富士山にはなぜ入山料が必要なのか

私自身、静岡県に住んでいながら富士山の頂上まで登ったことがありません。五合目まで車で行ったことはありますが、これは本当にタイミングと言うか、高校生の時に任意の呼び掛けで夏休みに富士山に登るイベントが有り、それに参加していれば良かったのですが、その時にはあえて疲れることをしたくない(^^;)という気持ちと、山登りのための装備を購入するのに費用がかかることから敬遠してしまい、現在に至るということになってしまっています。

静岡県の富士宮登山口からは7月10日から夏の山開きになるということですが(山梨県では既に7月1日から開山しています)、その際にいろいろ懸案になってしまっている事があるそうで、それが富士山が世界文化遺産に登録された2013年に社会実験として行なわれ、翌年の2014年から本格導入された富士山入山料(保全協力金)の徴収に関する問題です。基本的に富士山に登る人一人あたり1,000円を登山者が支払ってくれるように呼び掛けているのですが、多くの登山者が徴収していることに気付かずにそのまま山に入って行くケースが昨年までには多かったのだそうです。

地元のニュースでは静岡県は入山する箇所を人海戦術で固め、多くの人に呼び掛けるということですが、午前4時から午後9時まで徴収施設をオープンさせるとのことですが、その時間外に来た人は払わなくていいのかと素人的には考えてしまいますが、実は「事前支払」という仕組みも用意されています。インターネットによる支払いとコンビニでの支払いも選べるようになっているので、これから富士山に登ろうと思う人が入山金の支払いについて必要なことだと認識すれば、多くの富士山保全のためのお金が集まるわけです。

では、なぜ入山金が必要なのかということになってくるわけですが、これはやはり富士山や周辺が世界文化遺産に登録されたためだと言うことになります。過去に富士山は世界自然遺産として登録を目指していたのですが、この申請は通りませんでした。なぜかというと、実はその雄大で美しい富士山の姿とは裏腹に、富士山の周辺はゴミの不法投棄問題など、その自然を世界に誇ることができない現実が長く続いていて、改めて文化の面で日本人と富士という山岳信仰や浮世絵の題材としても使われたことを前面に押し出して申請して通ったという経緯があります。

世界遺産というものは、申請して通ったから安泰というものではなく、その後の状況の変化で登録を抹消される事もあります。ですから関係者は富士山についての環境を整え、具体的には山小屋のトイレ改修費や救護所などの施設運営のために使われ(主に静岡県側の使い道です)、富士山の環境を守るだけでなく、登山者が安全に快適に登山できるようにも使われています。山の事を知っている方なら、山のトイレについて考えなければならないことはわかるでしょうし、日本人の多くがそれほど頻繁に登るということもないので、富士山に登るための費用の一部として入山料を用意しても別におかしいということはなかなか考えにくいと思います。

富士山の土壌はもろいので、夜中にご来光を見ようと渋滞する中で誰かが石を落としたら、たとえそれが小さな石であってもその勢いで大きな石がくずれて登山者を直撃すれば大怪我をする可能性もあります。またそのような事故で安全に登れなくなった登山道を整備するのにも、地元の方々の奉仕的精神だけに頼るというのは、何か違うと思います。富士登山がブームになりそれをビジネスチャンスと捉える方々もいるかも知れませんが、現地の人達が大挙して訪れる登山者への対応で消耗してしまうような事になってしまっては、元も子もありません。

そんなわけで、このエントリーの最後にインターネットから富士山の入山料が払えるサイトへのリンクを貼っておきますので、この夏に富士山に登る予定のある方は、ぜひそのリンク先をご一読いただけると幸いです。

・山梨県富士山保全協力金 インターネット受付サイト(山梨県側から入る場合)

http://www.cnplayguide.com/asp/evt/evtdtl.aspx?dmf=1&ecd=CNI27456&ucd=&jdt=&kai=

・静岡県富士山保全協力金(静岡県側から入る場合)

http://mountainfuji.jp/


カテゴリー: 旅行・交通関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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