小売価格だけでなく年間経費も考えた新車選びを

最近の車は様々な安全装置が付いているということで、運転者の判断ミスをカバーする機能が付いている車については自動車保険の保険料が安くなるなどのメリットがある一方で、購入した後で「そんな話は聞いていなかった」というような事がこれから出てこないか心配になります。というのも、先日のネットニュースを見ていたら、マツダのCX-8という車について、思わぬところから作業が大変だという話が出てきたからです。

CX-8には「アクティブボンネット」という機能が標準装備されています。このシステムは、歩行者と衝突して、一定以上の衝撃が車両前部に加わったとき、ボンネットの後端を瞬時に持ち上げ、エンジンルーム内の部品との空間を広く保つことで、歩行者の頭部がボンネットに衝突したときの衝撃をやわらげるという歩行者保護の機能です。そのためのセンサーがフロントバンパー裏に付いているのですが、単に車がダートに入って揺れただけで反応してしまっては困りますし、事故の時だけに作動するためには繊細なセンサーの調整が必要になります。

CX-8について言われていることは、この「アクティブボンネット」を正常に動作させるためには、綿密に設計された車体のバランスを保つためにメーカーが標準で提供しているタイヤのサイズが決まっていて、過去の車のように、ビス穴さえ合えばサイズ違いのタイヤに交換してしまっていいということがないのだそうです。ですから、今の時期タイヤをノーマルの夏用タイヤから冬用のスタッドレスタイヤに代える場合に問題が出るとのこと。

普通、夏用と冬用のタイヤを用意する場合、普段乗りでは買った時の純正のホイールにタイヤを付けていて、冬になったらそのホイールからタイヤを外してスタッドレスタイヤをはめ直すということは、ユーザーの自力でタイヤ交換が行なえなくなるのであまり行なわれず、ホイールごと4本購入し、いざという時には車載工具のジャッキでタイヤの付いたホイールごと交換できるようにしている方が多いです。しかし、CX-8の場合、社外品のホイールをスタッドレスタイヤ用に使うと、それだけで微妙な車体のバランスが崩れセンサーが効かなくなるという問題が生じているようです。

この問題を解決するには、スタッドレスタイヤについてもメーカーの推奨するサイズに揃える事はもちろんですが、スタッドレスタイヤを付けるホイールもメーカー純正のものを使わないといけないということになります。一般的にはメーカー純正と社外品の価格を比べたら純正品の方が高くなるのは当り前のことですので、すでにCX-8に乗っている人が冬用タイヤに換える場合には、その都度タイヤショップに行ってホイールにはまっている夏用タイヤを冬用タイヤにはめ替えて、シーズン終わりにはまたはめ替えという形で対応するか、新たに純正のホイールを4つ買い足して冬用タイヤにはめて保管する形にするか、どちらにしても古い車ではかからなかった余分な費用がかかってくるということになります。

もちろん、マツダの「アクティブボンネット」というシステムによって今までの車だったら歩行者に重症を負わせてしまうような事故が、軽い怪我で済むようになれば、本来は決してお金では解決することのできない事故を防ぐことができる可能性も高くなるわけで、タイヤについてのコスト増加というのはある意味、十分な費用対効果を生むとも言えます。歩行者や異物をカメラで捉えて自動ブレーキをかけるスバルの「アイサイト」も、細かな調整のされた純正のフロントガラスが高いと飛び石事故でガラスを割られた場合は嘆かれることもあるかも知れませんが、安全とセットで考えれば高い買い物ではないでしょう。

今後、新しい車を物色される場合は、単に小売価格の高い安いで見るのではなく、その車の売りの機能を維持するための整備コストや消耗品についての情報もしっかりセールスマンの方に質問し、十分納得した上で購入することが大切だということを考え、くれぐれも衝動的に予算ギリギリまでお金を出して買うことがないようにしましょう(^^)。


カテゴリー: 車関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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