PHSが現状ではモバイル通信に向かないわけ

 車中泊をめあてにさまざまな情報を集めている方にとって、インターネット以外に頼りになるのは単行本や雑誌の類でしょう。いわゆる車中泊ブームというものを作り出したのはこうしたメディアの存在が必要不可欠で、マスコミが車中泊をキーワードにしてさまざまなアプローチをしたのには、特に雑誌「カーネル」の功績は多大なものがあると思っています。昨日本屋さんで最新号を立ち読みしてきましたが、私のやっている車中泊のスタイルなど全くお話にならないくらいの凄い装備を満載した達人たちが登場し、もはや私のスタイルなど何の参考にもならないくらいまで進化しているように感じます(^^;)。

 ただ、一点気になったことがあります。読者からの質問に答えるコーナーで、車中泊先でのネット通信についての質問に答える中、回答者の方が「PHSは価格は安いがスピードが遅い」という、ちょっと前の常識をそのまま回答として寄せているのはちょっといただけません。このブログではできるだけ新しい情報を紹介しておりますので、このブログを読んでおられる方の中では、よもや今からPHSを契約してデータ通信用に使おうと思われる方はいないとは思いますが、今後ウィルコムがデータ通信に特化した新プランを出さない限りはあえて旅先でのネット通信のためにPHSを選ばれない方が無難だと声を大にして言っておきたかったので、今回こうしたことを書こうと思いました。

 現在、ウィルコムで提供するデータ通信の仕組みには2通りあります。一つは、月3,880円の「新つなぎ放題」です。USB接続専用のデータカード型端末が月980円として出ているのをご覧になることもあるかと思いますが、これはデータカード自体を分割して購入することにより、購入日から2年間だけ端末に対する割引が受けられ、月980円で契約を維持できるに過ぎません。2年を超えた場合は月々の支払いが一気に3,880円かかることになります。この金額は2年縛りのWimaxとほぼ同価格です。スピードは段違いにPHSの方が遅いですから、ウィルコムの設定額で維持することは、あまりいい選択とは言えないでしょう。また、データカード型端末によるネット接続にはプロバイダ料金が入っていませんので、すでに入っているプロバイダに申し込み追加の月額を支払うか、ウィルコムが提供するプロバイダを使って接続するかのどちらかになります。その場合、ウィルコムから請求されるプロバイダ料金は利用時間に応じてかかり、最大1,575円がウィルコムから同時に請求されるということで、冷静に考えても今ではそれほど安いとは言えないでしょう。さらにもう一つ付け加えると、データカードを使う場合は通話はそのままではできませんし、現在のウィルコムの最大の売りである「だれとでも定額」は利用できません。980円にこだわるなら端末代として少々かかりますが、通信料として月々980円以上は決してかからない、イオンで売っているNTTdocomoのFOMAエリアが使えるb-mobile Aプランをideosと一緒に契約した方がましでしょう。

 もう一つの方法としては、「だれとでも定額」を付けることができる「新ウィルコム定額プラン」あるいは「新ウィルコム定額プランS」を契約し、電話機単体あるいは電話機をモデムにして(対応する機種に限ります)でウェブ接続を行なう方法です。この場合は、ウィルコムのアドレスを使うメールについては基本料金のみで使えるので通話とメールだけなら確かにお得ではあります。ただ、電話機のブラウザを使ったネット接続については月の上限が2,800円余分にかかります(パソコンに繋ぐ場合は別にプロバイダ代を負担する必要あり)。現在ウィルコムが発売するスマートフォンはないので携帯電話のようにスマートにつなぐことはできませんが、今後の状況によってはスマートフォン発売の噂もあります。もしあえてウィルコムでデータ通信をするならこちらの方がまだましでしょう。おサイフケータイを搭載した端末を使えば、携帯電話からの乗り換えもしやすいでしょう。ただ、現状では2,800円+プロバイダー代を余分に払うなら、別の安いモバイル接続方法は300kbpsが上限のプリペイドSIMを出しているb-mobileがありますし、今後のウィルコムの新しい端末やデータ通信プラン、スマートフォンのラインアップが出るまで待った方がいいと私は思います。

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 データ通信用として現在はほぼ使えないという判断をしたウィルコムですが、実は私はウィルコムになる前のDDIポケットの時代からかなり長くお世話になっています。写真のように今の私のメイン通話用にはウィルコムを今も使っています。データ通信中心の方針を通話中心に切り替えたことは、個人的にはかなり嬉しかったのですが、今後の展開によって、データ通信用には向かないとした今回出した結論とは違う結論が出るかも知れません。ただ、現状では選択する余地は少ないということを改めて申し述べさせていただきたく思います。カーネルに質問された方がこうした現状を理解の上、外での通信方法を選ばれるようになってくれればいいのですが。

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