T-Value ハイブリッド の保証と中古車としての価値

 すでに派手なテレビコマーシャルでご存知の方も多いかと思いますが、トヨタが本腰を入れてハイブリッド車の中古販売についての保証制度をスタートさせました。ハイブリッドカーはまだ発売されてから年月が浅いこともあり、その耐久性能についてはまだ誰にもわからないというのが正直なところだろうと思います。

 初代プリウスが出たのが1997年ということで、これを書いている2013年から16年前ということになります。さすがに発売当初の車は中古市場にはもう出回っていることはないと思いますが、ハイブリッド車を中古市場で買うのは電池が劣化したりハイブリッドを実現する機能がおかしくなった場合のことを考えると、今まではちょっと躊躇せざるを得なかったように思います。

 今回、トヨタの中古車ディーラーでハイブリッド車の中古車を購入する場合に限って新たな保証が付くようになりました。通常の車でもT-Valueでは1年間の保証が付くのですが、ハイブリッド車には新車登録より10年間ないし、通算走行距離20万キロまでは、

・メインバッテリー(駆動用電池)
・ハイブリッドトランスアクスル
・ハイブリッドコントロールコンピューター
・バッテリーコンピューター
・スタータージェネレーター
・インバーター
・DC-DCコンバーター
・冷却装置

 これらの部位が中古保証の対象になるとのことです。また、購入時にはハイブリッドシステムの診断書を発行し、動作を保証するというわけです。

 こういった保証をトヨタ以外の中古車業者がやるのはちょっと無理だと思いますので、今後中古でハイブリッドを購入したいと思われる方はトヨタから直接中古を買われるのがまずは安心でしょう。この仕組みで売りに出されている車の中で最安の車というのは、あくまで私がネット検索で調べた中ではプリウスのシリーズでした。具体的には、

・2008年式 プリウスEX 走行121,000km
・2005年式 プリウスS  走行108,000km

 あたりで、だいたい60万円前後(車体価格のみ)といったところです(2013年5月27日現在)。それほど距離を乗らないなら2008年式の方なら5年は安心して乗り続けられますし、かなり距離を走るなら2005年式のものでも2年で10万キロ走る方もいると思いますのでそこまではいざという時にも保証があると思えば普通のガソリン車との差額を結構稼げるのではないかと思いますね。また、新古車のような高額な中古車を購入する場合は、新車で購入するよりもハイブリッド機能についての保証は長くなる場合も出てくるので、あえて新車で購入しないで中古の高年式・走行距離が少ない車を狙うというのも手かも知れません。

 それにしても、このようなサービスをトヨタが開始したことで、今後の他社や中古車業界自体がどうなってしまうのかという問題も出てきたと言えるでしょう。全ての車がハイブリッドになるとは思いませんが、購入したメーカーにより下取り額が変わってくれば、ハイブリッド車を選ぶ消費者はトヨタに殺到し、他のメーカーの開発にも影響が出てくるでしょう。全ての車の中に占めるハイブリッド車の割合が増えてくるに従って普通車のセダンタイプは中古車市場から消えて行き、プリウスのみが生き残るような(販売チャネルはトヨタの中古車店のみになりますが)状況も予想されます。

 とりあえず現状では軽自動車のハイブリッド化の動きはないようなので、私自身の中古車購入についての影響はないのですが、タクシー業界なんかもどうなってしまうのかついつい考えてしまいますね。トヨタの中古車の保証があったとしても、10年か20万キロ乗られた車は、それ以降にハイブリッド機能にトラブルが出た場合にはまず間違いなく廃車から解体へというコースをたどることになるので、特にタクシー会社はハイブリッドに全面的に移行するのか従来の車を使い続けるのかの判断を迫られることになってくると思います。まあ、一般のユーザーは新車や中古車を購入しても20万キロまで乗ることはないので、多くのハイブリッド車に乗るドライバーが影響を受けることはないにしても、今までは10万キロを超える過走行車であっても輸出することで、海外でさらに長く乗られるという一面もありました。ただ、過走行のハイブリッド車を海外輸出することは無理でしょうから、そのまま解体される数が増えていくわけで、日本の国内外において様々な影響が心配される部分もあるということも覚えておいて損はないと思います。


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