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香港だけの問題ではない「香港国家安全維持法」

香港国家安全維持法が成立した時から香港のあり方そのものが変わってしまったように思います。先日のニュースで、香港紙「リンゴ日報」創業者の黎智英(ジミー・ライ)元会長や日本のテレビ番組にもしばしば出演し、流暢な日本語で香港の現状を訴えた民主活動家、周庭(英語名アグネス・チョウ)氏がともに香港国家安全維持法に違反したとして逮捕されたのですが、この香港国家安全維持法という法律は実は私たち日本人にとっても関わりが出てくるかも知れない法律なのです。

どういうことかというと、この法律の第38条には次のような記述があります。「香港特別行政区の永住民の身分を備えない人が香港特別行政区で香港特別行政区に対し、本法に規定する犯罪を実施した場合は本法を適用する」つまり、日本で中国共産党の香港政策に対して否定的な意見を述べたり、ネットにアップした場合、もしそうした発言や発信を当局にマークされてしまった場合、香港に旅行に出掛けた場合、現地で逮捕される可能性があるのです。

私もここでは、上記ニュースについてはその事実のみを伝えるだけに留めているのですが、こうした内容を書いて発表すること自体が法律違反だと解釈される可能性も0ではありません。まあ、私自身は中国当局にマークされるような人物ではないのでそこまで心配することもないのかも知れませんが、もし今後香港に出掛ける機会があったとして、たまたま民主化運動をしている人とコミュニケーションをとったり(当然、旅行者と現地の人という形になると思うので、相手がどんな思想を持っているか知る由もありません)、中国当局が広げてもらいたくない瞬間をカメラに収めたりした瞬間をとがめられれば、日本国内での行動に問題がなくても香港で拘束され、日本に帰ってこられない可能性が出てくるでしょう。

また、今回逮捕を逃れた大物の民主活動家が日本国内に逃れた場合、彼らの支援をした人々や、イベントに参加したような程度の「支援」でもしっかり把握されてしまうと、もはや香港に行くこと自体がリスクになってしまう可能性さえあります。

昔から日本と中国というのは仲が悪いところはあっても、個人的にはしっかりとした絆でつながっていたケースも見受けられます。それは中国革命の父と呼ばれる孫文も日本に亡命し、日本人の支援者のもとで生活をしていた時期があります。当時の清朝政府にとっては孫文は今回逮捕された人以上に重要な人物であったわけで、今回のケースと同じようなところもあります。そんな中、あえてリスクを犯して香港の民主化運動を支持したり支援したりするか、あくまで香港への観光を安全にするために、一切香港の動向に眼をつぶるのか、難しい選択になるでしょう。

個人のレベルでは、例えば香港に出張して仕事をしなければいけない人は、中国当局の批判というのは仕事を放棄することを意味します。様々な状況を考える中で、簡単に中国のやっている事は許せないとは言えない状況もある中で、どう中国と付き合っていくのか、難しい判断が続きそうです。中国や香港に入る可能性のある方は、どうか十分に注意をすることをおすすめします。

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