今さらな話かも知れませんが、以前よりは「車中泊」というものがブームとして紹介される事は少なくなってきたと思います。というのも、車中泊の旅というのはある意味高速道路の無料化や、土日・休日の高速道路1,000円という政府の方針に乗っかるような形でブームとして仕掛けられたような感じもするわけでして。ただ今でも土日・休日はETC利用で一般料金の半額となっていますので、以前と比べても安価に旅に出る手段としての魅力は薄れてはいないと思うのですが。
しかしながら、単に安さだけで言うならばもっと交通費が安くなる旅の形態も現れた事で、以前車中泊の特集をしていたテレビなどは、今積極的に格安航空会社の衝撃的な価格設定についてほとんどその会社の宣伝のような情報を流しています。
他の方はどうか知りませんが、私など暦通りしか休みが取れないような仕事をしているので、ゴールデンウィークや年末年始をのぞけば、金曜の夜に出て、最長で月曜日の早朝に帰ってくるような(当然そのまま仕事に行くようになります(^^;))三泊四日の行程を作るのが精一杯です。それだけ時間を取ってどこまで行けるかという事になるのですが、高速道路を利用して北海道や九州へ行ったとしても、事故なく帰ってくるのは大変で、旅行に行くというよりも単に運転して疲れに行くだけになってしまう可能性さえあります(^^;)。しかし、格安航空会社による航空券と現地でレンタカーやお得なキップを組み合わせ、宿泊はビジネスホテルで妥協すれば、現地までのガソリン代+高速代や途中に休憩する際に買ったりするものとかを考えると、それほど差がないような気がします。まさに格安航空会社はお金を掛けずに遠くへ旅行できる庶民の味方だということになるのかも知れませんが、私はこの話はそう単純なものではないと思います。
テレビの情報番組では、つい先日まで関越道で起きた高速バスの事故について検証していて、金沢~東京ディズニーランド間を3,500円で結ぶ夜行高速バスの運賃の妥当性についてかなり厳しい調子で批判していたと思います。私も安全性あっての運行だと思いますし、安値競争から撤退する事がまず大事で、最低でも運転手は2名の交代制にし、一人の走行距離も少なくすることでかなり危険性は減らせる可能性があります。さらに、過酷な勤務になる運転手さんへの人件費もしっかり計算し、適正な運賃を割り出すべきでしょう。本来は政府がしっかりと指導し、現場の運転手や添乗員が不当な労働を強いられている事が予想されるバスツアーを見付けたらすぐに対処する事がこのような悲惨な事故を起こさないための方法ではないかと思っています。
この考え方は、当然飛行機についてもあてはまる話ではないかと思います。飛行機の場合は墜落したら乗客乗員全員の生命の危険がありますから、何が何でもまずは安全対策を優先すべきでしょう。ご祝儀的なその場限りのバーゲン価格については人集めのための広告費のようなものでそれほど問題にはならないと思いますが、今後運行していく中で通常期の最低運賃がどのくらいなら安全に運行ができ、さらに乗務員の方々のお仕事の内容に対する正当な報酬が支払われるのかという話を抜きにしては格安航空を私は評価できないような気がするのです。単に安ければ嬉しいという事で語られている今のテレビなどの論調は、高速バスの事故の教訓を全く考慮していないという点で、かなりの不信感があります。
格安航空会社の中には他社の運賃を比べてそれより安くするというところもあり、価格を下げ続けることで現場の人間にしわ寄せが及ぶことが今から心配されます。価格を下げ続け、結果として非常識な料金設定がまかり通るようになってしまえば、中小でやろうと思っている人たちは完全に蚊帳の外に置かれます。自由競争というと聞こえはいいですが、まさに弱肉強食の世界で生き残ったところも青息吐息で、お互いにいつ倒れるかわからないという状況が今の一部の高速バスの競争の成れの果てだと思うと、その中でのミスが重大な事故に直結するような業種については、単に安ければいいという事とは違うのです。格安航空会社も、十分に人件費を出した上で利益を確保し、その中でバーゲン価格で出してくれるなら安心して利用できるようになるのですが、人集めのために無理をしていないかという事は今後も注目していく方がいいような気がします。
そういう意味ではあくまで自分の責任で出掛け、調子が悪かったり天候が悪かったりしたら旅そのものを中止する自由がある車中泊の旅は、自動車事故にさえ気を付ければ、私的には十分納得できる旅の方法だと思います。少々大げさかも知れませんが、自分の命を他人に預ける以上は、表面的な情報のみに踊らされる事なく、冷静に判断したいものですね。