「中速」と「低速」をどう説明するか?

最近になってまた、大手キャリアから格安SIMへの乗り換え相談を受けることがあります。ただ、自分の使っている格安SIMのプランがそのまま相談してきた人にマッチするかというと必ずしもそうではないため、相談してきた人が現在の契約内容にどのような不満を持っているかというのがポイントになります。

さらに最近では政府が「携帯料金を4割下げる」という言葉が一人歩きしてしまっているので、中にはこのまま大手キャリアとの契約を続けていても利用金額は下がってくるのではないかと安易に考える方もいます。ちなみに、先日のニュースで具体的な金額が出てきたのですが、それによると現在8千円程度の大手キャリアの料金を5千円くらいまで引き下げるように政府が促す方針だということです。ちなみに、この8千円という金額は総務省の家計調査をもとにして、一世帯あたりの携帯電話料金が約毎月8千3百円であったことが決め手になったようです。

しかし、相談を受けた方がどのくらいまで毎月の携帯料金を下げたいかと聞いたら、月だいたい3千円くらいということでした。これでは、大手キャリアと契約を続けていたら駄目なので、本格的に格安SIMに移行する方法についてレクチャーすることにしました。

今回事例として紹介する方は、それこそ現在は月8千円も払っているということでしたが、月3千円まで利用料を下げるためには、その人が今まで知らない事を覚えて格安SIMを効率的に使うためのスキルと、ある種の割り切りが必要になってきます。

まず、格安SIMの会社には通話定額オプションはありますが無制限なものはありません。仕事などで10分を超える通話が多いような場合は、今ある大手キャリアの契約を残し、その契約をスマホからガラホ(ガラケー)に変えて通話専用のプランにし、別にデータ通信専用の格安SIMとスマホ(タブレット)の2台持ちにしてもらう必要があります。もっとも、専用アプリで制限定額の時間以内に強制的に通話を切るアプリもありますし、友人同士の通話だけなら「LINE電話」で長電話するという方法もあります。こうした事を説明して、それで納得できるかどうかがまずは第一のハードルになるのではないでしょうか。

そして、データ通信においては3GBくらいの高速クーポンを使い切った後の低速制限に困っていて、まともにウェブページも見られないと訴えてきたので、そこで説明したのは大きく分けて2つのことでした。

・その1 データの「高速/低速」の切り替えは使えるか
・その2 大手キャリアと違う格安SIMの「低速/中速」のスピード

たとえ毎月3GBしか高速クーポンがない安いプランであっても、アプリで高速と低速の切り替えができるところで契約したとして、こまめに高速と低速を切り替えることができそうかということです。それには微妙に2番目の事が関わってきます。

大手キャリアの低速の速度は128kbpsと言われますが、多くの格安SIMの最低速度は最大200kbpsと大手キャリアより早いのです。さらに、その中でも「OCN モバイル ONE」は低速時のスピードが少し早く240kbpsくらい出ると言われていますし、「UQモバイル」のおしゃべりプランでは300kbpsくらいのスピードが出ると言われます。私が今使っている同じ「UQモバイル」の無制限プランは最大500kbpsと更に早いですが、それより早い「低速」というか「中速から高速」と言えるのが、楽天モバイルのスーパーホーダイの最大1Mbpsとなっています。

こうしたスペックで見比べると楽天モバイルが一番良いように思えますが、もしそのまま安さにつられて3年契約で楽天モバイルを使い続けた場合、果たしてその3年間安定して今くらいのスピードが出続けてくれるのかどうかは不確定要素が多いということも、これは楽天云々ではなく格安SIM全般に言われているところなので、勧めるのも迷ってしまうのです。

大切なのは、ご本人が128kbpsでは使い物にならないと思っていても、200kbps、240kbps、300kbps、そして1Mbpsというアプリで切り替えて低速/中速で使う場合どこまで我慢できるのかという事になってきます。また、スマホで低速回線を使って動画を見る場合、アプリの方の設定でしっかり低速回線用の設定をすることができるかという問題もあります。

個人的には、その方はドコモと現在契約しているので、素直に楽天モバイルにするか、「OCN モバイル ONE」の一日110MBコースに通話定額オプションを付けて、低速になってしまっても最低限の事はできるという事をわかってもらうようにするかというところではないかと思っています。

もちろん、現在auに加入しているならUQモバイルを中心に考えてみた方が、特に高速クーポン利用時にストレスなく利用できるように思えますので、正にケースバイケースです。どちらにしても、とにかく今のスマホ代をできるだけ安く使いたいと思っている方は、高速クーポンがどのくらいあるかということも大切かも知れませんが、低速や中速でどのくらい我慢できるか? ということと、そもそもアプリでの高速/低速の切り替えをこまめにできるのかが今の料金よりさらに安く格安SIMを使い切るためのポイントでしょう。


カテゴリー: モバイル関連コラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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「中速」と「低速」をどう説明するか?」への2件のフィードバック

  1. ケータイオタク

    難しい問題ですね。値段と質、そしてどこまで手間をかけるか。
    低速モードの場合通信量制限があるMVNOと無いMVNOもあるし、その制限量を明示しているMVNOもあれば明示していないMVNOがありますね。
    NHKラジオなどは低速モードでも十分ですが、制限のあるMVNOは低速モードで聞いていると制限量を超えてしまう場合もありますね。
    イオンモバイルでもタイプ1は3日間で330Mだったか制約がありますが、タイプ2では制限はありません。
    Nifmoの場合は高速でもギガ数によって制限があります。
    通信費が高いと不満を言っている人は多いですが、聞くと内訳はわからず総額しかわからない人が多いですね。そもそも適切なプランを選択しているのかもわからない。
    MVNOの場合通話に関しては限界がありますね。仕事で必要な場合MVNOに完全に乗り換えるのは難しい。
    キャリアの料金が高止まりな原因の一つはユーザーの意識の低さがありますね。面倒がって知ろうとしない。プランを知ろうともしない。それで毎月の支払いが多いと文句だけは多い。
    わかりにくいの事はありますが、それは端末代の割引があるからでプラン自体は複雑ではない。しかし多くの人は端末代も含めて支払額でしか考えようとしない。
    まず何をその人が最優先課題と考えるかが重要ではないでしょうか。その時考えなければならないのは手間と支払額は反比例することが多いと言う事をわからせることですね。
    自分自身は通話専用のキャリア利用端末とデータ専用のMNVO回線利用端末の複数台持ちですが、なんでそんな面倒な事をするのだと嫌がる人さえいると言う事です。
    友人でも2台持ちしていると芸能人みたいだと足を引っ張ろうとする知人がいると言っていました。芸ノー人(芸がない人)で言い返せば良いと思うのですが、出来ないようですね。
    愚痴になってしまいましたが、まず当事者がどこまで考えているかによるとは思いいます。

  2. てら 投稿作成者

    ケイタイオタクさん コメントありがとうございます。

    確かにこの問題は色々と勧める中で、どれが一番フィットするかというのは必ずしもこちらが最善だと考えたものではないような場合もあるので、こちらもそこまでのめりこまないようにした方がいいかなということも思っています。

    ただ一つ言えるのは、せっかく格安SIMに変更するのにプランや端末の2年ないし3年という縛りの付いたプランにするのなら、今後さらに料金が下がったとしても、縛りがある期間にはそうした「お祭り」には一切参加できなくなるということがあります。スマホはできる限り一括で安く購入することを目指し、プランでも音声プランは6ヶ月経てば解約金がかからないところで加入し、いつでも新しいプランが出たら変更することができる「ユーザー主導」の契約を目指して欲しいと思います。

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