車中泊徒然草+

強権的な指揮権発動には綿密な検討が必要

お隣の中国の政府姿勢というのは、共産党のみが政権を作っていて、その中では個人の意見というものは切り捨てられるところがあり、それによって中国は経済的に飛躍を遂げたものの、個人の人権がないがしろにされているという批判も起こっています。これは、中国に生きる人だけの問題ではありません。

例えば、現在起こっている香港の民主化を求めている運動家を香港当局が拘束している件について、日本からでも批判的な言動をブログで書いたりYou Tubeで発表したりした場合、もし香港や中国当局にその内容を見付けられ、個人としてマークされた場合、たとえ日本国籍を持つ人であっても、中国の権力が及ぶ場所に旅行に出掛けた際に中国の法律を適用して拘束・逮捕される可能性も0ではありません。中国当局のこうした状況に憤りを持っていたとしても、仕事で中国を往復する必要があるような人の場合、うかつに公的な発言をしたり、ネット上でだれでも見られるようなものを発信することが身を滅ぼすような時代になってしまっているということで、便利なネット社会の弊害というものも感じてしまいます。

翻って日本の場合でも、今後国際的な競争に打ち勝つために「挙国一致」で物事にあたることが必要であることは確かです。最近ではNTTとドコモが一体化したというような通信に関するニュースもありましたが、今後どうなるか気になるのは、このブログの肝でもある「自家用車」が今までのように普通の人々に使える存在であり続けるであろうか? という事です。

政府は今後の目標として2050年までに、自動車の製造から廃棄・リサイクルまでのライフサイクル全体で二酸化炭素(CO2)排出ゼロをめざすことを発表しました。2030年にはガソリン(ディーゼルも?)だけで動く新車の販売を終了させたいというような発表もありましたが、世の中で売られるのが非化石燃料車のみになって20年でそれまで走っている中古車が全てCO2排出0の車に置き換わるのか? と思うのですが、これについてもどこまで「挙国一致」で回していけるのかという点にかかってくるでしょう。

ガソリン・軽油で動く車がなくなると、恐らく日本にあるガソリンスタンドは今のままでの経営が成り立たなくなる可能性は高いでしょう。今後の非化石燃料車が、充電する電池による電気自動車になるのか、水素を使って電気を起こし車内の電池に貯める燃料電池車になるのかわかりませんが、後車がメインの流れになるなら、ガソリンスタンドは水素ステーションに変わることで事業自体は存続可能ではないかと思われます。この場合、車が故障したりパンクしたりした場合の駆け込み寺的な状況も維持されると思うので、爆発の危険の大きい水素を安全に貯蔵・運用できる設備投資ができないところは廃業も止むを得ないでしょうが、流れに対応できるところは生き残り、燃料電池車の価格および、燃料の水素の価格が安くなれば、一般庶民でもガソリン車から燃料電池車に乗り換えることはできるのではないかと思います。

しかし、燃料電池ではなく充電が必要な電気自動車がメインになった場合、現在のガソリン補給時間で満充電はおろか急速充電することも難しいと思います。さすがに車はスマホのように充電をし忘れても外部バッテリーを接続して使いながら充電するようなわけにもいかないでしょう。瞬時に急速充電ができるようなかなり革新的な技術の改革がないと、一部の人たちはガソリン車に比べるとかなり使い勝手が落ち、結果として自家用車を諦めなくてはならないような人も出てくるかもしれません。そうなったら庶民は車を所有するというよりも、シェアリングで借りることが当たり前の社会になるのかとも思えますが、すべて借りて済ますのも、それはそれで気苦労が出てくるのではないでしょうか。

充電時間について気にしない人であっても、いくら家庭のコンセントから充電ができると言っても、一戸建てに住んでいる方はいいのですが、古い集合住宅の場合、アパート・マンションの駐車場を電気自動車が充電可能になるようにコンセントなどの設備を作ることがどこでもできるとは思えません。さらに、住宅内の駐車場が使えず、青空駐車場に車を置いているような人は、そもそも駐車中に充電自体が難しいようなことも考えられます。今は電気自動車が少ないので、買い物や移動の合間に公共の場所にある充電スポットを利用することも可能でしょうが、電気自動車が増えれば増えるほど、そうした場所の取り合いになってくるので、常に自宅からは満充電の状態で出発したいところです。そうなると、自宅で充電が十分にできない場合にどう充電するのかということも課題になるでしょう。

さらに、充電メインの電気自動車が普及し、充電ステーションが充実すればするほど、ガソリンスタンドはその存在意義を失い、ほとんど残らないではないでしょうか。そうなると、旅先で事故や故障をした場合には、どこかでそのアフターケアを引き受けることが必要になってくるでしょう。民間企業の場合、さすがに損をしてまで事業を広げることはできないでしょうし、現在あるロードサービスの会社も、車の台数が少なくなれば会費などを値上げするか、事業自体からの撤退もありえます。となるとメーカーの方でなんとかしないといけなくなるかもしれません。

そこまで考えていくと、問題は日本の車メーカーが日本国内ではなく、海外にどれだけ新型の電気自動車を売って利益を上げ、国内のユーザーの需要に応えられるのかということにかかってくると思うのですが、そうなると「電気自動車」か「燃料電池車」かという判断は、ここで紹介したような国内の事情よりも、海外(特に人口の多い中国などアジアの国々)でどちらの方式が主流になっているかというところの方がポイントになってくるわけです。

ただどちらにしても、このままの流れで進んでいけば、最初に紹介したような中国の政治・経済体制にも文句を言わずに従い、国内メーカーの利益を上げることが日本にとっての生き残る道というふうになってしまいかねません。個人的にはそこまで海外の事情に忖度して国内の状況が決まってしまうようなやり方よりも、多くの国内で生活をしている人にとってより便利に車を利用できる方向を見出していくことが大切なのではないかと思います。

もしこのままの予定で進んでいくとしたら、当初は新しい電気自動車や燃料電池車に乗り換えられない人が続出し、同時に車関連の仕事をしている人にも多大な影響が出るのではないでしょうか。強権的に制度を作り、それを実行していくことは状況によっては必要になるときもあるかもしれませんが、あまり急激に推し進めてしまうと、社会的には相当の影響が出るのではないかと思うので、今後の有識者会議では、そうした影響も考えてきちんとした話し合いが行なわれることを期待したいものです。

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