京都でも厳しい路線バスの維持

地方の公共交通機関というのは、利用者が減少するに従って採算が取れなくなり、赤字が出ても住民のために路線を残すことにバス会社も頭が痛いところだと思うのですが、今回京都の人や観光客の方々の足として使われている「市バス」について、今後における状況が気になる発表がありました。実は私も知らなかったのですが、現在の京都を走る「市バス」は全て京都市のバスと運転手で賄われれているわけではなく、市バス全818台のうち半分に当たる406台の運行管理を民間6社に委託しているという状態で運営されています。

今回発表があったのは市バスの約1割のバスを運行している京阪バスが2019年度をもって市バスの運転から撤退するという事で、他の私鉄についても追随する可能性があるということでした。背景には、バスの運転手の不足ということがあるらしく、京阪バスでは新路線を運行することによって市バスの方に運転手や整備士を回せなくなったというのが直接の撤退の原因なのだそうです。

もし今回の京阪バスの撤退がきっかけとなって、他に委託している私鉄が市バスの運転および整備から離れてしまうと、改めて京都市がバス事業の運営を全て行なうということになってしまいます。今の京都というのは少し前から比べるととてつもなく海外から日本にやってくる観光客が多く、人気の清水寺へ向かうバスなどは京都駅から長蛇の列になっていて、地元の人もなかなか乗れなかったり、清水寺より手前の三十三間堂では降りられない仕末です。バスは地下鉄と違ってきめ細やかに京都の街を回っているものの、今は一年を通してやってくる観光客に振り回されているような状態です。正直言って私自身も、もはやバスだけで京都市内を観光しようとは思わなっているのですが、こんな状況の中で京都の市バスは大丈夫なのかということも気になります。

どちらにしても京都市は2020年度という年になり、東京オリンピックを見に来て、そのついでにどっと京都にもやってくると思われる多くの海外からのお客様をさばききれるだけのバスの運行ができるだけの運転手と整備士を揃えることができるのかということが率直に言って気になります。今後も京都市はバスの運転手に私鉄からの委託することで人員を充足することができるのか、はたまた公務員として新たにバス関係の職員を雇い入れることになるのかはわかりませんが、今後市バスの業務をされる場合には将来への不安を消すような待遇を出していかないと、なかなか運転手が集まらないのではないかという気もするのですが。

日本の路線バスと言えば、先日神奈川県の路線バスで大きな事故が起こり、乗客の中で命を落とす方が出てしまったニュースがありました。そのケースでは運転手の方は「睡眠時無呼吸症候群」の治療を受けていたということでした。この「睡眠時無呼吸症候群」というのは睡眠中に太り過ぎが原因で呼吸が止まってしまい、そのために眠りが浅くなるという病気です。眠りが浅いということは、昼間に猛烈な睡魔に襲われる可能性があるわけですが、もし運転中に猛烈な睡魔に襲われたらと考えれば今回の事故はなかったでしょう(事故の時には運転手が睡魔によって意識がなかったと考えられるため)。せめて自動ブレーキの付いたバスであれば安全にその場で停止できたかも知れませんが、治療を行なっている人間を現役として雇わざるを得ないというのも、現在のバス業界の苦悩が感じられます。

今後の京都市においても、バス自体に安全装置の入った新車に徐々に変えていく必要があるでしょうし、それは京都市だけに限らず全国の地方都市を走るバスについても言えます。そうなると新車に替える経費がかかりますが、それだけでなく安全を守るためのセンサーについてきちんとした整備が必要になりますので、全体的にバスを持って運行するだけでも今までよりも経費がかさんできます。果たしてそうした設備投資及び人材の確保が経営を黒字にした上でできていくのかというのが今後の路線バスがどう変化していくかということを考える上では大切なことになってくるような気がします。

今のままでは全国をつないでいた路線バスによる経路が途中で切れてしまうようなこともどんどん起こってきてしまうので、自分の車で出掛けられる方は十分に睡眠と休憩を取りながら自分のペースで日本各地を巡るしかなくなってくる状況も出てくるかも知れないように思えます。私の場合は、本当に眠くなったら車の中にコット(キャンプ用のベッド)を敷いて手足を伸ばして仮眠を取れる環境を維持していますが、日中のドライブでも急激な睡魔に襲われることがあった方は、お昼寝のための車中泊の環境を整えて秋の紅葉を訪ねるドライブに出ることをおすすめします。


カテゴリー: 旅行・交通関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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