車中泊徒然草+

目で見て東北の被害状況を想像する

 東北の大震災からすでに8ヶ月が経ち、全く被害を受けなかった地方の人にとっては、現地はどうなっているのかと気にする方もいれば、そういったことの記憶が徐々に薄れていってしまう方もおられることでしょう。私自身は震災の後、あえて現地を訪れることはしませんでしたので、実際のところどこがどうなっているのかという詳しいことはわからない状態でこの文章を書いておりますが、その点はご了承下さい。

 ひとつ言えるのはこれを書いている現在、東北地方の復興が済んだということは全くないということです。以前のニュースで、被災地の方が気にしておられることに、自分たちの事をだんだんテレビや新聞が報道しなくなり、しだいに全国の方々の意識から離れていってしまうのではないかという内容が書かれていたのを目にしました。確かに、マスコミで日に日に震災関連の報道が少なくなり、テレビ番組についてはバラエティー番組の花ざかりでほぼ完全に平常営業に戻った感があります。

 ある意味情報から遮断された人たちが、どのようにして東北地方の事を慮ればいいのかということは今後も考え続けなければいけない問題でしょう。インターネットの世界では直接東北の方々とメッセージを通じてコミュニケーションを取る事ができますが、非ネット系のものでもだいたいの様子を知る事のできるものはあります。たまたま昨日大型のJR時刻表を買ったのですが、この中には誰が見てもわかる震災の爪あとが見事に記載されていました。

 写真だとわかりづらいかも知れませんが、今回の震災による津波で大きな被害を受けた気仙沼線の最新の時刻表です。グレーに塗られている部分が電車や気動車が走っていない地域で、ページをめくっていくと相当多くの場所で同じようにグレーに塗られた部分が出てきます。また、東北だけでなく大雨被害のあった熊野から新宮の方も不通であり、深刻な鉄道の被害が東北だけではないということも認識を新たにした次第です。

 時刻表はひと月ごとに新しいものが出ますので、全国の書店に置いてある時刻表を見ていただければ、今だに鉄道網がつながっていないところはどこかすぐにわかります。道路の場合はよほど以前から交通の便が悪いところでない限り、全く車で行けないということはないと思いますが、交通手段としての車が使えない方々は鉄道網が寸断されることでかなりの不便を強いられていると思います。今後、不通になっている路線をどうするかということを含めて、時刻表の表記からグレーの部分の向こうに何があるのか想像しながら過ごしていこうと思っています。

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