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クロネコメール便受付中止の理由

 ヤマト運輸からメール便の受付を2015年3月31日をもって中止するというアナウンスがありました。このニュースの見出しだけを見た時には、日本郵便の定形外と比べて安く受けて到着までに時間はかかるものの、投函までの追跡が可能であることから、安すぎて商売にならないのでやめるのかと思ったらニュースで報道されている内容は違いました。

 ヤマト運輸の説明では、以前から手紙や納品書などの「信書」は郵便法により日本郵便以外の事業者が取り扱うことを禁止しており、それを知らずにメール便に信書を入れて発送した人が書類送検されたり警察から事情を聞かれたケースが起こっており、その事を配慮したとのこと。私がアマゾンのマーケットプレイスで本を購入した場合、必ず事業者から納品書が添付されており、これをクロネコメール便で発送した場合にその発送元の売主が罪に問われることになってしまうのかなと思っていましたが、これはセーフだという指摘をこの記事のコメントでいただきました。ただ、中味が見える封筒でのカタログ送付と違って通販業者が使うメール便は中が見えない封筒で送られることが多く、禁止されている信書が入っている可能性は否定できません。

 今回、ヤマト運輸が挙げた信書送付についてのトラブルの件数は2009年7月以降8件あったそうですが、ヤマト運輸が単に先を読んでの事なのか、近いうちに日本郵便がクロネコメール便つぶしのために郵便法に則ってヤマト運輸を含む民間の(一応日本郵政も民間なんですが(^^;))メール便を扱う業者に具体的な行動に出ることをつかんだからなのかはわかりませんが、通販利用者のこちらとしては、品物の発送方法としての「メール便」を指定することができなくなるわけで、具体的には古本を安く買っていたり、デジカメや携帯電話のバッテリーをメール便指定で安い送料で買えなくなります。これは、実質的なインターネット通販の値上げにもつながってくるでしょう。

 当然、メール便で安く送れることを見込んで商売をしてきた個人レベルの人たちも痛いでしょうし、やはりアマゾンマーケットプレイスの古本への影響は大です。というのも、本の場合、国内発送の送料は一律257円(2014年4月現在)で、出品者はこの中から送料分として一部をアマゾンから受け取り、適切な発送方法を選ぶことになっています。アマゾンの古本の価格を見ると、本体価格が1円というものも珍しくありませんが、これは発送方法として格安なメール便での発送を選ぶことで、アマゾンから支給される送料分と実際にかかった送料との差額で利益を出すためのビジネスモデルです。薄利多売で数を多く売ることができれば本体1円の本だけでも利益が出るのですが、今後クロネコメール便が使えないと、本体価格に上乗せする業者が増えることも考えられます。

 今回のニュースを聞いて、改めて思ったのが民間企業でありながら公的機関としての性格も合わせ持つ郵便局の立場の曖昧さです。個人的には日本全国どんな山奥でもきちんと届けてくれる昔通りのサービスを続けていってくれるならそれに越したことはありません。ただ今回の信書についての問題は単にヤマト運輸だけの問題ではありませんし、もう少しメール便利用者の実態に則した形で何らか進展があることを望みたいと思います。

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