「超薄型有機太陽電池」開発のニュースで何が変わるか

一部新聞で発表がありましたが、以下のリンクで詳細を確認されるのがいいと思うのですが、理科学研究所が東レとの共同研究で服にプリントするようにして設置できる「超薄型有機太陽電池」について発表しています。

http://www.riken.jp/pr/press/2018/20180417_1/

私たちが太陽電池と言えば、家の屋根に設置されているようなパネル型の太陽電池を想像されると思いますが、この有機太陽電池というのは基盤込みで3マイクロメートル(0.003 ミリメートル)という薄さで100℃の熱でも劣化しないという特徴があるので、衣服にアイロンプリントのような形で加熱接着することも可能なもののようです。当然本体が曲がったり伸ばしたりもできるとのことなので、「着る太陽電池」が今後実現する可能性があるということです。

エネルギーの変換録効率も約10%と、超薄型の有機太陽電池の中では最も高いということでこのままでも実用化できるレベルにあるということなのですが、まだもう一つ越えなければならない問題も持っているそうです。

というのも屋外に晒すような形になる時に、酸素や水の影響による劣化が早いということで、それだと悪く言えば使いすてのものになってしまう可能性があるので、ある程度長く使ったり雨に当たったり、洗濯をしたりしても大丈夫なコーティングなどの対策が必要になるようで、今後については2020年代の初め頃の実用化を目指すとのことです。

個人的にまず考えるのが災害用の防寒具兼自力発電のための衣服として備蓄するようなこともできるでしょう。普通の大人が着るくらいの大きさでどの程度の発電ができるのか、スマホやモバイルバッテリーの容量を増やすぐらいであったとしても、太陽電池そのものを荷物でなく衣類として常に着ていられるということは、日頃スマホを使いまくるような人にとってもありがたい服になる可能性はあります。また、既にある中からファンで空気を送る「空調服」においても、常にバッテリーに充電しながら空気を回すことが可能になるので、真夏の熱中症対策としても期待が持てます。

また、テントやタープにこの有機太陽電池を仕込み、その面積がそれなりに広ければ登山を生業に日照がある程度確保できる時期の山登りを行なうパーティーについては、それなりの電力をバッテリーに蓄えて使うことができるのではないかと期待できます。山登りの荷物というのはいかに荷物を減らすかということで生死を分けることもあるそうなので、今まではパネル型の太陽電池を持って行ったところが、この技術が実用化されればテントやタープに含まれることになるわけで、個人の登山を趣味にされている方まで含んで実用化が待ち遠しいグッズであることは確かです。もしかしたらモンベルのようなメーカーが興味を示しているのかも知れません。

私が期待したい分野としては、ずばり「折り畳み傘への組み込み」です。できれば日傘と雨傘共用のもので、柄の部分にコードを仕込んでくれれば、コード自体が向き出しになることなく出力端子だけを持ち手のどこかにセットすることができるでしょう。雨の時に中に水が溜まってショートしないような構造にできれば、常に持ち歩くものとしては「雨傘」「日傘」「簡易発電器」として3つの用途で使えるわけで、こんな商品が出たらぜひ欲しいと思います。

また、本格的な災害対策用として、さらに日常的にも使えるものとして考えると、車全体を覆うカバーにこの有機太陽電池を仕込めばかなり広い面積の太陽電池を載せられます。カバーは単にバッテリーに繋いでもいいのですが、カバー自体にファンを付けて日中に車の温度を上げないようにできるような機能も付くとさらに面白いかも知れません。車中泊をする方ならあえてテントやタープは持ち運ばなくてもいいので、こうした自分の車に合ったカバー自体が太陽電池があれば、レジャー用としても使えそうですし、軽トラにこの太陽電池を付けた幌をつけてその幌を常時利用して発電するような車中泊車を作ることもできるかもと考えるだけで楽しいですね。


カテゴリー: 防災関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

スポンサーリンク

コメントを残す