電気自動車普及の鍵は「停電対応」か

日本の車社会が変わろうとしています。先日のニュースで75才以上の人でも「自動ブレーキ」などのいわゆる「ぶつからない車」に限定するなら免許を交付する、オートマ限定のような形の新しい運転免許の新設を現政権は考えているようです。これからの時代は当然ハイブリッド車でも主流ではなくなり、本格的に全ての車が電気自動車になるような形でメーカーもかじを切るのではないかと考えられています。

それは、日本の国内事情だけでなく、どの国が電気自動車のイニシアチブを取るかということによっても状況は変わってきます。ただ、どちらにしても今の日本のハイブリッド車はガソリンを消費する車であることには変わりなく、電池の性能が落ちた場合には普通のガソリン車以下の燃費で地球環境に影響を及ぼす可能性もあり、ガソリンを一切使わないプラグから充電する電気自動車の方に流れることも考えておかなくてはいけないでしょう。

現在の専用プラグから充電する電気自動車は、高速道路や幹線道路、地域的には首都圏で走るには都合が良いと思いますが、どちらにしても充電施設のある場所を経由して移動するようにしないと、いざという時には動けなくなる可能性があります。それこそ、出川哲朗さんの番組のように、家庭用のプラグから充電ができるようであれば見ず知らずのお宅に飛び込んで充電させてくださいと懇願することで何とかなるかも知れませんが、それは少し前までの話であり、今後の事を考えると純粋に電気の充電だけで走る車というのは、レンタカーで乗るのはいいにしても、真剣に考えてしまうところがあります。

この点については全国にある有料駐車場の全区画から充電できるようでもなれば、かなり状況は電気自動車にとって追い風になるのではないかと思います。もっとも、そんな事が本当に起きると全国のガソリンスタンドの経営に大きな影響が出ます。その辺をどう解決していくのか、電気自動車の普及とともに起こってくる問題についてもその対応をどうするか見ていかなくてはならないでしょう。

しかしそうした問題以上に深刻なのは、非日常の出来事があった場合、インフラごと使えなくなる恐怖でしょう。先日の地震による北海道や、台風24号が通過する際に静岡県内で長期間停電したことによる問題です。この場合、普通のガソリン車と比べて大きなバッテリーを持つ電気自動車が、安定して電気が回復するまで車の電池を使うことは難しくなることは当然考えられます。ガソリンがあれば発電して少しの電気でも取り出すことができるガソリン車やハイブリッド車に比べ、電気自動車を走らせている旅行先で停電が起こったら、最悪どこか安全な場所に車を停めて自力で帰るか停電が終わるのを待つかという、かなり苦しい選択を迫られることになるでしょう。そうなると、プラグからの充電だけでなくガソリンでの発電にも対応した車の方が、現在の状況では災害に強い車と言えるかも知れません。1500Wのコンセントを車内で利用できる車なら、車に電子レンジを持ち込めばパックごはんと電子レンジ専用の食品を用意しておくだけでも温かい食事をいただけます。

現在でも電気自動車の方がハイブリッドより使えるような可能性としては、自宅に大がかりな太陽光発電の設備を置き、停電が起きても自宅で発電した電気を車の電池に充電する設備が使えるケースが考えられます。太陽電池で作った電気を効率よく車のバッテリーに蓄電できるくらいの太陽光発電の設備があれば、家の電気を最低限賄ったり、さらに車にコンセントがあれば家電も車の周辺で使えるかも知れません。しかしその際に気がかりなのは、自宅の発電システムが地震や台風の風で使えなくなってしまった場合には蓄電や出力そのものができなくなってしまうことです。壊れるかどうかは状況に左右されるため、最悪の状況に備え、家の火災保険や地震保険には必ず加入し、少なくともいざという時のための設備復旧の費用を確保するようでないと、安心して電気自動車も持てなくなるという近い将来の想定が現実のものにならないように祈りたいところです。

個人的にはやはり、これだけ電気に依存するような社会になっていくなら、電力会社から電気を買うだけでは困るので、家庭に置いておけ、一週間くらいの家庭で使う電気を貯めておける蓄電池が普通の世帯で使えるようになるか、ガソリンでもガスでもいいのですが、従来からある燃料を利用して発電する家庭用の発電システムの開発も電気自動車の実用化と並行して行なうことが不可欠になるでしょう。まだ近くて遠い将来の話ではありますが、そんなことも頭の中に入れた車選びをする方がいざという時に慌てずに済むのではないでしょうか。


カテゴリー: 車関連ニュース | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

スポンサーリンク

電気自動車普及の鍵は「停電対応」か」への2件のフィードバック

  1. のらくろ

    自動車の「電化」の方向性はあるでしょうが、すべてのエンジン車が駆逐されることはここ10年程度では無理でしょう。少なくとも我が国では。

    国土の約半分は世界でも有数の豪雪地帯であることをお忘れなく。今年の1-2月にかけて、福井ー石川県境で大動脈である国道8号線が立ち往生、大渋滞により数日間麻痺して、死者まで出たことをお忘れなく。このときはエンジン車だっだので、1台当たり数リットルの軽油やガソリンを持参すれば、これを補充したクルマ(トラック、バス等も)は最寄りガソリンスタンドまで自走し、満タン給油でいつも通りに戻ることができたが、これらがピュアEVだらけだったら…と想像したら、事態がより深刻になっていたことは間違いありません。

    電気エネルギーでの空調(特に暖房)は、最も悪いエネルギー効率になることもお忘れなく。

  2. てら 投稿作成者

    のらくろさん コメントありがとうございます。

    電気自動車のヒーターの問題および、雪中での立ち往生対策が果たしてできるのかという疑問がある中、世界戦略の中でプラグ充電方式の電気自動車に日本のメーカーが舵を切るということになるなら、今乗っている車を含めてガソリンエンジンの車を大事に乗り続けるのも一つの方法だと思います。近所を走るだけのシェア自動車や公共交通の分野に対しては、一部電気自動車になっても何とかなるとは思いますが、現状では電気自動車が走るための電気は石油を燃やして作られていることも確かです。

    そういう意味では水素自動車の方が燃料を入れて走るという点で今のガソリン車にも通じる利便性を持っているような気もするのですが、本当に今後の車はどの方式が主流になっていくのかということはユーザーにとっての一大事で、発表があったばかりのトヨタとソフトバンクの提携もどうなってしまうのか期待半分不安半分といった感じがします。

コメントを残す