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携帯電話料金を人気取りに使われると

今回自民党の新総裁になった菅義偉氏は、官房長官のときから携帯電話の料金の高さに苦言を呈していた人物です。自民党の総裁になるということは、国会で指名を受け日本の首相になるということですが、現在まだ首相ではないもののテレビ出演時に携帯電話料金及び、大手キャリアに対しての発言が物議を呼んでいるようです。

2020年9月13日のテレビ番組での発言が(国内大手キャリアによる)値下げが実現しない場合、「電波利用料の見直しをやらざるを得ない」というのがその内容なのですが、まさかのドラマ・半沢直樹に出てくる「帝国航空(恐らくJALをモデルにしていると思われる)の早期退職者の受け皿になるはずのLCC・スカイホープへの新路線事業認可を半沢の作った帝国航空再建プランを行使させないために取り消す」くらいのインパクトのある発言でした。

ここで何を言っているかわからない方は、ドラマを見るというよりもドラマ・半沢直樹の第七話のあらすじをネットで調べてみてください。ドラマの話というのは、政府をあえて悪役にして主役の半沢直樹の行動を駆り立てるための設定であると思うのですが、今回の菅義偉氏の発言は、かなり大手携帯キャリアに圧力を掛けたと言われても仕方ない発言であろうと思います。

東日本大震災で国内の電力会社は大きな影響を受けました。事故を起こした東京電力だけでなく、大きな自身による津波で原子力発電所が事故を起こしたということで、国内の原発が一時操業を停止し、代替燃料の調達をするなど発電コストが上がることになりました。しかし、日本の電力会社は決して倒産はしないのですね。体制を整えるための費用は電気代と合わせて利用者に負担を求めることが電力会社ではできるのですね。

これと同じことが、通信会社でも起こる可能性はあります。当然キャリア側は政府の言う通りの料金値下げをすぐにするとは言えないでしょうし、そんな中で恫喝ではなく本当に政府が電波使用料を上げた場合、わざわざ赤字にして値下げをするよりも、キャリアは回線利用者に電波使用料の値上げ分を上乗せした「新料金」にしてくるのではないでしょうか。こうしたお上の横暴は、巡り巡って菅義偉氏が何とかしたいと思っている携帯大手キャリアではなく、何はともあれ優先して携帯料金を払っている一般ユーザーの負担につながるだけです。

政治にあまり興味がない人対して「日々の携帯料金を首相が下げてくれる」ことをアピールしたい想いはわかるのですが、今回のテレビでの発言は自ら悪役を買って出るような感じがし、これもドラマ・半沢直樹の影響なのか? と思ってしまうくらいです。

このニュースに派生して、同じ「電波使用料」というくくりの中で出てきたのは、改めて「NHKに国民が払っている受信料は適正なのか?」ということがあります。現在の受信料は地上波のみで月額たいたい1,200円ちょっと、衛星放送と込みの月額は2,200円ちょっとと安くはありません。2020年10月から値下げされますが数十円程度のものなので、あまり下がったとは言いずらい額になっています。

果たして、この金額が携帯料金に対して正当な金額なのかどうか、世界の中でも高い方に位置しているのなら携帯電話料金と同じく世界各国での公共放送受料の比較をした上で、大幅な見直しをされてもいいのではないかという話にもなってくるでしょう。

個人的には今の地上波契約の料金くらいで、ネット経由でのBS・CS放送が同時配信されて見られるようになるなら、それはそれで納得するくらいの英断ではないかと思います。BS放送は住んでいる場所によってはアンテナの設置ができない場所があるだけでなく、天気の影響を受けて厚い雲が上空にできたり激しい雨になったりすると見られなくなるという欠点があります。地上波をうまく見られない場所においては、衛星放送よりもADSL程度のネット環境があれば見られるくらいの品質(4K・8Kを見る場合なら受信料の追加という話も出てくるかも知れませんが)を日本のどこでも使えるようにしてくれれば、逆にNHKの受信料を払って旅行中にパソコン・スマホ・タブレットを使って地上波・BS・CSのテレビ放送をネット経由で見られれば通信料金の上乗せとしても悪くはなく、一定の理解を得られるのではないかと思います。

今回の事は、まだ政府としての公の場での発言ではなく、首相指名前のイレギュラーな発言であるため、そこまで真面目に検討する必要はないのかも知れませんが、今後は軽率に「電波使用料値上げ」などという言葉を公式に出してドラマさながらに携帯電話会社を恫喝するような政府がいる国にはなって欲しくないなと思いますね。

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