車中泊徒然草+

もしPHSのトランシーバー機能が残っていたら

 2014年2月末からイーモバイルで、ウィルコムとほぼ同じように他社の携帯や一般電話との10分以内の通話を一定回数だけ基本料のみで提供する「だれとでも定額」がスタートします。他のところでは同じ会社同士での通話無料(時間帯によって無料のものを含む)は行なわれていて、ドコモのXiやウィルコムでは同社間24時間通話無料というオプションサービスもあります。そのサービスを使って家族間や友達との間では携帯電話をトランシーバーのように使っている方も多いでしょう。

 しかし、普通につながっている携帯電話も地震や災害などで基地局がやられたり、停電により基地局が稼働しなくなった場合はそんな通話全てがやり取りできなくなってしまいます。たまたま見ていたテレビ番組で、岩手県大槌町の自主防災組織の間で、連絡にトランシーバー(見たところ特定小電力のものに見えました)を使って連絡を取り合い、避難所までの道路を早いタイミングで通ることができるように各々が効率的に作業し、そのおかげで外部からの支援をスムーズに受けたという事例があることを知りました。やはり、通信が寸断された場合はそれ自身で電波を出して通話できるトランシーバーの優位性は出てくるように感じました。しかし、一般の人たちは常にトランシーバーを持ち歩くようなことはしないでしょうし、今後のためにも何か今使っているものでせめて近くにいる人たちと連絡が取れればいいのにと思います。

 今は売られていませんが、ひと昔前のPHS電話機の中には登録することでトランシーバーとしても使えるものが普通に売られていました。特定小電力トランシーバーのようにだれとでも話せるわけではありませんが、お互いに登録した電話同士なら普通の電話のように同時通話ができます(普通のトランシーバーの場合は同時に会話はできません)。

 この機能はウィルコムが経営方針を転換するに従って新機種に採用されなくなりましたが(現在ではビジネス用途の販売用としてかろうじて残っているかも知れません)、私は機種変更して残った端末同士をトランシーバーとして登録し、旅行の際など連絡用に使っていました。意外と役に立ったのがスポーツ観戦の時、席がばらばらにしか取れなかった際にお互いのグループでトランシーバー化したPHS電話機を持ち、試合終了後の待ち合わせに使ったものです。出力自体は特定小電力のトランシーバーより少ないと思いますが、見通しの効く場所なら結構届いて、混信も混雑もなく電話のように通話できるのが気に入っていましたが、残念ながら機種が古くなるにつれ電池も保たなくなって使えなくなってしまいました。

 最近はウィルコムでは一台で契約しようとすると、0円で持てるからと3台同時に契約を勧めるケースが結構あります。こうして複数回線を契約した電話機は、ウィルコムの電波が来ている状態ならトランシーバーのように使えるわけですが、基地局がやられてしまったり通話が集中したらたちまち使えなくなってしまいます。私が思うに、今だからこそトランシーバー登録ができる端末があればいいなと思いますね。例えば、イエデンワの後継機にPHS電話機を子機登録できる機能を付け(イエデンワ2ではPHS回線だけでなく、自宅の電話回線も使えるようになっています)、さらに親機を通さず子機同士の内線通話ができる機能が付いた端末が出れば、普段はPHS回線で使っていながら、旅行などで電波の届かない所へ行っても端末同士通話できるようになります。

 通話無料の範囲が広がることで廃れてしまった技術なのかも知れませんが、日常的に持っている電話機がいざという時が直接やり取りできるトランシーバーになれば、ライフラインとしての電話回線が全く使えない場合には結構役に立つのではないかと思うのです。もちろん、通話可能距離は大したことがありませんが、親機と子機のセットを複数用意して間接的に連絡が付く距離を伸ばしていくという極めてアナログ的な方法も使えるかも知れません。

 市販されているトランシーバーを災害用品として用意するというのも有効ではあるのですが、せっかく用意していても持ち出せない場合も多いわけです。今考えるとウィルコムがトランシーバー登録機能の残したまま端末の販売を続けていれば、副回線付き多回線販売のキャンペーンの際にショップでトランシーバー登録を行なった端末を配るようなことを行なっていたら、被災地でのコミュニケーションはもう少し違ったものになったような気がします。

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