PHSは終わったコンテンツになるのか

 このブログでちょくちょくPHSの事について書いてきましたが、2014年11月でいったんPHSの契約と見切りを付け、携帯電話の掛け放題に移行しました。今まで使っていたキャリアですし、個人的には愛着もあったのですが、決して山の中ではない私の居住地周辺でも着信しないという状況に長い間悩まされてきたので、もしかしたら市街地でもアンテナが間引かれているのではという疑念が不信に繋がったという感じです。

 着信自体はしなくても、私の場合メール専用としてドコモのガラケーを維持しているので、ドコモの携帯電話に転送をかけることで何とか電話を受けることはできたのですが、転送にかかる通話料は30秒20円で請求されてしまうので、頻繁に転送が行なわれると毎月の負担も増えてしまいます。070番号を携帯電話にも移行することが2014年の10月からできることになったことで、このままPHSを続けないで携帯電話に移行することを実行に移しました。寂しくもあるのですが、ここまでのPHSのたどってきた道を考えると、一部の用途を除いてはこのまま継続させるのは厳しいと言わざるを得ません。

 PHSがサービスを開始した当時は、まだ毎月の基本料金が高かった携帯電話と比べ、安く維持することができました。音質がいいというのが今に至るPHSのメリットですが、確かに新しく変えた携帯電話の音質と比べると電波が通じることでの通話品質は高いです。ただし、大出力の基地局を配している携帯電話と比べるとエリアが狭く、移動中の使用に不安定さが残ることは仕方のない部分でありました。

 そこで、PHSが打ち出してきたのがデータ通信におけるさまざまなプランです。携帯電話より先にメール使い放題のプランを打ち出したり、メール専用のスタイラスペンの付いた端末を出したりしました。今でもY!モバイルのケータイプランでは基本料のみでメールは使い放題になっています。さらに、パソコンや携帯端末に繋いで行なうことのできる通信カードを販売し、月3,880円という価格で、当時としては画期的なデータ量および時間に関係なくつなぎ放題のプランを出してきたことにより、外でインターネットをやる場合にはPHSを使うことが普通になっていた時期もありました。さらに言うと、日本で初めて実用的に使えたスマートフォンは何かということで言えば、シャープから出たW-ZERO3というウィルコムの端末であると言えるでしょう。

 しかしその後、MVNOによる格安のデータ通信や、アンドロイド搭載のスマートフォンが広まるにつれて、速度だけでなく価格面でも競争できなくなりました。さらにドコモのエリアが使えるということになると、エリアの狭いPHSと比べた場合、たとえ速度が速くても使えない場所が多ければしょうがありません。

 せっかく作ったメールとデータ通信のニーズを他社に持っていかれたことで、手を付けたのが通話に特化した通話定額のプランです。当初沖縄限定で行なわれた「だれとでも津額」ですが、まさかこれが全国展開されるとは当初思いませんでした。どの電話でも定額で抑えるためには1回の通話で10分以内という制限はありましたが、このプランを契約したことで個人的にも劇的に電話料金が安くなり、以前より気軽に電話をすることができるようになりました。さすがにこれは携帯電話会社には真似できないだろうと思ったものの、携帯電話会社もガラケーからスマートフォンに多くのユーザーが移行する中で、通話自体のニーズが減ってきたのかも知れませんが、PHSより安く、しかも時間制限のない通話定額プランを提供するところまでやってきました。さすがにここまでやられると、どんな有能な経営者がいたとしても、ビジネスホンの子機として使ったり、病院内で使うような用途に限らないと、PHSの規格自体が残っていくのは難しいように思います。

 しかしながら、PHSがこれまで戦略的に携帯電話の使い勝手に対して異議を唱えるような形で様々なプランを出してきたからこそ、今の携帯電話の多様なプランがあり、その恩恵を多くの人が受けているとも言えます。今後そうしたライバル関係がなくなっていく中、既存の概念を突き崩すような新たなガラケーやスマートフォンについてのプランが出てくるのかという危惧が私にはあります。歴史が語られる時にはいわゆる「勝者の論理」が主に語られがちではありますが、このままPHSが廃れてしまうとしても、こうしたことは忘れないでいただきたいと思いますね。


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