スマホカメラの進化とその影響

中国のファーウェイは日本においても同社のフラッグシップスマホである「HUAWEI Mate 20 Pro」を2018年11月30日に発売することを発表しました。価格的には12万弱と気安く購入できるスマホではありませんが、SIMフリーであることと、特にライカレンズを使ったカメラ機能が素晴らしくて、これでは日本が一時は世界を席巻したコンパクトデジカメが壊滅状態に陥ったのも良くわかります。

「HUAWEI Mate 20 Pro」のカメラレンズは3つあり、メインのレンズの画角が35mm換算で27mm相当(以下のレンズ換算についても同じ)の広角レンズに有効画素数4,000万画素カラーセンサー使用のカメラに、16mm相当レンズ・2,000万画素カラーセンサーのカメラ、80mm相当・800万画素のカラーセンサーのカメラがあってメーカーでは「デジタルズーム併用で16-270mmをカバーする」とプレゼンしているようですが、デジタルズームというのは単なる写真のトリミングであるのでそこまでの期待はしないほうがいいですが、個人的にはマクロもきれいに写るというレビューもあり、夜景についても高速で複数枚撮った写真を合成することで手ブレの心配もなくきれいな夜景が撮れたりするそうなので、このスマホ一台あればコンパクトカメラをあえて持って行く必要はないのかなという気がします。

最近のスマホは夜景撮影や全体的な画質の良さをことさらにテレビコマーシャルで強調するものが多いのですが、スマホ自体が数年使用して新しいものに買い替える性質のものなので、どこまでカメラ機能を充実させていくのかという疑問もあるのですが、こうした複数レンズ搭載のスマホが普及価格帯のスマホにも搭載されるようになれば、安価なコンパクトデジカメはいよいよ存亡の危機ということになってしまいそうです。

実はたまたま、アマゾンプライムビデオのプログラムを見ていたら、かつてNHKで放送された「プロジェクトX」のカシオ「QV-10」の回があったので見たのですが、フィルムカメラの時代に「デジタルカメラ」の概念を伝えることの大変さとともに、現在のコンパクトデジカメの衰退にもつながる当時の状況を見てしまいました。というのも、「QV-10」は当時のカシオの営業からすると全く売れそうにないため、月500台からの販売スタートと言われたため、開発に関わった技術者たちがアメリカ・ラスベガスの見本市に出掛け、デジタルカメラでしかできないセールスポイントをアピールしたことでアメリカで爆発的に売れ、日本でも大ヒットしました。

当時のQV-10にはファインダーがなく、液晶画面を見て撮影するのは今のスマホと同じですが、さらに撮影した写真をその場で確認できるというのが画期的でした。さらにすごいのは、別売でパソコンに繋がるケーブルを用意しており、簡単に撮影した写真をパソコンの中に取り込むことができたことが多くの人々の関心を呼んだようです。それまでは紙に出した写真をスキャナーで取り込むことはできたかと思いますが、当時は有線であったとしても今撮った写真をすぐにパソコンに入れて、パソコンからはインターネットで世界中に送れるというのは本当に画期的だったのでした。

そうした利便性というものを追求していくと、やはり必要だと思うのはデジカメ自体がインターネットとつながって撮影した写真が即時バックアップや写真のSNSへのアップなどができるかというところになるんだろうと思います。というのも、SNSへのアップはスマホでやれば簡単ですし、バックアップについても「グーグルフォト」というGoogleが提供するサービスを利用し、スマホにアプリを入れて設定すると、スマホで撮影した写真が自動的に写真や動画専用クラウドにアップロードされ、ネット上にバックアップが無制限にできるようになっています。いったんこの便利さに慣れてしまうと、いくらデジタルカメラにWi-FiやBluetoothが付いていてスマホやパソコンと無線で接続できるようになっていても、自動的にSNSやクラウドにアップロードさせることはできないので、写真を簡単に扱うならスマホのカメラでいいかということになってしまいます。

このように、「画質」よりも「利便性」というところから普及してきたのがデジタルカメラであり、現在のスマホで実現している機能であることを考えると、今後の展望ということを考えてもスマホではどうしても撮影できない写真を撮るためのデジカメにはニーズはあるものの、コンパクトカメラが今後も残っていくかどうかは怪しい気がします。ただ、個人的には最初に紹介したような複数レンズを搭載したスマホや、新たな技術で光学ズームが利用できるようなスマホが安く使えるようになってくれれば、日常の記録だけでなく旅行中の思い出を写真に残すにもスマホで十分かなという風にも思えてしまいます。何とか今使っているコンパクトカメラが使えているうちに日本のメーカーも頑張ってもらって、旅行の記録に十分使えるくらいのクオリティのカメラを搭載したスマホを安く提供していただけると有難いのですが。


カテゴリー: モバイル関連コラム | 投稿日: | 投稿者:

てら について

主に普通の車(現在はホンダフィット)で、車中泊をしながら気ままな旅をするのが好きで、車中泊のブログを開設しました。車で出掛ける中で、モバイルのインターネット通信や防災用としても使える様々なグッズがたまってきたので、そうしたノウハウを公開しながら、自分への備忘録がわりにブログを書いています。

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