることでさらなるサービスの向上が期待できるということにもなるでしょう。

さらに、過去に買収した楽天トラベルとセットで旅行保険とのセット販売も計画しているとのことなので、旅行の申し込みと一緒に保険の申し込みもできるようになります。このように契約がまとまるということは、保険の付け忘れがなくなるということなので、もし旅先で怪我をしたり盗難にあったとしてもネットや電話一本で対応が可能になり、利用者にとっての利便性が上がります。実はこうした多業種の融合こそが楽天の今後に向けた戦略だと考えることができます。

通販の勢力争いとして現在はアマゾンが送料無料のプライム会員に登録させることでビデオ・音楽・電子書籍の利用をフリーにする「大盤振る舞い」を行なって会員を拡大させていますが、楽天は同じことで争うのではなく、例えば今回買収した損害保険会社を使って楽天市場で購入した一定額以上の商品について、わずかな金額でも延長保証や、メーカーの無償修理の対象外となる落下や盗難被害に対応するものとして、損保の物保険をくっつけたサービスの展開をしてくることは十分考えられます。

ですから、ユーザーはあくまで安く買えればいいのか、それとも購入したものを長く使いたいのかで通販で購入するサイトを選ぶ明確な違いというものが見えてくるということにもなります。今までと同じような経営を続けているだけではアマゾンに飲み込まれてしまうという可能性を考えた上での買収だと考えれば、新しい楽天市場のサービスや、楽天モバイルと今回の楽天損保がどうからんでくるのかというのは注目しながら見ていく必要があります。というのも楽天も損保におけるシェアを上げるために様々な事を仕掛けてくる可能性があるからです。

現在、ネットから見積をし、契約まで行なうことができるネット損保が一定の評価を受けて定着している中、今回の楽天損保はその中にも切り込んでくることになります。自動車保険は1年満期のものが多いので、新しくものが出てきてとりあえず入ってみて、もし気に入らなかったらすぐに元に戻すこともできるので、楽天の攻勢によってはかなりの数のユーザーが移動してくる可能性も出てきます。持続的に契約者をキープするにはそれなりの顧客対応が必要なのでその点については不透明な部分もありますが、個人的には車中泊の人用の補償が出てくると面白いかなと思います。

例えば、人の来ない道の駅で寝ていて襲われたような場合、車や積載物、人が犯罪被害に遭った場合に保証してくれるような保険ができれば、少なくともそんな事になった時に急いで逃げずに身の安全だけを守るようにするなどの心構えが変わってきます。他にも「当たり屋」にからまれるようなこともあるので、楽天の新損保会社には魅力的なドライブレコーダーを楽天モバイルとの共同で開発して欲しいです。

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