失いかけて初めてわかる地方の観光資源

私の住んでいる静岡県中部では、なかなか全国の人が注目するお祭りというのは、正直見付からないということがあります。これは、昔から多くの人々が東海道を行き来する中で東や西から様々な流行りの風俗が入れ変わり立ち代わり入ってくることによって、昔から土地に根ずく大きなお祭りが育たなかったのではないかと思います。ちなみに、全国から人を呼ぶということでは秋に大規模な「大道芸ワールドカップ」はありますが、これはお祭りというよりイベントです。古くから伝わる日本全国で知られているお祭りがある土地が羨ましく、その雰囲気を感じるためにお祭りを見たり参加できるのなら現地に行ってみたいと今でも思っています。

過去には、かなり前になりますが青森のねぶた祭りに青森に実家のある友人宅を訪ねたら、その友人に付いていく形でハネトとしてお祭りに参加するという経験ができました。その時は青森まで東北自動車道をひた走って行ったのですが、運転の疲れはあったものの大きなねぶたを前にするとアドレナリンが分泌されたのか、疲れなど全く感じずに踊り切ることができました。

今回紹介する徳島市を主会場にしてお盆の時期に開催される「阿波おどり」ですが、これは盆踊りの一種だそうで、その熱気のため一揆の温床となる可能性を感じた為政者によって江戸時代にはしばしば禁止されたものの、現在まで踊り継がれてきた日本の中でも歴史のある「盆踊り」であると言えます。

私自身はテレビの生中継では「総踊り」を含む阿波おどりの様子を見たことはありますが、いつかは一回行きたいと思っていたのですが、このブログでも紹介している鳴門市の大塚美術館に行った時、たまたま阿波おどりの時期と重なったので、もし徳島市内に宿が取れたら夜の街に繰り出し、阿波おどりを堪能しようと思ったものの例年は130万人以上が訪れるお祭りだということで、見事に当日の徳島市内のホテルが取れずに断念した経験があります。

それだけ県外から多くの観光客の方が来られるのですから、お祭り自体の収支とは別にホテル・旅館や食堂などに落とされる経済効果もなかなかのものだと思います。そうした経済効果を上げた各事業者が税金を市や県にも収めるわけで、今年の阿波おどりについてのいざこざが全国ニュースで報じられて、さらにそれを受けた現地での状況を聞いているとお祭り自体の収支だけでなく、徳島市の経済にもかなりの影響が今後出てくるのではないかと心配になります。

ちなみに、先述の徳島市内のホテルは今年は全く取れないということもなく、昨日の午前中に8月15日分のビジネスホテルのシングルルームの空きを調べたところ、何とまだ空いていたので、もしその気になれば思い立って現地まで行って泊まることも可能になっていました。これは観光客にとっては嬉しいものの、お祭りによって地元の経済を潤そうと考えている人達にとってはかなり由々しき事態でしょう。

テレビ報道も、昨日に徳島市長が東京まで忙しいスケジュールの間をぬって民放の番組にはしごして出るなど、阿波おどりについての悪いイメージを払拭しようと必死でしたが、逆にマスコミを前にして喋ることでさらなる苦境に陥る可能性もあります。

私自身は地元で誰が悪いのか? というような事には興味がなく、これからも阿波おどりが全国から注目されるお盆の恒例行事として存続していってほしいと願うだけです。ただ、そのためには、江戸時代に何度も禁止されたような強権的な祭り潰しのような事があってはならないと思います。今は別に踊り手が一揆を起こすようなことは無いのですから(^^;)、事前にチケットを手に入れられないような旅行者でも、街の中で踊っている様子が見られるような部分を残して続けていってくれれば、いつかはお盆の時期に徳島に立ち寄りたいなと思うところです。


カテゴリー: 地域情報・イベント | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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