景気高揚を実感させる雰囲気と自動車との関係

この文章を書いている週末に選挙が行なわれることもあってかそれほど話題に上がることもありませんが、選挙の終わった10月25日から東京モーターショーが開幕します。私自身は過去に一回だけ出掛けたことがあったのですが、未来の車がどんな風になるのかというコンセプトカーを見ると心が踊ったものの、当時はレジャー用途やそれこそ車中泊用というような車は皆無で、その点が寂しいところではあったのですが、それでもアジアの展示会では東京が一番規模も大きく、このまま今の生活も豊かになっていくのだろうなと漠然と思っていました。

ただ最近の状況については、日本国内のメーカーのリコールの多さや、エアバックのタカタの倒産、そして最近の神戸製鋼所の不正データ表示の問題など、未来への展望が失なわれつつあります。さらに英・仏や中国が電気自動車へのシフトの方向を打ち出したことで、デザインや機能よりも、いかに電気自動車を量産化するかという感じになっていくのだとしたら、車中泊派としては、いかにして車の電気を車中泊時に活用できるような車が出るのかという興味はあるものの、基本的にはハイエースクラスの車が中心になるのだろうなとしか思えないのが悲しいところです。

過去の日本の車というのは色々ありましたが、昔は他のお金を削ってでも10代20代の人たちが車を買っていた時代と比べて、メーカーの方も勢いがそれほど見えないのではないかと思います。今の日本の景気の良さというのは主にメーカーの海外での業績によるところが大きいと思いますが、やはり日本国内の内需が増えないと盛り上がらないでしょう。車でも単に燃費の数字だけを追求した車ではなく、乗って遊びに行くと楽しそうな車が出てきて、それ自身が新たな人々のライフスタイルとして受け入れられるようになれば、車だけでなくレジャー費用の支出や、新たなテクノロジーを持つ家電なども積極的に導入するような人も増えてくるのではないでしょうか。

先日たまたまYouTubeを見ていて、そんな時代を牽引するような「ホンダ・シティ」のコマーシャルに目が止まりました。実は旧ブログで、そのコマーシャルの製作に携わった椙山三太氏の訃報を聞いた後に書いたことがありました。これから書くことに関連がないこともないので、一応リンクを張っておきます。

http://syachu.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/post-c0c2.html

上記リンクで書いたように、「ホンダ・シティ」の開発チームは当時の社長であった本田宗一郎氏の作ってきた伝統とは無縁の開発を若手社員を中心になされ、その新コンセプトを広く国内で伝えるため、コマーシャルにUKのミュージシャンMadnessを起用し、曲は井上大輔さんがコマーシャル用に作りました。

この曲は、実は当時はMadnessのアルバムに収録されたのは日本発売のものだけで、UKでは別のシングル曲のカップリングとして出ただけでした。そして、日本のテレビ映像から切リ抜いた曲の調子と、正式に楽曲として出した題名が「In The City」と比べると、「In The City」の方が明らかにキーが下がり、曲としての勢いが削がれたものになっていることに気付かれる方も多いでしょう。YouTubeにはあえてリンクは張りませんが、「ホンダ シティ」で検索を掛けると簡単に2つの曲を聴き比べることができると思います。

当然曲としての完成度は「In The City」の方が高いわけですが、特に明らかに何もないスタジオに車とモトコンポ(折りたたみ収納でシティのトランク部にジャストフィットで収納が可能な原付バイク)だけを持ち込んで撮影された最初のコマーシャルを見ると、相当の勢いというものを感じます。恐らく日本のディレクターサイドがこのような要望を出す中でああした形になったと思うのですが、当時あのコマーシャルを見た方も、とにかくすごく面白そうだと気分が高揚してきた方が多かったのではないかと思います。とりもなおさず、2つの曲調の違いというのが多少は気分的にうわずっていながらも当時の日本の楽しさ・面白さというものを象徴していたように思うのです。

今回の東京モーターショーのコンセプトモデルを見ている中で、スズキの軽トラをベースにしたコンセプトモデルである、女性が軽トラ市にすぐ使えるような外装を持っていて太陽電池を搭載したりして展開するとおしゃれなお店にも変身できるキャリイ軽トラいちコンセプト」はなかなか面白いと思いますが、あくまで車で仕事する事を前提にしていることで、もっと遊びへの機能については物足りなさも感じています。具体的にはホンダがシティで提唱したような、車自体が大人の秘密基地のような感じのものが出てきて欲しいと思っているのですが、これから自動車の開発が自動運転や電気自動車にシフトしていく中で、そのような車は出てくるのでしょうか。

東京モーターショーが開かれる頃には政治の陣営が新しくなり、景気を良くするための方策もこれから順次行なわれていくとは思うのですが、やはり内需拡大で多くの人にお金が回っていることを実感させてもらうためにも、今日本国内で生活している多くの人がワクワクするようなものがどんどん出て来てくれることを願っています。


カテゴリー: 車関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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