「第四の携帯電話会社」に楽天はなって大丈夫か

まだそこまで確定的な情報ではありませんが、ネットニュースでは楽天モバイルを運営する楽天が、新たに携帯電話会社を設立し、総務省が来年(2018年)計画している電波の割り当てに名乗りを上げるという話が出ています。現在の楽天モバイルはNTTdocomoの帯域を借りてサービスを行なっているということもあり、どうしても現在以上のサービス展開について手詰まり感が出てきてしまっているということはあります。

ここのところMVNOの新しいサービスとしてはキャンペーンの展開か、ソフトバンク回線を使った新たなMVNOが増えたぐらいしか目立ったニュースがなく、今後eSIMを利用した端末(スマートウォッチやノートパソコンなど)が普通に使えるようになれば、多くのMVNOは蚊帳の外に置かれてしまい、先細りも懸念されます。

そんな中、先日freetelの回線業務のみを買い取った楽天モバイルの親会社である楽天が新たに電波の割り当てに参入するということになると、さらなる巨大な資金が必要になり、その回線を維持するためにも継続的な資金が必要になる中で、どのようなサービスを目指そうとするのかが気になります。もし楽天が電波の割り当てを受けるような事になれば、正に「第四のキャリア」としてスタートすることになります。

ちなみに、現在の3大キャリアというのは「NTTdocomo」「au」「Softbank」の3つですが、テレビのコマーシャルで露出しているものとしてはあと2つのキャリアが思い浮かびます。それが「UQmobile」と「Y!mobile」ではないでしょうか。

どちらの会社も贅沢にタレントを使い、これでもかというくらいにスポットCMを流しまくっています。なぜこれだけ広告が打てるのかということを考えた場合、大手キャリアのうち「au」が「UQmobile」と同じ回線を優先的に使えるというように密接なつながりがあり、「Softbank」と「Y!mobile」との関係も同じようで、まんまSoftBankの廉価版という感じです。大手キャリアから離れたいと思って格安SIMを物色するユーザーがこれらの会社に契約が流れることで、auやSoftBank陣営の契約を保持したり増やすことも可能な感じで、多くのMVNOに回線を貸しているドコモに対抗して、ライトユーザーの契約をドコモ回線を使っている他のMVNOに流出させることを防ごうという思惑があってあれだけの広告を打っているのではと考えることもできるでしょう。

唯一そうした密接なつながりがないのが「NTTdocomo」ですが、MVNOでdocomoから回線を借りている業者は楽天モバイルを含めて多くあるので、ドコモ回線を使う回線数を見れば、その優位性というものは確かにあります。そんな中で楽天がこれら3社と完全に独立して通信事業を行なえば、ある意味現在Y!mobileに吸収されてしまったPHSのウィルコムや、データ通信専用から始めたイー・モバイルのような経緯をたどって、途中で力尽きてしまいかねない気もするので、どこまで本当に電波割り当てに名乗りを上げるのかという疑問もあります。

後追いの新聞報道によると、楽天は対Amazonということで力を入れる中で、楽天の回線を使っている人が楽天市場で商品を購入した場合にメリット感を出して本気でAmazonと対抗するために携帯電話事業に舵を切ったというような事が書いてありました。しかし、大手キャリアと比べると不安要素もあるできたばかりの回線を、楽天市場での物品購入にメリットがあるからと進んで加入人がどのくらいいるのかは疑問です。現在のAmazonプライム会員のサービスが現在あまりにも採算を度外視したものだけに、むしろ携帯電話会社設立のための費用を対Amazonのサービスに対抗するように電子ブックリーダー・動画サービス・音楽サービス・AIスピーカー・写真やファイル保存のためのクラウドサービスなど、楽天の方で追随できるものに付いていくという選択肢もありますし、そもそも、多くの人が安心して何でも買えるウェブショッピングの仕組みを作り直した方が、Amazonの商法を快く思っていない人が選んでくれる存在になるのではないかと思えるのですが。ちなみに、今から4年前に楽天のセールについて違和感を感じた「みかん」の売り方について過去に書いたものがありますのでリンクを貼っておきます。個人的には過去に書かせていただいたような問題がまだ残っているなら、なかなかAmazonに対抗するのは難しいかも知れませんので、今後の楽天の変化に期待します。

http://syachu.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/post-c186.html

それでもあえて新しいキャリアになる事を楽天が選ぶなら、私自身は、そこまで高速のスピードを競ってもどうせ時間や場所によって変動することはわかり切っているので、最低速度だけを保証する500kbpsくらいのデータプランを安く出してくれれば、低質にセットした動画くらいなら十分見られるでしょうし、今後の5Gによるグレードアップには期待するものの、楽天はあえて家庭据え置き用でADSL互換の無線通信サービスに活路を見い出すのも面白いのではないかと思います。

また、移動しての通信用ではなく自宅に据え置き型のモバイルルーターを販売し、固定回線の代わりに使う事ができれば、現在SoftBankだけしかサービスしていない「SoftBank Air」に対抗するものができるので、個人的には魅力的です。私は実のところ今だに光回線にせず、ADSLに固執しているのですが、10Mbpsくらいのスピードでも制限なく使えるネット契約で、ADSL以上に安いものが出てくればすぐにでもADSLから乗り換えたい気分です。楽天がネットとネットショッピングをセットで安くするなら、スマホからの移行よりも、光回線から固定回線を乗り換えてもらう方が多くの乗り換えが期待でき、モバイル回線よりも流動的ではありませんので、固定回線として使えるワイヤレス通信への移行とともに楽天市場を盛り上げるような方向性も考えていただきたいですが。

こうなると単に個人的な要望ばかりを書いているだけになってしまっているのでこの辺で終わりにしますが、ともかく新規参入があれば業者同士の競争により、新しく楽天の回線にしなくても、今使っている回線の料金が下がる可能性は出てくるので、巨額の投資をする覚悟で参入し、その後の経営が成り立つというかという点は十分に考慮した上で、その上で楽天には大手キャリア同士の護送船団方式に楔を入れくれるだけの革新的なプランの投入と新しい利用方法の提案を期待したいです。

楽天モバイル


カテゴリー: 通信サービス全般ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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