車中泊徒然草+

旅先での写真撮影今昔

 日々の生活を緩やかに過ごしていると、特に自分の身の回りがあまり変化しなければ、それほど世の中の変化を実感するということはないのではないかと思います。ただ、情報収集の手段としてこれだけインターネットが一般化してしまったことで、実は劇的に変化している所もあるという事を私たちは忘れがちです。

 先日テレビのニュースを見ていたら、北海道の美瑛町を訪れる主に写真撮影を行なう観光客のマナーが問題になっていて、地元の農家の方々が憤慨しているのだそうです。観光地となって多くのお客が訪れることは地元にとってメリットではあるものの、まず考えなければならないことは、美しい風景を持つ場所で農業に従事している人達にはいくら観光客が増えようとも、多くの場合直接には経済的な恩恵はないという事です。そんな状態の中、勝手に畑の中に入って撮影されると畑が荒らされて農作物に影響があり、さらには無許可で農作業をする様子を勝手に撮影される事が心理的なストレスになっている方もいらっしゃるとのこと。

 一度訪れたらもう訪れないかも知れない旅行者にとっては、このような行動はまさに「旅の恥はかきすて」なのかも知れませんが、その地で生活する人にとっては農作物の被害だけに留まらず、ネット上で知らない間に自分を写した写真が発信され、中にはしっかりとGPS情報に基づいたピンボイントな位置情報まで公開されてしまうというリスクも生じてしまいます。何も起こらなければ良いのですが、こうした情報はずっとインターネット上にあり続けますから、いつ影響が出るかはわかりません。GPSを使った位置情報を記録できる機能というのは便利な面もありますが、あくまで自分の楽しみの範囲に留めておくべきだろうと思います。位置情報の付いた情報を出す危険を知っている人なら問題が起きそうな情報付きの画像をアップすることはないでしょうが、全くそうした危険を知らないままアップされる方もいるのではないでしょうか。最近のスマートフォンのカメラの機能にも位置情報を記録する設定があるものがありますので、スマートフォンで撮った写真を直接アップするような場合は念のためこの設定を気にするようにした方がいいような気がします。

 旅で撮影した写真というのは、出掛けた際の思い出を蘇らせてくれ、当時を懐かしむことができるので、私はフィルムカメラの時代から旅行にはカメラを持って行っています。恐らくその当時の写真の中にはブログにアップする事ができないほど配慮を欠いたものがあるかも知れませんが、当時はあくまで撮影した写真は個人で楽しむものであったので、客観的に見れば問題があったとしてもそうした問題は表面化せず、個人的には事無きを得ています。そういう意味ではおおらかな時代に旅を楽しめていたと言えるかも知れませんが、デジタルにはデジタルの良さがある事も確かです。大事なのはデジタルの特徴を良く把握した上で、問題が起きないような対策を講じた上で利用できるスキルを持つことです。私も完全に対策しているわけではないかも知れませんが、撮影した内容をすぐに確認できるのがデジタルの良さでもあるので、インターネット上に写真をアップする前にまずは確認するのがこれからは大切になってくるでしょう。

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