車中泊徒然草+

車中泊仕様「ホンダ NBOX+」の利便性と限界

 ホンダの軽自動車の売上げがかなりいいという話があり、それが今回紹介する新車種のNBOX人気によるところが大きいとのことです。軽自動車で車中泊の旅を考えられている方の中にも、今回新たな機能を満載して発売される、新しいNBOX+はどんな感じで車中泊ができるのかと気になっている方は多いと思います。

 実際、このカタログの写真を見ていただければおわかりの通り、大人2人が悠々寝られる空間を作ることができます。ホンダのサイトへ行くと、何とニトリの6つ折りマットレス(2,990円)と併用させる使い方が紹介されていて、使わない時にも後部のスペースにきっちり収まるようになっています。あえて高い専用品を買わなくてもぴったりはまるリーズナブルさをアピールしているということですが、それだけ今までのメーカーはこうした配慮がなかったということがあるのかも知れません。ベッドメイキングした際の収納については、後部座席の下に広いスペースを確保しており、ご夫婦と小さなお子さん一人ぐらいならこの車で十分車中泊ができるように私には見えます。燃費の方もFFのG・Lパッケージで21.2km/lのカタログ値を誇り、従来の軽自動車の車中泊のための車として多く使われてきた1BOXタイプの車(バモス・アトレー・エブリィ・サンバー)を凌駕する燃費性能を有しています。

 ここまで書くと新しい車ですし申し分ない車中泊性能と感じられる方も多いと思いますが、軽自動車という規格のための問題というものもあることを理解した上で購入されるのがいいかと思います。軽自動車は長さや幅など、税金を安くするために規定のサイズ内に収めなくてはならないため、車の前方が出っ張っているタイプの車については、車内空間の長さが制限されます。1BOXタイプの車は運転席からのでっぱりがない分後部座席からの空間を広く取ることができるため、後部座席の空間だけで大人が足を伸ばして寝られるベッドメイキングが行なえますが、NBOX+の場合は普通の軽自動車と同じように前にエンジンが置かれている分、後部座席を倒してできたスペースだけでは就寝できる空間を作ることができず、前後の席をつなげ、その都度寝床を作るという作業が必要となります。

 これは私の乗っているワゴンRでも同じことで、前と後ろの座席をつなげることで、何とか自分が寝られるスペースを助手席側に作っています(運転席側はフラットになりません)。NBOX+は運転席側もフラットになりますが、車の中で寝ていて緊急事態となり、すぐに車を動かさなくてはならない場合に備えて、フルフラットの状態で車を動かせるように購入した場合はテストしておいた方がいいと思います。そして、ある程度の荷物スペースが確保できるにしても、1BOXタイプのように出しておきたい荷物を就寝時に邪魔にならないような形で前方にまとめておくようなこともできませんので、天井の収納スペースを工夫するとか、フルフラットにした場合の荷物の行方についても考えておいた方がいいでしょう。

 車内での居住性を考えると、どうしても1BOXカーの方に軍配が上がりますが、トータルでバランスがよく、普段使いの燃費もいいNBOX+は、2人で買い物も車中泊旅行もと考えた時にはなかなかいい選択かも知れませんが、新車価格はかなり高いですね(^^;)。1人車中泊旅行では、寝る際には窮屈さを感じるにしてもまだワゴンRの方が中古で安いものが見付かるならばいいとは思いますが、新し物好きの方で維持費を掛けずに家族で車中泊旅行をされたい方についてはかなり魅力的に映ると思います。多くの荷物を持って行きたい時には、屋根の上にルーフボックスを付けるということも考えればいいですが、余分な装備は確実に燃費を落としますので、その点も十分ご考慮しながら新たな車中泊カーとして仕上げていくにはいい車なのではないでしょうか。

モバイルバージョンを終了