JAF Mateで実験された真冬の車中泊

 レジャーとセットになった車中泊というのは暑くもなく寒くもない季節がいいですが、真冬の車中泊というのは、自ら行なう目的で出掛けなくても身動きが取れずに車中泊に追い込まれてしまうということもあります。

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 先日自宅に届いたJAF(日本自動車連盟)の機関紙「JAF Mate」2015年1・2月号では真冬の車中泊の車中泊についての実験が掲載されていました。外気温がマイナス10.2度、の状態から実験を始め、アイドリングをしない中でどれだけの装備があれば一晩過ごせるかというものです。実験は翌朝まで続き、その日の最低気温がマイナス13.2度、終了時の気温もマイナス12.9度だったとのことです。

 実験には4人の違う装備が登場し、冬山用の寝袋を使う人、毛布に携帯用カイロの組み合わせの人、薄手の災害用アルミシート使用の人、そして何の用意もない人の4名で夜をどこまで過ごせるかのチキンレースです(^^;)。結局朝まで頑張れたのは毛布に携帯用カイロを併用した人と、寝袋を使った人のみでした。実験開始時の車内の温度は25度でしたが、最初に脱落したのが何も使わなかった方で、その時の車内温度は1.8度、アルミシート使用の方がリタイヤした時には車内温度はマイナス3.9度になっていたということです。実験終了時の車内温度はマイナス7度だったそうです。これでは何も使えない場合はしょうがないですが、アルミシートの場合は何とかなりそうな気もします。実際の実験にあたった方は、シートを掛けていない部分がかなり冷え、最初に温かかった分そこでかいた汗が冷えてきたとのこと。アルミシートの中には袋状のものもありますが、このタイプのものは結露が発生しやすく、状況によってはかいた汗や結露が凍ってしまう場合もあるのでマイナス10度以上の冷え込みでは危ない場合も出てくるようですね。

 寝袋はほぼ問題なく翌朝まで耐えられたようですが、それでもマイナス10度を超える状況では快適に朝まで過ごせるとはいかなかったようです。また、毛布を使われていた方は就寝時に携帯用カイロを併用していたわけですが、この使い方というのはあくまで緊急避難時のみに行なうようにしましょう。というのも、カイロの部分に体重が乗ったまま寝てしまうと、カイロ自体の発熱温度が50度から60度くらいになるため、カイロが当たった部分だけ低温やけどをする可能性が出てくるからです。車中泊が前提で出掛けるなら、極寒期でもお湯を沸かして湯たんぽを使えるように用意をしておいた方がいいでしょう。湯たんぽも熱い状態では低温やけどになる危険性はありますが、時間の経過とともに徐々に温度は下がっていくので翌朝までそのままの温度が持続する携帯用カイロよりは安全です。極寒の時期の湯わかしの方法としては、簡単に使えて後片付けも楽なガスがお勧めですが、よくあるカセットガスは低温では燃えないため、低温でも火の付くキャンプ用のガスを用意して行けば役に立ちます。これに冬用の寝袋をセットで使ったり、シートの上に下からの寒さを遮断するキャンプ用のマットを敷いて就寝すれば、とても寒くて車内にいられないというようなことはなくなるのではないでしょうか。寝袋を使う場合、唯一外気にさらされる頭と顔を寒さから守るために、以上の装備に加えて帽子やマスクの用意もあった方がいいでしょう。そして、できるだけ車内の温度低下を防ぐために、車の窓にカーテンを付けるだけでもかなり環境は改善するように思います。

 ただし一般的な車の利用者の方が全て車中泊の用意があるわけではないでしょうし、揉めばすぐに暖かくなる携帯用カイロの利用は緊急避難としてはありでしょう。今後地吹雪によるホワイトアウトで外に出て助けを求めること自体が危険な場合、しばらくは車内で動かないで救出を待たなくてはならない場合もあるでしょう。そういう時のために車の中に常備しておくものとして考えていくと、カイロの他には単に毛布を積んでおくだけではなく、地面からの冷気を遮断するためのマット(最悪ダンボールでも可)、下着と服の間に入れて空気の層を作り、少しでも温かさを保つための新聞紙も一緒に積んでおくといざという時には役に立つでしょう。

 今回のJAF Mateのレポートは、実際の温度データがグラフ化されていたりして、もし雪が降る中で車中泊を余儀なくされた場合の対処について結構参考になりました。多くの人はまさか自分が自分の車の中で一夜を明かすことを考えていないかも知れませんが、季節に関係なく異常気象や大規模な事故の影響下で、やむなく車内で過ごさなければならなくなることもあるかも知れません。普通の旅行と違って車での旅なら荷物を余分に積むことが可能なので、体調を崩さない程度の仮眠ぐらいはできるように簡単な準備をしておくことをおすすめしておきます。


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